*風邪が長引いていて頭が働きません。ストックも切れたので、今日の一手の記事はしばらく休みます。
20191127今日の一手
4月の東海団体リーグ戦から、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
銀歩と角の交換で、持ち歩があるので先手の駒得です。
玉の堅さは同等、ただし飛の横利きを考えれば先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は88角24銀と持ち駒角で3枚。
後手の攻め駒は86飛と持ち駒銀で2枚。
総合すれば先手有利です。
☆ 大局観として
3つの要素で先手がわずかに上回っています。
後手からは87銀と57歩成の攻めがあります。駒得だと思えばこれらを防いで長い戦いにします。でも持ち歩を打つと歩切れなので、明快ではありません。
実戦では強く攻めて後手玉を攻略する方を選んだのですが、読み抜けがありました。自分から動いて失敗すると手ひどい反撃を食らうものです。元が有利とはいっても不利にはなるでしょう。
強く攻める筋を正確に読めるか、強くない攻めでもポイントを稼ぐか、そういう選択です。互いの玉が薄いので、有利を優勢に持っていこうと思えば、激しいことになりがちですが。
☆ 簡単なまとめ
87歩を打つのは安全策ですが、22歩成や54角を入れて33銀成を決行すれば
攻めが決まります。
△か× 収めようと思えば87歩から
82飛58金52飛79角73桂
57銀や65桂を受けねばなりませんが、83角もあるので互角です。歩切れでもあるので元の有利が保たれているとは言いにくく、不満があります。
× 58金は87銀
77角、77金、79角、どの受け方でも駒損になりそうで、受けるならば先に87歩を打っておけねばならないでしょう。
○か△ 実戦は77角打です。
短絡的に82飛33銀成同桂同角成同金同角成で有利だと思っていたのですが89飛成と進んでいたら
79金82竜83歩72竜58歩
こんなところですが、駒損になっています。取り返せるのですが後手からは27歩とか87角とかの対抗策があり、先手が指しにくいです。
実戦では後手がこの順を回避して33角成に88飛成
角を取ってきました。32馬同玉22歩成42玉88金
32飛がありますね。これは先手有利か優勢です。このまま寄せ切れました。
さて単純に33で清算するのではまずかったです。工夫してみましょう。82飛に83歩
83同飛には22歩成同銀33銀成
83歩と22歩成を入れると、33銀成がかなり厳しくなります。飛先を連打で止められても
34成銀26歩22角成
飛と角金の交換で馬成銀がありますから大きな駒得、後手玉を寄せるのも難しくないです。
後手は言うことを聞き過ぎました。83歩には52飛
我慢しておくしかないです。これで22歩成同金33銀成同桂
飛の横利きがあれば22金にひもがついています。でも22飛成同飛33角成
強攻してどうか。まあまあ先手が指せていると思います。(83歩52飛を入れなくてもほぼ同じか。)
○ であれば87歩82飛のところで22歩成
同じ筋で攻めてみます。22同金33銀成同桂22飛成同飛33角成
角が手持ちの分だけ簡単そうですが、28飛打があります。(88に角があれば22馬と取れました。)54桂53銀打39金26飛成
この図はきれいに決まりません。
やはり工夫が必要で、21歩成同金の後(か前に)54角を打ちます。
27歩同飛26歩同飛25歩には63角成52飛28飛
63馬の存在が大きくて、後手は63角成は防いでおかねばなりません。
52玉など守ると33銀成
飛の横利きが止まると攻めやすいというわけです。27歩からの連打でも34成銀~22角成があります。
後手が飛の横利きを止めないならば62飛しかないですが
33銀成同桂22飛成同飛33角成
ここでも63角成が厳しく残ります。
○か△ 別の工夫は87歩を保留して22歩成
82飛と戻さなければ攻めやすいだろうと。22同金に33銀成を決行します。
(その前に54角を打てば52玉87歩82飛で得になるか。)
この成銀は取れませんから、27歩同飛26歩同飛25歩34成銀26歩43成銀
詰めろを42歩など受けたときに87歩82飛22角成
43歩21馬57歩成43馬
この後手玉を寄せ切れるかどうか。攻め駒はいっぱいあるので何とでもなりそうですが、自玉のことも気にせねばなりません。攻防に角を打つのも出てきそうなので何とかなるでしょう。
○か△ 先に54角を打って
何か受けさせて87歩82飛22歩成同金33銀成をねらうのもあります。手順前後が許されるかどうかですが、多分大丈夫です。
△ 他の攻め筋としては33銀成
33同桂22歩成42金87歩82飛35歩
駒損ですが攻める手は続きます。形勢不明。
33銀成を同金だと
87歩82飛22歩成57歩成21と
57と が不気味ですが、とりあえずは駒を補充できます。これも形勢不明。
○か△ 35歩を突いて
45銀ならば飛先の連打でも止まらなくなります。22歩成同金33銀成
これはすぐに勝てるでしょう。
であれば後手は27歩しかなさそうで
27同飛26歩同飛25歩56飛45銀58飛87銀
87銀は痛いようでも、後手は歩切れになりました。77金82飛79角
88歩がありませんし、
79角78銀成(後手に持ち歩があれば88歩だが)同玉
これもありそう。
87銀を無視して53歩だってありそうなのです。
これは比較的リスクの小さい攻め方でした。
☆ まとめ
大技をかけようというときには、正確に読めないとひどいことになります。
88角打から予定通りに進めて89飛成
こんな穴があってはいけませんね。竜で42金の詰めろを防がれて駒損では少し悪いです。
元から銀角と金桂を交換しようというのですから、馬ができるにしてもよくよく考えねばなりません。駒損で攻めるには読みの力が必要です。
攻めるのは基本的に駒損を伴いますから、攻め将棋ならば読みの力をつけるべきです。読めないならば定跡を覚えて使うことです。そのうちに読みの力がついてきます。詰将棋で読みの力をつけようというのでも良いのですが、それは読みに適性があり、詰将棋が楽しいと思う人向けです。(私はこれでも若いころよりも読めるようになってきたのですが、体力がないので読みをさぼってひどい目にあいます。)
さて問題図に関していえば、後手の飛を2段目に戻すと守備力が上がります。それを回避するための工夫が必要です。87歩を打たない、82飛と引かれても83歩を打つ、22歩成同金を入れておく、54角を打って横利きを止めさせる、(正確に読んで)思いついた攻めがうまくいかない場合に何か工夫できないかと考えます。
読むのが苦手だという場合は、54角が見えないにしても、攻める前に22歩成の利かしが必要だ、83歩も打ち得だ、という反省をしておきます。
駒損をする前に工夫しておきましょう。
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