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Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

村上春樹新作をやっと読む

2013-08-18 | Weblog
じつは私は小説を読むのが苦手だ。借りていた本、村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』をやっと読む。確かにいつもの話術であり、それなりのクオリティはあるとは思うが、こんなに読み進めにくい小説とは思わなかった。内容に比べて長すぎる。あまりにも御都合主義。人物に色彩を当て嵌めたりして寓話的にしているからいいというつもりか? ネタばれなことを言えば、精神を病んだ若い女性がいることが原因で展開するプロットは、『ノルウェイの森』同様だが、私はこの手はほんとうに感心しない。だからこそキワキワの所にあえて挑んだのかも知れない前作よりも、切実さが乏しい。ラストに主人公を宙ぶらりんにするところも似ているが、だらだらと引き延ばして決め手に欠けている。夢の世界や伝聞の挿話が出てきて現実を批評するのはこの人のパターンだが、ありきたりというか、意味ありげなだけというか……。六本指の話なんて幾らなんでも手垢にまみれているだろう。これまでも結果として多くの作品が「青春小説」であることがエクスキューズになっている作者だが、自分の子供に当たる世代の人間を題材にしているからか、なんだか登場人物をなめている、見下しているという印象を与える。名古屋やレクサスという具体的な固有名詞が出てくるのも中途半端な現実感で、しっくりこない。色彩のことと同様に、翻訳した時にやっと完成形になるといわんばかりの、ずれた距離感なのだ。これまでのこの作者の作品については、私は内田樹氏の評の数々が自分に近いが、だから、ハズレの時はハズレだと思うものの、必ずしも否定的なわけではなかった。最近作者が発するようになった社会的なメッセージも嫌ではない。ただ、内田氏と共有する観点から言えば、作品からレイモンド・チャンドラー的な角度と深みが見事になくなっている。作者が本当には作品世界に入り込めていない、だから批評性が獲得されていないという感じがするのだ。主人公が魅力的なのに本人がそれに気がついていないというのもいつものパターンだが、その「疎外」を感覚的に保証する仕掛けがないので、今回は、ただただ愚かに見える。「完成された友人たち」のグルーブ、主人公が「死ぬことばかりを考えていた」という設定も、言葉だけで、まるで映画の梗概だけをしつこく読まされている感じだ。村上春樹氏の本は再読した時に「あれっ? こんなだっけ?」となることがあるのだが、今回は初めて読むのにそういう感覚がある。この本、じつはあまり売れていないという噂は、本当かもしれない。
この本を読み終えたのは数日前である。
昨日はあまり眠る時間のなかったまま、劇作家協会で六時間の会議と面談。遠方よりいらした皆さん、お疲れ様でした。内部的には、今回の「劇作家大会」の運営は、これまでの大会に携わってきた者たちよりも新世代に仕事を引き継ぐ意味も兼ねているから、丁寧に過程を踏んでいる。……久しぶりに讃岐うどんをシンプルに食べ、自転車移動、夜十時半まで稽古、日付けが変わるまで海外公演の荷物搬送等の打ち合わせ。さすがにへろへろになる。
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戦死者・被爆者が浮かばれない

