名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

羽生善治の終盤術

2015-10-23 | 将棋本 断捨離
羽生善治の終盤術(1) 攻めをつなぐ本 (最強将棋21)
羽生善治の終盤術〈2〉基本だけでここまで出来る (最強将棋21)
羽生善治の終盤術〈3〉堅さをくずす本 (最強将棋21)
2005年から2006年出版、羽生先生の本です。
次の一手の本ですが、好手鬼手を探すのが目的ではなくて、自然な手を積み重ねて寄せにもっていく、というテーマです。問題が連続しているので流れがわかります。
棋譜並べをしていると、こういう意図でこうやって寄せにもっていくんだ、という気付きがあるのですが、それを羽生先生の解説で読めるのですから貴重です。
終盤力がない、と嘆く前に、この本を読むべきです。一通り読んだら、寄せ方に意識して棋譜並べをやってみてください。
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20151023今日の一手<その185>;駒得のセオリー

2015-10-23 | 今日の一手
20151023今日の一手

先月27日の名南将棋大会からKさんとAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。










昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが、と金を作っています。と金が働けば先手が駒得ということにはなりますが、今のところは働いていないので損得なしでいいでしょう。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。ただ、先手も95歩と詰めているのでそんなに差はありません。88銀が79にいれば同程度としてよい、というくらいの違いです。
先手の攻め駒は持ち駒飛角で2枚。21と はまだ働いていません。
後手の攻め駒は39角と持ち駒飛で2枚。

*居飛車振り飛車対抗型の場合、攻め駒を数える時は2段階に分かれます。序盤から中盤は敵陣まで利きが届いているものと持ち駒をカウントします。中盤で駒を交換して終盤にかかって横からの寄せ合いになったら、敵玉の囲いの一部に利きがあるものと持ち駒をカウントします。

総合すれば互角かやや後手が有利。手番があるのでポイントを稼ぎたいです。

問題図の前、45歩と振り飛車から突きました。

24歩に88角成同銀35角が狙いのさばきだったそうですが、

角を手放すのは一時しのぎ、という認識のほうが正しいはず。形によりますが。
28飛24角に66角33桂25歩

で困っています。あるいは11角から22角成でもいいです。

66角ではなく22歩33桂21角

とやってしまったので、21飛同歩成39角

24飛同歩とやって問題図です。派手な展開でした。


大局観として
対抗型で飛角交換になったら桂香を拾い合うことが多く、この場合は33桂は逃げられるので振り飛車有利、というのが普通です。これは振り飛車党なら常識ですね。
少し長い終盤戦になるので、桂馬1枚の損が大きく響いてきます。
それを覆すには21と を使わなくてはいけません。活用して早く寄せることを考えます。飛角と金で3枚。場合によっては12香は取るのですが、その1手に価値がある場合だけです。

駒得が有利になるというのは長期戦の場合です。駒得したほうが指せる手の数が増えます。駒数が多くなったり、利きが多い駒を持つことになるのですから、有効な手の数も増えやすいのです。歩の場合は2歩ルールがあるので打つ場所が限られますから、持ち歩があれば歩損は気にしなくてよいです。これが駒得の原理、理論、セオリーです。

この57右銀での急戦は10年前は得意戦法にしていました。ですからこの形の急所はよく知っているのですが、43の銀は攻めの目標になります。(34銀の位置で飛角交換になっていればなおさらです。)うまく攻めれば守りの役には立たないのです。振り飛車から見れば美濃囲いは堅いから有利と思っているフシがあって、心理的なことも含めて居飛車が指せます。54歩と突いている美濃囲いは堅くありません。
そのあと定跡がすすんで、飛角総交換にはなりにくくなりました。なので今は指しません。


× 実戦は31飛でした。

これは一目疑問手です。21と を使いにくいです。
25桂22と28飛68金左29飛成

以下は手順省略でこういう図になって

12と は遊んだまま、後手は桂得です。長期戦になってしまえば駒得のほうにいい手が出やすくなります。44桂から56歩を狙うのが好手。先手はじり貧です。


△ 22と と使います。

28飛68銀29飛成23と。 途中、68金左より68銀のほうが角筋を避けて手堅いです。

25桂33と44銀32飛

ここで53銀は43角同金同と64銀12飛成

すぐに52とは43角があるので、それを避けて52と を狙えば十分。

なので33と には33銀同飛成19竜

先手はすぐに寄せる手がなく、駒の損得もなくなってきます。お荷物の43銀がさばけたとので少し後手もちでしょうか。互角に近いですが。
先手の工夫としては、33とを急がないで22飛とかですが、後手から66桂という変な筋があるので41飛なのかもしれません。と金を52金と交換する展開になればよくなります。その前に後手は桂香を手に入れて攻めてきます。

△ 31と からと金を使います。(こっちのほうが42と まで1手速い)

28飛68銀29飛成41と

28角成22飛64馬に42角が見えます。

でもこれは42同金同と25桂43と11角

これで飛び上がります。

ですから64馬には86角

86同馬同歩53角

これで互角です。77銀右~12飛成~42角を狙うくらいですか。やや先手もち。

問題図で22飛としてから31と など、手順前後で合流するのもあるかもしれません。



○ 66角は攻防の手。

33桂22飛27飛に48銀が利きます。

48同角成同角29飛成31と

ゆっくり と金で攻めれば先手が駒得になって有利です。

48銀には28角成ということになりますが

今までは28飛が先手で入っていたことを思えば、攻防だというのがわかりますね。29飛成までの道のりが長いです。
12飛成19馬44香

これは先手有利。43香成同金では金が離れるので44同銀同角なら52竜が残ります。


66角は作ったような攻防の手でした。これがみえなかったとしても、
飛車交換したらすぐに敵陣に飛車を打ち込むという思考の癖は矯正したほうがいいです。
まずは寄せの方針を考えましょう。と金を使わないと勝てない、ということに気が付かないといけません。だから形勢判断をして、攻め駒が4枚になるようにと考えるのです。と金を使おうと思ったら通り道に飛車を打つのは疑問手だとわかりますね。
すぐに寄せ合いになる順がない、仕方ない、と判断したら桂香をうまく取ることを考えます。この場合も31飛として桂馬に逃げられるなんて効率が悪いですね。11飛とか22飛とかのほうがましです。





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