Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

何かが是正されるとは思えない

2014-11-01 | Weblog
国会は「政治とカネ」問題で紛糾しているそうだ。新閣僚の違法かつずさんな金銭管理を野党に攻められた安倍首相は側近議員に「撃ち方やめになればいい」と漏らしたという。そして国会で「いわゆる誹謗中傷は、やめるべきではないか」と言ったその舌の根が乾かぬうちに政治資金収支報告書記載漏れが29日に発覚した民主党枝野幹事長に反撃、それをまた枝野幹事長が「誹謗中傷合戦はやめた方がいいとおっしゃったのは、総理だと思っているが」と返したりとか、泥沼なのだという。
民主党議員が「8人の閣僚の問題点を記した顔写真入りのパネル」をテレビに映るように提示したことについて、安倍首相は「公共の電波を使ってイメージ操作するのは、私はおかしいと思いますよ。一人一人の、安倍内閣の閣僚の名誉がかかっているんですから」と言ったという。
NHK人事操作や朝日新聞への圧力などを隠さない安倍政権に「公共の電波を使ってイメージ操作するのは良くない」などと言う権利はない。
いわゆる「従軍慰安婦問題」取材に関わった朝日新聞の元記者が非常勤講師をしている大学が脅迫を受けた問題。札幌の北星学園大学学長が「講師を辞めさせないと学生に危害を加える」「爆弾を仕掛ける」という内容の脅迫に屈し、警備などを念頭に人手や財政面の負担が大きいことなどを理由に、来年度は元記者を雇用しない考えを学内の会議で伝えていたという。
安倍政権はまず、表現の自由、学問の自由が損なわれる事態を招いた責任をこそ、とらねばならないのではないのか。
しかし安倍首相はその逆に、30日の衆院予算委員会で、「撃ち方やめになればいい」発言について朝日新聞だけを名指しして「捏造だ」と反撃。首相本人でなく側近の発言ということにしたいらしいが、何の差があるのかよくわからない。
朝日新聞報道局は、「捏造ではなく取材にもとづいて書いたもの」であるとし、また、安倍陣営が指摘するような「朝日新聞社の安倍政権を倒すという社是」についても、「ありません」。そりゃそんな「社是」はなしだろう、普通。安倍陣営こそが、追及されるだけのことをしているのだ。
小渕優子元経済産業相は市民オンブズマンに刑事告発されるところに留まらず、周辺に操作の手が入り関係者の辞任も相次ぎ、本人の議員辞職まで発展するだろうとされている。「うちわ問題」じたいがあまりにも不毛だが松島みどり元法相は在任中の「私、法務大臣ですから、一つ一つの事案についてのことは~」という言い方から既に「壊れていた」し、そもそも安倍の政策は「女性が輝く社会」を目指し女性の活躍の舞台を用意するというが、逆行するものばかりだ。上場企業に女性役員数の公開を義務付ける方針とか、女性幹部の比率を規定するとかいうのは、政権が日本の経営陣たちに自分たちの都合のいい人事を行うための機会と方便を与えているだけなのだろう。だいたい、増える一方のダーティー閣僚のうち、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)から献金を受け取っていた山谷えり子国家公安委員長こそが、真っ先に辞めるべきだ。

これだけの不祥事続きで国会審議がまともに進まないことは、それを言い訳に国会審議を早々に打ち切り駆け込み採決を強行するための伏線というか作戦なのではないかという気がしてくる。まずは前の国会から提出されている派遣法の改正案を無理矢理通そうとしているが、この先もっとひどい法案を通そうとしているわけだ。

「庶民が飛びつきやすい政治とカネ問題」が半ば政権とマスコミの捏造のような気がするのは、彼らがあまり問題にしてほしくない、隠していること、追及してほしくないことが多すぎるからだ。国民の年金があれこれ受給と支払を繰り上げられたりそもそも資金を株価対策に使われる問題等もあるし、枚挙にいとまがないが、その最たるものはやはり原発関係である。
福島第一原発1号機の建屋カバー屋根の穴開け作業で、通常は約30センチ四方の穴が、約1メートル×2メートルに広がった件を露払いのように、「使用済み燃料プールからの核燃料の取り出しの開始を2年、溶け落ちた核燃料の取り出しは5年、それぞれ現在の計画より遅らせる」という方針の、どさくさの発表であろう。
この計画遅れの責任は誰がとるのか。どんな影響が考えられるのか。現在の工程表では、廃炉作業は30~40年かかるとされている。東電は「廃炉計画全体は後ろ倒しにはならない」と説明しているが、根拠が示されているわけではない。「溶融燃料の取り出しには不確定要素が多く」と誤魔化すばかりだ。
青森県六ヶ所村にある使用済み核燃料の再処理工場も完成時期が再来年3月に延期。試験運転の段階でトラブルが相次ぎ、完成時期が延期されるのは今回で22回目。そもそもこれらの再処理計画はじめ原発の全ての計画に無理があったのだ。

国会が「政治とカネ」で紛糾と聞いても、何かが是正されるなどという甘い期待は、微塵も抱いてはいけない。
お子様的というか、ダークSF的というか、私が子どもの頃なら想像もつかない愚かしく悲惨なことが、日常的に行われすぎている。
今この一瞬にも、この国の暴政に苦しめられる人間が増えている。
そういう実感だけがリアルにある。
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