2013-08-17 | Weblog
故・中沢啓治氏が自らの被爆体験を基に描いた漫画「はだしのゲン」について、「描写が過激だ」として松江市教育委員会が昨年12月、市内の全小中学校に教師の許可なく自由に閲覧できない閉架措置を求め、児童生徒への貸し出し禁止も要請していた。全校が応じ、現在、「はだしのゲン」全10巻を保有している市内の小中学校49校のうち39校全てで、閉架措置が取られている。古川副教育長は「平和教育として非常に重要な教材。教員の指導で読んだり授業で使うのは問題ないが、過激なシーンを判断の付かない小中学生が自由に持ち出して見るのは不適切と判断した」と言う。教育委員会は「漫画の中に、人の首を切る場面や女性が乱暴される場面など、一部に小中学生には過激な描写がある」「平和への願いなど、作品に込められた趣旨は高く評価しており、教員が指導して平和学習の教材として使うことには問題はないが、過激な描写が含まれており、子どもが自由に読むことについては疑問がある」としている。原爆被害を伝える作品として教育現場で広く活用され、海外でも約20カ国語に翻訳されている作品が、なぜ、まさに作者が読ませようとした子どもたちから、遠ざけられなければならないのか。松江市では昨年8月、市民の一部から「間違った歴史認識を植え付ける」として学校図書室から撤去を求める陳情が市議会に出されていた。同12月、不採択とされたが市教委が内容を改めて確認、その月の校長会で「はだしのゲン」を閉架措置とし、できるだけ貸し出さないよう口頭で求めていた。「陳情」とは何か。私は、真に「愛国心」のある者なら、国民が苦難に耐えて生きようとする姿を描く「はだしのゲン」を支持するのが当然だと思うが、「はだしのゲン」をネット上で「嘘出鱈目反日極左マンガ」「30年以上にわたり日本人に自虐史観を植え付けた」と決めつけた偏った思想の持ち主が、原爆被害の過去を風化させ、戦争や原爆の記憶を継承させないように図り、教育者たちがそれに屈したのだ。なんと情けないことか。「はだしのゲン」について「ありもしない日本軍の蛮行が描かれており、子どもたちに間違った歴史認識を植え付ける」という「陳情」もあったという。日本軍の蛮行、戦争の悲惨さは、事実である。それを子どもにもわかりやすく描いた漫画だ。侵略と暴虐の歴史を改竄し、被曝被害を隠蔽して原発を推進したい政府に媚びを売り、国家主義者たちに都合のよいように史実を捏造してはならない。今回の経緯を知るにつれ、これは被爆者への新たな差別であると思った。こんな横暴を許しては、多大な苦しみを背負った戦争の被害者たちが浮かばれない。
私は観ていないが、TBSが作成した特集番組「沖縄戦 4割がトラウマ」の中で、宮里洋子さんが取材を受けた場面で、テロップは「集団自決」だったにもかかわらず、音声は「一家心中」になっていたという。沖縄戦の「集団自決」を「一家心中」と言い換える意図とは何か。ここにも隠蔽と差別がある。戦争・軍隊に追い詰められた者たちが、選ばざるを得なかった死を、「一家心中」とごまかし、国家・軍隊の責任をなかったことにしようとするような捏造を、断じて許してはならない。
広島と長崎に投下された原爆について、イスラエル政府の高官が、「日本による侵略行為の報いだ。独り善がりの追悼式典はうんざりだ」「広島と長崎での原爆投下は、日本が侵略行為の報いを受けただけだ。日本が追悼すべきは帝国主義や大量虐殺で犠牲となった中国人や韓国人だ」などとインターネット上に書き込んでいたという。この高官は停職処分になっているというが、こうした発言が出てきているのは、侵略の事実や戦争被害への責任を認めずにいる日本政府の歴史認識と態度にこそ、原因がある。
「好戦的・軍国的な愛国心」がこの国を一度絶望的な被害と頽廃に追いやった歴史を、忘れてはならない。

明るい話題は楽天の田中将大投手が連勝をプロ野球新記録の21に伸ばしたことくらいか。楽天初優勝も間近だろう。
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戦争ではなく大量殺人

2013-08-16 | Weblog
安倍首相が終戦記念日に「不戦の誓い」をしなかったと報道されている。この男は言ったってどうせ口先だけだが、言うと言わないは、大違いだ。……私が靖国神社に行ったことがないと言うと驚く人がいる。そんなに珍しいか? ……エジプトでは混乱が続いているようだ。国連の介入も困難。「和解」のためには民主主義への「信頼」が必要。国家が民衆を武力で制圧するということだけでも、なんとか阻止できないのか。……我々は表面上「平和」を享受しているわけだが、それが多くの犠牲と矛盾の上に成り立っていることは忘れてはならない。……美輪明宏さんが「戦争」というコトバをやめて「大量殺人」と呼びなさい、と言っているという。それはそうだ。「戦争」を「やむをえない」という人たちは、「大量殺人」を容認しているということなのだから。「戦争のできる普通の国」を目指す安倍政権は、「大量殺人のできる国」になりたがっているということになる。……前夜に岡山で師走の劇団公演を応援してくださる方々と会う。感謝。朝から移動。帰京し、いろいろ。……夜、観劇。本当に困った。ここまでの困惑は、十年に一度レベルだ。
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慰霊は心の中のこと

