名南将棋大会ブログ 名古屋

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20160701今日の一手<その349>; 角換わりの四手角はつまらない

2016-07-01 | 今日の一手

20160701今日の一手

東海団体リーグから、私とKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚ですが、56銀は加えてもよさそうで、2枚くらい。
後手の攻め駒は62飛84角65銀で3枚。
総合すればやや先手もちです。

大局観として

後手の31玉が攻めるには不向きなので、まだやってこないと思っていたところに、4手角を打って総攻撃されそうです。
31玉は上から攻められたときにはいいのですが、飛車を切りにくいので攻撃力が下がります。また、角換わりでは84角と打つのはもったいないのです。相手の陣形に特別な隙がなければ、手持ちにして攻めるほうが優ります。この場合は6筋を厚く構えているので打たないほうがいいでしょう。つまり、84角が手持ちで22玉の形なら相当に怖い攻めなのです。定跡書にも載っているでしょう。
さて、放置して56銀と取られたら飛車か角に成られてしまいますから、対応しなければいけません。


○ 実戦で私は66歩と打ちました。

これは通常は良い手ではないのです。というのは取られて大駒と金歩の二枚換えにされてしまうから。つまり持ち歩がもう一枚ない時は打ちません。
でもこの場合は状況が違っていまして、66同銀同銀同飛には75銀

と打って、75同角同歩63飛(どこまで引くかは難しい)74歩

でまあまあ指せます。66歩68金引は入るにしても、65桂と逃げれば飛車を攻めるわけです。この時に後手玉の位置が悪いから飛車を捨てにくいんですね。

角のほうから行けば

66同金同飛55角

69飛成73角成86歩

が怖い手で、86同歩なら87歩同金68金98銀95歩

と攻められてこれは危ないです。

ゆえに86歩には79銀

としておいて、68飛とぶつける手もあるので先手が指せそうです。

と、どちらを選ばれるかと思っていたのですが、実戦では54銀と引かれました。

ちょっと拍子抜けです。結局は65歩から攻めるしかないので、1手損しただけです。
37桂と跳ねて(これは確実にプラスの手)65歩同歩同桂

と手を変えられました。37桂と跳ねた後で22玉は35歩同歩45桂という筋だってありそうで、玉を固めるわけにはいかなかったのでしょう。
66銀に66同角同金57桂成84角

ここに角を打つのが飛車取りなので、この筋はあまり怖くありません。後手は54の銀が攻めに参加していないのでなおさらです。以下は61飛72角62飛83角成86歩同歩85歩

と進んだのですが、飛車は取らずに74馬から85馬とゆっくり指してよくなりました。


△ 65同銀は自然な手ですが

65同桂66銀同角同金57桂成84角

と進めると、先ほどの変化と比べて互いに銀を手持ちにしているところが違いますね。これは後手の攻め駒が4枚なのでかなり危険なのです。ただし31玉の形なのでどうにかなるかもしれません。
69銀79金73銀

という派手な手があって、73同角成66飛68歩

これで銀取りと77銀の受けを見て、どうにか指せるようです。ですが、どこかで後手から良い手があってもおかしくはありません。


△ 他には24歩同銀と突き捨てておく手。

これを入れておいて66歩としてこういう図になれば

73角成よりも11角成のほうが得をしているでしょう。

ただし24歩に同歩なら25歩同歩37桂という筋までは実現しないとしても、23歩と垂らす1歩(手筋です)を持っているためには65銀と取り返すしかないわけで、その筋でよいかどうか。
また、24同銀66歩に54銀

と引かれていたら37桂とは跳ねにくいですね。

ということで、疑問手でもなさそうですが、相手の選択肢が多いですし、ここで突く必要もないような気がします。


△ 他には55銀とかわす手です。

銀をぶつけるほうから見るとたいていはこの手を考えていないのではないかと思うのですが(私だけかも)、有力なことが多いです。
66歩68金引54歩には63歩があります。

逃げたら64銀と逃げられますから取るのですが、63同金には64銀同金53角

42飛に64角成で指せるでしょう。

戻って63同飛には72角

この時飛車を渡しにくいのですが、62飛には83角成で困ります。最善は22玉で、63角成同金81飛

93角打61飛成55歩63竜75歩

これは容易ではありません。

ということで、93角打には95歩同歩54銀同金94歩でどうか。

67歩成同金直57角成93歩成39馬

という展開か

67歩成に93歩成として

78と同玉67歩

と攻められるのを余せるかどうか。
22玉から93角打が好手で、かなり難しいです。


ということで、後手玉の位置が問題で、先手が結構指せるものだということがわかっていただけたでしょうか。

無筋の66歩が案外に有力で、書き忘れましたが56銀には同金と取って、後手からの攻めが甘くなります。歩を含めた2枚換えで良い、というのは相矢倉の時の常識のようなものですが、この場合は飛車を目標にして反撃がきついのです。

65同銀は後手の攻め駒がさばけるので、あまり考えないほうが良い、というか、それしかないときは仕方ないのですが、それでつぶされるなら別の駒組みをしなければいけません。
この場合は(後手玉が堅くなくて)形勢が悪くないのでそれなりに指せるとは思うのですが、つぶれてもおかしくはありません。

55銀は変化球の手で、場合によっては成立します。銀が死なないのであれば考慮してよいです。

ところで後手が65歩と行かないで22玉なら41角という手があります。

65歩なら52角成同飛83金

という筋で後手陣を乱せます。93角打くらいですが、同金同角83角

で馬が作れます。

また、41角に42金左と頑張っても

52角成同金83金93角打同金同香37桂

後手玉が堅くなっていないので、65歩と攻めるわけにはいかないでしょう。先手からは35歩同歩45桂と攻める手があります。35歩に44歩は45歩。こういう時は後手の84角が遊び駒にしかならないので、無理そうな攻めでもうまくいきやすいです。


角換わりの将棋で四手角(こう呼ぶのは22角の位置から31角~64角~73角~94角と4手かけて移動するから)を打つのは有力であるとは言えません。よく読まないで指せる手ではないのです。また、84角と46角を打ちあうのも見かけますが、46角の方が働きがよく、ここでも四手角はうまくいかないことがほとんどです。
攻め筋としては知っていたほうが良いのですが、角換わりの四手角はつまらないと覚えておきましょう。相矢倉でも4手角は攻めの体制ができるまで時間がかかるので見かけなくなりました。見るのは居飛穴の将棋で角を転回するときくらいでしょうか。攻め筋が限られるので端を絡めたり、先に65歩を突き捨ててスピードをつけたり、何かしらの工夫が必要で、こだわることもないでしょう。


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