名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

将棋の上達法則のまとめ(1)

2015-10-17 | 将棋上達法則
将棋の上達法則のまとめです。(注1)


パワー、スピード、テクニックの比較を表にまとめました。
将棋では、読み、直感、知識のどれかの能力を使って次の指し手を決めています。どれが得意かは個性があるでしょう。

パワー=読み
論理思考力なのですが、将棋は待ったができないですし、思考途中を記録できないので、すべて頭の中で考えなければいけません。この時は頭の中に将棋盤と駒のイメージを作っています。この脳内イメージを使っての論理思考です。
盤面(と駒)のイメージを作ること、それを使って考えることが訓練法です。詰め将棋や必至問題や次の一手や実戦、好きなものでよいです。考えましょう。(注2)
玉の堅い戦型で細い攻めをつなげるときには必須です。穴熊とか先手矢倉とかですね。
やや不利なときには時間をかけて読むしかありません。攻めるということは基本的に駒を損しますからやや不利なのです。読まなくてはいけません。
もちろん最終盤詰む詰まないは読みですね。

スピード=直観
脳内で盤面のイメージを検索する能力です。部分的で構わないので、記憶にある中で近いものを探してきます。
訓練方法は速く大量にインプットすること。棋譜並べですね。脳内の情報処理は速いのです。考えなくてもいいのですが、何度か繰り返したほうが定着するでしょう。棋譜に解説がついていれば、良い手とはこういう手、悪い手はこういう手、と意識しておくとよいです。良い手なのに並べていて違和感(思いつかない)があれば、何度か繰り返して自分の感覚を修正しておきます。
手の広い戦型で、相手は悩むあるいは間違うけれど、自分は正しい手が選べる、というのが目標です。
中盤から終盤の入り口くらいまでは、手が広いですから読みに頼ると間違いもあります。有利になれば自然な手が正解になります。こういう時には感覚の良さがものを言います。

テクニック=知識
論理思考の結果をまとめたもの。まとめれば言葉になりますからこの作業は「言語化」といいます。定跡や格言やセオリーです。
(将棋も科学的に解明しようとすれば、序盤から論理思考で手を考えて記録し有利不利を確定していくわけですね。昔はコピー将棋はつまらない、などと定跡研究する人を揶揄したものですが、こういう抵抗があるほうが科学の進化でいえば正しい道です。まだまだ論理思考だけで解明できなくて、直観の部分も大きいのですが、定跡は進化していくでしょう。)
定跡を勉強するなら定跡書を読むだけでなく並べるとよいです。論理的な解説をされる先生の本を勧めます。こういう理由でこう指すのだとわかれば身につきやすいでしょう。暗記ではなくなります。応用もしやすいです。
序盤は定跡を中心とした知識で手を決めることがほとんどでしょう。定跡研究をして時に修正していき、自分だけが詳しいとか、自分で研究した変化に誘い込めば有利になりますね。また、格言やセオリーでは中盤終盤の方針を決めることができます。

3つの組み合わせでいえば、序盤はテクニック(=知識)で、中盤はスピード(=直感)で終盤はパワー(=読み)でということになるのですが、なかなか3つとも鍛えていくのは大変です。
パワー型ならどんな時も読みを中心に据えていくほうが強化できます。不利になっても対応しやすいからです。
スピード型ならテクニックも身につけて有利な体制を作り、自然な手で勝てるようにするとよいと思います。
テクニック型なら中終盤をパワーで行くかスピードでいくか。向いている方を鍛えていきます。

あなたの得意な能力と得意な戦法が一致していますか?
一致しているならその能力を磨けばいいでしょう。
一致していないときは、足りない能力を磨くか、戦法を変えるか。これは長い目で見た戦略になります。
あなたの得意な戦法が両方混在している場合は、同じ系統のもので揃えたほうがいいでしょう。その組み合わせを考えるのも楽しいものです。