2013-08-15 | Weblog
安倍首相が終戦記念日に合わせ、「自民党総裁として」靖国神社に「私費で」玉串料を奉納する意向を固めたという。自身の「参拝」は見送り、東京裁判A級戦犯が合祀された靖国神社への参拝に反対する中韓両国への「配慮」を示したわけだが、「参拝」という絵柄こそないが、内心を明らかにしたことにはなる。反発は必至。私はこの問題はまず「政教分離」を徹底すべきと思う。……「A級戦犯への参拝」が「戦後処理」を否定しているように見られることは、国際社会の常識。麻生ナチ容認発言がとどめをさしたように、安倍政権の歴史観は世界の「疑惑」を払拭するのは不可能だ。これだけ諸外国に叩かれても、まだ懲りないということだ。
安倍政権は「戦争のできる普通の国」になりたいという意志を隠さず、平和憲法を尊重しない。孤立の道を辿るのみだ。
……他国の軍隊と合同演習をする自衛隊員たちが「早く自衛隊を『軍隊』にしてほしい」と愚痴をこぼしているという話も、以前からよく聞く。昨日も知り合いから聞いた。自衛隊員たちは他国の軍人たちに一人前扱いされないことが屈辱なのだという。そういう話を聞いて、同情する人たちがいる。しかし、よく考えてほしい。自衛隊員たちのプライドを守るために、自分の子どもを戦場に送り出したいか。平和憲法を抱くゆえに勝ち得た他国からの信頼を、全て反故にするのか。平和憲法がどれだけこの国を守ってきたか、他国に評価されてきたか、あまりにも日本国内で知られていないのだと思う。だから最終的に自衛隊員たちも言うのだ。「決めるのはあなた方だ」と。文民統制を守ることは日本を守ることだ。
命を大事にすること、戦場に二度と子孫を送り出さないこと。その誓い以上の戦死者に対する「供養」はないと、私は思う。
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曲解と捏造の横行

2013-08-14 | Weblog
沖縄県与那国町長選、陸上自衛隊の沿岸監視部隊配備推進派の現職・外間氏が47票の僅差で当選。住民投票は考えておらず「反対派の皆さんにはご理解いただくしかない」という。過疎対策・経済と引き替えに平和と自然を失い、基地の島になってしまう。本当にそれでいいのか。
米海兵隊オスプレイの普天間飛行場への追加配備再開。「野嵩ゲートで反対の座り込みをしている人たちが交通妨害をしていて一般市民が迷惑している」という悪意の情報がネット等で垂れ流されているようだ。そもそもオスプレイ配備反対派が狭い歩道にいるしかなくなっているのは米軍の要請で建てられたフェンスでもともとの座り込みの場所に入れなくなったことが原因であり、たいへんな曲解だ。もっとひどいのはフェンスに反対のメッセージのリボン等を付けているデモンストレーションを「高校生ら善意の市民」が外す「浄化運動」をしているという「情報」で、「反対派がなりふり構わぬあくどい手法で運動している」という印象を植え付けようとするものである。他にも、今までも散々聞かされてきた、「反対派に沖縄県民はおらず」県外から来た「プロ市民」が扇動しているとか、「お金が動いている」とか、呆れるしかないデマが飛ばされている。……では、沖縄県民は皆、オスプレイを歓迎しており、一部の偏った人間だけが反対しているというのか。
自民党・小泉進次郎議員は、8月5日に墜落した嘉手納空軍基地所属の米軍ヘリについて「東日本大震災で救難活動をしたトモダチ作戦で使われたヘリだと報じてほしい」とマスコミに注文を出したという。小泉議員は米軍のハーフの女性兵士についても触れ、「あのトモダチ作戦の、一つの大きな功労者というか、そういった部隊でもある」という。とんちんかんな話だ。事故で死亡した兵士は「トモダチ作戦」に参加していたわけではないだろう。否、参加していたとしたって、事故の問題と「トモダチ作戦」には、何の関係もない。兵器は兵器であり、人は人だ。また、兵器が何に役立つかということと、兵器そのものの危険度も、別な話だ。私には、「広島・長崎に原爆を投下したことは、日本との戦争を終わらせることに貢献したから正しい」とする米国の保守的な見方と変わらぬ、ためにする詭弁にしか聞こえない。
そういえば「広島・長崎への原爆投下は正しくない」と言いきったオリバー・ストーン監督が宜野湾を訪問したようだが、ゲート前には来なかったのだろうか。
八月は「終戦の月」として、戦史ものの番組や映画、記事が多いわけだが、「軍国主義の美化」や「史実の捏造」については、生き証人の方々が既に多く亡くなられているだけに、慎重に監視・検証していかなければなるまい。かなりもっともらしいものの中にも、巧妙な嘘が潜んでいる場合がある。
石破政調会長が「原子力は核武装のためにある」と明言。集団的自衛権の行使を巡る憲法解釈の見直しについて政府は「有識者懇談会」をでっちあげ、「議論を踏まえて対応を改めて検討していく」という。「現時点で集団的自衛権に関する政府の憲法解釈は従来どおりである」という言葉が本当なら、議論の余地などあるはずもない。

