名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大局を観る

2015-10-26 | 将棋本 断捨離
大局を観る―米長流・将棋と人生 (NHK人間講座)
2004年10~11月に放送されたNHKの人間講座のテキストです。
TV放送は1回くらい見て、見逃したのでテキストを買って安心して、積読になっていました。
他の本で読んだ話は何度読んでも面白いのですが、引退してからは老人臭くなったなあと思います。残念。

直感や第一感がどこからくるのかうまく説明できない、とあるのですが、
これは記憶の中から似たような局面あるいは部分図を検索してくる能力です。経験を積めばストックが増えて強化されます。上達法則のシリーズで何度も書いていますね。

デジタルとアナログ(の比喩的な)話。コンピュータはデジタルで序盤終盤が強く、アナログな中盤の力で対抗する。アナログな教育をすべきである。

これについては先生とは別の考えを持っています。
将棋を符号で考えるのがデジタル、局面のイメージで考えるのがアナログ。人間の脳はアナログで考えられるけれど、コンピュータはデジタルで考える。
論理思考というか、詰将棋ならデジタル処理のほうが速い。序盤のデータはコンピュータに覚えさせて検索することもできる。人間の脳の力も素晴らしく、思い出す時にエラーがあるかもしれないがイメージ検索の能力はすごい。
コンピュータ将棋はアナログ的な局面の評価をプログラマーが改善することで進歩してきたが、駒の位置関係について、プロの棋譜から自動学習する仕組みをができて飛躍的につよくなった。総合力で多くのプロを上回るようになってきた。アナログ的な分析ができるようになってきたということ。
人間にしかできないのは、創造分野。少しあいまいな検索でいろいろ出てきた結果を組み合わせたり(足し算)、余計なところを削ったり入れ替えたり(引き算)、部分的に増やしてみたり強化したり(掛け算)、別の機能をやらせてみるとか(割り算)、あるいは思いもかけない変化をさせてみるとか、単純な検索だけでないアイデアも生み出せる。

まとまってないけれどそんなことを考えています。どうやったら将棋が強くなれるか、なんて考えるのはとてもいいことなんだ、と感じています。
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20151026今日の一手<その188>;手厚い攻め

2015-10-26 | 今日の一手
20151026今日の一手

先月27日の名南将棋大会からOさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。









昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
飛桂と角銀歩歩の交換です。後手は歩切れですから先手が少し得です。終盤なのであまりこだわらなくてよいです。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は55角と持ち駒銀で2枚。77角も加えてよいでしょう。3枚に近いです。
後手の攻め駒は持ち駒飛桂で2枚。54桂は微妙です。3枚に近いのですが。
総合すれば互角です。

大局観として
形勢互角の終盤です。先手番なので有利な形にもっていきたいのですが、後手が歩切れだというのが強みです。今は(44歩と取り込んだら)46歩とか66歩とかの心配がいらないです。後手から飛車を打ちこまれるのは何ともないですし、攻める方だけ考えればよさそう。歩を渡して46歩とか66歩とかされると厄介なので、なるべくそれを避けて攻めます。
攻め駒が3枚なので、どこかで増やしたいのです。11の香車や54桂を手に入れるか、44歩や34歩が拠点になって攻める形を作れれば解決します。


△ 実戦は44歩でした。

35歩34歩同金43銀

43同金同歩成同玉22角成46歩

問題の46歩がやってきました。まだ先手玉に詰めろはかからないのですが2手すきくらいにはなります。
44歩同銀同角同金52銀

ここで52同玉だったので簡単な寄せになったのですが、34玉とされるとわかりません。52銀では32銀か?でも53銀で広いです。逆転模様。

正しい攻め方は途中の22角成ではなく11角成。

22角成のほうがしばっている気がしてやってしまいたくなるのですが。これも角で香をとるのは大きな手という例ですね。
以下は同様に進めて

52同玉は44馬で寄り、というのは実戦と変わらず。53玉も63金から44馬です。34玉に25金同玉44馬

この時に持ち駒に香車があるので詰めろですね。24玉に26香13玉15歩で簡単です。


△ 34歩と取り込むと

34同金44歩46歩36銀

24桂37歩36桂同歩47銀

39金36銀不成43銀

43同金同歩成同玉11角成

44歩を見て、先手がまだ良いようなのですが、後手玉の上部も厚くなったので難しい形勢です。

また、後手の変化としては46歩ではなく66歩も可能で、

43銀同金同歩成同玉11角成

これもよくわかりません。


○ 36歩と応援する手。46歩を避ける意味もあります。

これに46桂打は48金58歩成同銀

これは怖くないです。

35歩同銀34歩が当然の応手。

44銀同銀同歩36桂

これには18玉がよいです。28の地点に利きがあるので36桂はあまり怖くはありません。15歩が間に合うといけないのですが。
18玉49飛に43銀

飛車を引き上げさせれば安心できます。43同金右同歩成同金には

22角成42玉44歩

これは先手が優勢です。


○ 25銀は手厚い攻め。

後手は拠点になるので35歩と取るくらいです。34歩43金左44歩

42金左43歩成同金左22角成41玉44歩

手順に馬を作って攻めます。
42金左55歩46歩56銀

桂馬を攻めつつ銀をかわす55歩が攻防です。桂馬を取って43桂が狙い。後手の反撃に対応しつつだんだん先手の寄せが決まってきます。

戻って、34歩に43金左では44歩の取り込みの味がよかったので24金とぶつけてみます。

24同銀同歩44歩に46歩ですが

43歩成同金33金

今度は34歩が拠点になっているのでこれで簡単に寄ります。


最初にやった44歩は直線手な変化になります。問題図での形勢判断は互角ですから、これは読まないと指せません。22角成と間違えて逆転負け、というのはありうる話です。読みに自信があればこれを掘り下げます。
34歩同金44歩というのは一番欲張った指し方ですが、歩を渡したので後手から46歩でも66歩でもよくわからない形勢です。
36銀はあとで36桂がありそうなのですが、これを怖がらない方ならば、攻め駒を増やして4枚にするという意味で大局観にのっとった指し方です。
25銀は手厚い指し方。玉頭の勢力争いにしようということで、直観派はこういう指し方を身につけたいものです。この場合は先手玉が堅くないので、こういう指し方が一番逆転を食らいません。棋譜並べをしていてこういう手に出会ったら何度も指して感触を覚えておきたいです。





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