注1)名南将棋大会の最初に上達法則を説明しています。話が終わったところでまとめを上げていきます。ですからまとめの続きは来月末以降に。

注2)このころ盤面のイメージ訓練を始めました。ご参考までに。
将棋の9×9の盤面に初形の駒の配置をします。左下3×3に7枚あります。76歩と突いたら上の3×3の区域に1枚、この歩の利きをイメージします。
88角はいろいろ移動できます。77に移動して86は上の3×3で中の下。95は左の中、68は周りに何があった?
という具合です。私は読むのは苦手なので、こういうイメージをしていくと「?」という発見があります。すでにしっかりしたイメージがある人なら何を言っているの?という感じでしょうが、これが発見ばかりなのです。これをやりながら眠ります。
盤面や駒のイメージ、持ち駒も必要ですね。これがしっかりできて、9×9で移動した駒の位置を覚えていられて、戻すことも進めることも自在、そういう状態にできるのはいつのことでしょうか。
今までは部分的なイメージをつなげて記憶していて、どうにかつぎはぎで頭の中で棋譜再生もできたのですが、しっかりできるようになるまで先は長いです。

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20151017今日の一手<その179>;4枚目の攻め駒

2015-10-17 | 今日の一手
20151017今日の一手

先月27日の名南将棋大会からTさんとAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。









昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手は持ち歩がないので先手のポイントです。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は37桂で1枚。54歩とされたので88角と56銀はすぐに働きそうです。合わせて3枚。
後手の攻め駒は44角で1枚。
総合すれば先手が有利です。

大局観として
後手は54歩では33桂が普通なのですが、46歩同歩45歩で桂損になりそうなので54歩と突いて角を動かす算段です。仕方がないので悪手とは呼べませんが、いかにも危険です。本来は43銀とか24飛とか我慢しておくべきかもしれません。あるいは桂損でも33桂を掘り下げるか。
先手の立場で言えば大きなチャンスです。角銀桂はさばけそう。29飛も働けば申し分ないのです。あるいは54歩から53歩成とできる筋を考えたいですね。問題図で後手から55歩ともとりにくいのでここはいろいろな手が考えられます。


△ 実戦は54同歩でした。

一番素直な手です。普通はこの手から考えます。
88角成同銀(同玉も有力)46歩

55角33桂46角38角

54歩の存在は大きいとはいえ、馬を作られては混戦です。

46角では35歩で決まっていました。

35同金53歩成で銀か桂が取れます。

後手は46歩では軽過ぎで、33桂

ならば難しいでしょう。先手は75角44角68金右から59飛をみる感じです。


△ 33桂とされる前に45桂も指したい手です。

55歩同銀62角には46歩と支えておきます。

ここで44歩には35歩がカウンター。

35同金44銀46金なら35銀

金が取れます。

35同金44銀36金34歩23飛54歩

金はそっぽにいくしかなく、52歩53歩成同歩33歩成で楽勝。

44歩は悪手でしたから、33桂とはねます。

54歩45桂同歩24飛49飛

こういう感じでしょうか。先手の模様がいいです。

後手は45桂55歩同銀に同角も考えられます。

55同角44銀77角45金で2枚替え。

46歩55金56歩54金45歩

「ダンスの金」ですね。初めてみました。
33銀35歩43銀39飛

55歩同歩45金という感じでしょうか。先手も決め手があるようなないような。先手の模様は良いです。


△ 45桂でははっきりしなかったので、45銀が一番激しい手です。

45同銀同桂までは必然。

55歩は54歩で先手の駒得になります。55角でも同角同歩54歩

これで先手の駒得、攻撃手段に困りません。54歩では44角もあるでしょう。
後手は32飛39飛43銀が最善でしょうか。

54歩88角成同銀54銀53桂成28角・・・まだ難しそうです。先手が有利ではあります。


△ すぐに攻めても決まらないので、68銀から厚みで攻めます。

33桂57銀43銀66銀62角

97角32飛54歩同銀55銀左で攻撃開始。

55同銀同銀44金

54歩55銀53歩成ではもう少し。88角と戻すのでしょうか。先手がよさそうですが難しいです。

戻って、97角32飛に86角44金68金右

ゆっくり59飛まで指してから総攻撃すれば先手が有利です。


問題図で形勢判断の条件はどれを見ても先手が上回っていました。4枚目の攻め駒に飛を持って来れば優勢になります。54歩からと金を作るあるいは銀桂交換にするというのは後手が最善を尽くせば実現しませんでした。

みなさん、どれが第一感でしたか?私は68銀しか考えませんでした。後手から55歩としにくいなら陣形整備だろうと。位取りが好きだからでしょうか。さらに5筋に飛車をまわれば完成です。後手は歩切れで動きにくいのです。
どれを選ぶかはともかく、飛車を使って攻め駒を増やす、ということに注目しておけば先手が優勢になりやすいです。角銀桂だけではうまく攻めて(あるいは後手の受けがまずくて)優勢、というのはあまりありません。

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