こうした現実の空気に馴らされないためにも、未見の方には、映画『標的の村』を、ぜひ観てほしい。夥しい「事実」が、私たちを覚醒させてくれる。
http://hyoteki.com/news/?p=141
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映画『標的の村』公開

2013-08-11 | Weblog
沖縄やんばる東村高江、米軍ヘリパッド建設に抗う人々を描いたドキュメンタリー映画『標的の村』が、ついに東京公開初日を迎えた。会場のポレポレ東中野は画面は大きいが客席数は百余の映画館であり、初日から二週間は12:40開映の一日一度だけの上映ということもあって、初日分のチケットは十二時前には完売という滑り出しとなった。駆けつけたかなりのお客さんが、観ることができなかったという。そこで急遽、一日一回のみの上映予定は第一週のみ、来週からは21:10開映のレイトショーが加わり一日二回の上映となる。24日からは更に上映回数が増える。ポレポレ東中野では朝10時より、入場整理券の発券を行っていて、前売り券を持っていても、当日受付にて入場整理券との引き換えが必要になるという。
こちらは日中稽古なので、上映には駆けつけられなかったが、夜、同作品のテレビ版で受けた「日本ジャーナリスト会議JCJ賞」の授賞式を終えたばかりの三上智恵監督、撮影・編集の好漢・寺田俊樹さん、配給会社東風の人たちらと、歌舞伎町の中華屋で内々の祝賀会。まあ、ちょっとした打ち合わせもあったのである。上映回数の増える24日の週から、「非戦を選ぶ演劇人の会」も協力し、いろいろとイベントを考えているのである。ポレポレ東中野ロビーでは既に「ゆんたく高江」による高江の状況をわかりやすく紹介する展示、高江支援のTシャツ等の高江グッズも販売されている。
帰宅して、初日舞台挨拶の映像がアップされているのを観る。さっきまで一緒に飲んでいた人たちが、その前にやっていたお仕事の、収録映像を観て、とにかく、胸を張って前に進んでゆけば、まだまだ、正しいことは正しいこととして受けとめてもらうことができるのだと、本当に久しぶりに思うことができて、ありがたい。心から感謝する。
http://hyoteki.com/

本日、東京の予想最高気温38度。なんたることか。
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ただでさえ暑いのだから

2013-08-10 | Weblog
田上長崎市長が、総理の前で鋭く政府を批判。九日の長崎市の平和祈念式典で「核兵器の非人道性に関する共同声明」への不賛同について「なぜ賛同できないのか。その理由をお聞かせいただきたい」。彼は、「『いかなる状況下でも核兵器を使用してはならない』という部分が、日本の安全保障政策と合致しない。全ての賛同国に理解を得るには時間切れだった」という天野万利・軍縮会議政府代表部大使にも「それは違う。いかなる状況でも核兵器を使用しないことが人類の利益であることは、被爆地としては当然だ。説明は納得できない」と反駁。こういう話を聞くと、まだまだ正常な神経の人がいることに、安堵する。

