名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

20200119今日の一手(その963);定跡との違いは何か

2020-01-19 | 今日の一手

20200119今日の一手

11月30日の名南将棋大会から、YさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。

 

 

一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

駒の損得はありません。

玉の堅さは先手のほうが少し堅く遠いですが、49金は離れているので大きな差ではありません。

先手の攻め駒はありません。

後手の攻め駒は22角で、飛銀を使おうとしています。

総合すれば互角です。

 

☆ 大局観として

本来の先手後手の関係がわかりませんが、Wさんがそのまま先手だとすれば、先手四間飛車に後手棒銀でしょう。後手Tさんは舟囲いも作らずに急戦です。ただし棒銀での急戦というのは手数がかかるのです。棒銀では64歩~65歩と突いて攻めるので、組み合わせが悪いと思います。右64銀ならばあるのかもしれませんが。

当然定跡書には書いてありませんが、対棒銀の定跡を思い出しつつ、違いを意識して考えていきましょう。ちゃんと対応すれば指しやすくなるはずですが、後手のねらいもあるので、それにはまらないように。

 

☆ 簡単なまとめ

75歩同銀65歩が正解なのですが

自信がない時はやめておきましょう。

68角か59角以下を読んでみる方が無難です。76歩同銀66角67銀

この図に自信が持てるかどうかです。

 

 

× 何か待っているのならば38銀

美濃囲いを完成するのは大きな手です。しかし76歩59角75銀

歩を損しますし、7筋を抑え込まれます。後手の理想は

石田流のような形で65歩を突けば十分です。

 

 

△ おとなしい受けは88角

こうなると後手に主導権があり、少しゆっくり攻めて

定跡に近い形にできます。形勢は互角ですが、後手としては成功です。

 

また95銀というのも気になる手で

77角84銀88角95銀77角・・・千日手です。どちらからも打開できそうですが。

 

 

△ 68角あるいは59角もほぼ同じですが

角を右に引いてみます。76歩同飛75銀79飛76歩

歩を損しなくても、7筋を抑え込まれるのは失敗です。

 

76歩には同銀ですが

66角と出られます。67銀78飛成同銀

先手は82飛がありますから、後手は73銀と受けて83飛71金

74銀とされたら飛が死ぬので、85飛成99角成と進むのでしょう。後手の味が悪いですが、先手の駒損なので形勢は互角です。ならば飛を打ち込まないで77銀か。選択肢は多く、どれも難しいです。(この図で68角が良いか59角が良いかでも、少し選択が変わりそうです。)

 

 

△ 実戦では65歩です。

振り飛車の常套手段ですが、タイミングは少し早いような気もします。77角成同飛76歩には(銀で取ったのですが)同飛とすべきでした。

76同飛同銀の交換は、79飛38銀76飛成82飛

両取りの掛け合いは、玉の堅い先手の有利です。

 

後手は飛を交換できずに75銀

36飛もありそうです。78飛76歩83角としても

角を交換してあれば、7筋を抑え込まれても大丈夫です。後手は飛を逃げにくい、というのは71飛61角成同飛72金51飛62金、で飛を取られる(飛角交換になる)かもしれませんし、飛を取られるならば76の拠点を守り切れません。

 

実戦では76歩に同銀としたので88角

飛取りよりも99角成のほうが痛いのです。(この形にして良いのは98香型の時です。)77角成同桂76飛の筋もあったのですが、後手Tさんは決行せずにこの形になり

桂香を取れるので後手有利に進みました。

 

後手としては76歩を取り込むと同飛が思わしくなかったので、単に88角を打つ方が良いです。

振り飛車らしい対応は66角22銀98香で

77角成同桂76歩84角77歩成56銀

49金も浮いていますし、と金も大きいので後手有利か。

 

であれば77角成は同角

76歩22角成同玉55角

先手の駒損ですが、後手玉が薄いのでまあまあでしょう。

 

 

○ 最後は75歩

定跡書では疑問手とされることが多いのですが、75同銀65歩77角成(44歩にも55角があるので交換せざるを得ない形)同桂

84銀の形では桂で取れないですが、75銀と呼んであるので桂で取れます。76歩85桂33角というのがよくある攻め方ですが

76銀同銀73歩

こんな返し方があります。82飛76飛85飛72歩成87飛成74飛83竜

と金を取られて少し面白くないですね。

 

ならば76歩の時に83角を打ち

後手は歩切れなので77歩成同飛の形にはできず、71飛くらい。85桂77角73歩

99角成61角成同飛72歩成77歩成61と78と72飛

というのが一例ですが、先手が有利に進められそうです。

 

☆ まとめ

定跡を理解するためにも、少し形が変わったら、何が違うのかを考えてみるとよいです。詳しい定跡書の変化のすべてを丸暗記するよりも楽しいです。

ここでは88角は無難だけれど、後手のうまく立ち回られると指しにくいかもしれません。これは定跡書のように進むと面白くないという例です。

68角や59角は、66歩が浮いてしまうのでだめなようにも思えますが、76歩同銀66角67銀

これで飛交換になれば、棒銀が遊んだままですから歓迎、と思ったら交換して73銀と我慢されて互角、無難な展開になりそうです。

 

強く戦うならば角を交換しに行くのですが、実戦のように単に65歩で角交換は88角が嫌味です。

後手が64歩を突いていないから、香を取られる間に仕事をしにくいです。これでも66角を打てば難しいですが、好んで選ぶものではないような気がします。

 

75歩同銀65歩が正解なのですが

鷺宮定跡に似ています。棒銀を5段目に進出させてはいけないというのが振り飛車の先入観としてあるところですから、銀を呼び込んで77角成を同桂と取って強くさばいてしまえ、と読めるかどうか。しかし83角を打てるのも魅力がありますね。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大山将棋問題集20200118 | トップ |  大山将棋研究(1477);中飛... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

今日の一手」カテゴリの最新記事