「朝まで生テレビ」。しばらく観ていたが、ひどい。うっとうしい山際や東に垂れ流しのように喋らせるな。糸数慶子さん一人が毅然としていた。三十分くらいは観たが、番組じたいにうんざりして、寝る。
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笑えない現実

2013-08-09 | Weblog
露見しようがしまいが、東電福1原発の汚染水は海に流出し続けている。地下水が原発を通過して汚染水となり海に出て行く現実に対応するため、今後は原子炉建屋に流れ込んで汚染される前に山側の井戸で地下水をくみ上げ海へ放出する「地下水バイパス」計画などを進めるという。本当に可能なのか。有効性は保証できるのか。可能ならなぜとっととやっていなかったのか。「除染」同様にゼネコンを太らせるだけの事業にならないのか。監視するしかない。
報道によれば、震災に伴う原発事故をめぐり、原発周辺の被災者ら計約1万5千人が、住民が被曝して傷害等を負ったとして、震災以降、断続的に告訴・告発してきた。しかし検察当局が、業務上過失致死傷などの疑いで告訴・告発されていた東電幹部や政府関係者ら全員を、不起訴処分にする方向で調整していることがわかった。……そもそも政治家の責任を問うなら自民党政権時代に遡らねばならないと思うが、「政治」の責任はないのだという。そして、東電幹部らについて、「刑事責任を立証するのは、困難」という。
そうだろうか。事故前から危険を指摘する声も、具体的な言及もあったが、無視されてきたのだ。……形だけりっぱな不完全なトイレを作り、壊れる可能性を指摘されても無視、壊れてまわりに汚物を撒き散らし続ける状況が続いていたら、普通の社会なら、誰かが責任を取るだろう。誰も責任を取らないからこそ、垂れ流しの状況を解決もできないままに、そのトイレを他所様に売りつけるなどという、厚顔無恥な行いができるのであろう。責任を取らないからこそ、現実に進行している事態の重みを感じずにいるのだろう。

稽古。今日は集中して六時間弱。密度の濃い稽古だと本当は1日あたりこのくらいの長さでありたいのだが。
打ち合わせと段取り確認を経て、夜は音響を中心におのおの裏方作業。今後に向けて諸々の決定をしていく。
下北沢に行き〈親族代表〉の「第三次性徴期」を観る。八時開演なのでぎりぎり観ることができた。きっかけは劇作家協会戯曲セミナー研修課で関わる佐々木充郭君が演出だったからであるが、考えてみれば舞台でコントを観るのは久しぶりだ。やはり三人組のコントというのはいいものだ。+紅一点(峯村リエ)というのもいいものだ。ケラや前田司郎らいろいろな人が台本を書いているが、観る前には誰がどれを書いたかは知らされないようになっている。なるほど。結果、意外とみんな「演劇」寄りになっていて、いちばんコントらしいコントを書いていたのは、佐々木君自身だった。
現在稽古中の『屋根裏』も、かつて国内某演劇賞の選考過程で「これはコントですよ」と言われて「作品賞」候補からは外された、という話を関係者から聞いたことがある。でもそのとき『屋根裏』は読売文学賞をいただいているので、文学ではあるのだろうか。あるいは「コントも文学だ」ということか。

まあ原発や憲法のことやTPPやら、日本に今起きているあらゆることは、まさに「笑えないコント」なのであるが。
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世界が見ている

2013-08-08 | Weblog
民主・みんな・共産・生活・社民の5野党は、憲法改正を巡り「ナチズムを肯定する暴言」を吐いた麻生副総理兼財務相について「国際社会での我が国の信頼を大きく傷つけた」と批判、安倍首相に麻生氏罷免を求める声明をまとめた。7日閉会した臨時国会で、与党側が麻生氏の発言を審議する衆院予算委員会の開催に応じなかったことについても「国民への説明責任を放棄する暴挙」としている。しかし菅官房長官は「麻生氏が訂正しており、安倍政権の立場は表明している。問題にすべきでない」として、首相官邸を訪ね声明文を渡そうとした野党側に対して、受け取りを拒否したという。
日本語を理解していないとしか思えない麻生発言擁護派も現れているが、国際的な非難が続いているナチ肯定発言は、どう考えても言い訳ができないし、門前払いはひどい。こうした経緯も全て世界に注視されていることを、わかっていないのか。

資源エネルギー庁によると、東電福島第一原発では山側から海側に1日約1千トンの地下水が流れ込んでいるという。このうち、原子炉建屋などへ流れ込んだ約400トン、さらに残り600トンのうち300トンが建屋周辺の汚染土壌の影響で汚染水となり、海に流れ出ているという。「東電による汚染水対策は破綻しており、政府は国費を投入して対策に乗り出す方針を固めた」というが、当然やらなければならないことなのに遅すぎるだろうし、今まで東電に渡した金はどうなるのだ。この緩さ、いい加減さも世界に知れ渡っている。……汚染水だけではない。放射能のゴミ=高レベル放射性廃棄物をどのように処理、管理していくか。課題だらけだ。今すべきことは、原発を売りつけたり再稼働を画策したりではないはずだ。

三上監督のウェヴ上のインタビューから、『標的の村』映画化の直接的なきっかけの一つが、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルだったことがわかり、感慨無量。できることなら斎藤憐さんに伝えたいと思う。

午前中からTPP関連で日本農業新聞の取材を受ける。その後、劇作家協会の打ち合わせ。暑い昼間、自転車で環七を南下し、稽古場へ。夜まで。
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あらためて150字ブログを目指す

2013-08-07 | Weblog
通り雨だったがあまり雨に濡れたくないので、久しぶりに電車に乗る。自転車ばかりで移動していた。まあ、また自転車に戻るが。

新参議院議員・山本太郎氏の離婚についての記者会見。なんというか、「元妻」の状況にずいぶん複雑な事情があるらしいが、だったらあんなに喋らなければいいのにと思う。いろいろなバッシングを受けるだろうが、周囲も庇いようがないだろう。誰が参謀のような人がついていないのかな。それとも、自分の「喋り」に自信を持ちすぎているのか。

あらためて150字ブログを目指すが、二百字を超えてしまう。
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だから必ずオスプレイも落ちる

2013-08-06 | Weblog
防衛省によると、5日午後4時すぎ、米軍ヘリ2機が宜野座村松田の米軍基地キャンプ・ハンセン内で、嘉手納基地の米空軍第1航空隊所属のHH60ブラックホーク1機が古知屋岳山中に墜落、炎上。乗組員4人のうち、3人が脱出、1人が行方不明。黒煙は一時、高さ300メートルくらいまで上がっていたという。
現場の演習場は住宅地から約4キロしか離れていない。沖縄自動車道までは最短約1キロで、周辺にはJAの研修施設やゴルフ場、ダムなどがある。HH60は、湾岸戦争で使われたほか、アフガニスタン、イラクでも活動した機で、全長約17メートル、重さ約10トン。こんなものが生活の場に墜落し、炎上したらどうなるか。「いつ事故が起きてもおかしくない」基地に隣接した沖縄の危険さが改めて証明された。日米地位協定により、県警も消防隊も米軍の合意なく基地内に立ち入ることはできない。
折しも米軍がMV22オスプレイの普天間飛行場への追加配備強行が始まっている。普天間基地のゲート前では県民による抗議活動が続けられている。普天間飛行場周辺の小学校では児童が墜落に備えて避難訓練をしているが、じっさい、米軍機が沖縄で年一回のペースで落ちている。5月下旬、米軍のF15戦闘機が沖縄本島東側の海上に墜落したから、今年は二機め。とうぜん落ちると心配されているオスプレイが落ちないという確証が持てるはずがない。いったいこれのどこが「沖縄の負担軽減」か。まずは事故の原因をはっきりさせる必要がある。糸数慶子参院議員が言うように、墜落の原因究明はもとより、直ちに「墜落ヘリと同機種の飛行中止とキャンプハンセン施設内のあらゆるヘリ訓練の中止」を強く求めるべきである。
小野寺防衛相は事故について「遺憾だ」と言うだけ。日本政府は「まずいタイミングだ」とぼやくが何も力がない。在日米海兵隊は5日深夜になって、米軍岩国基地に陸揚げし、駐機しているMV22オスプレイ10機について、この日の米空軍ヘリの墜落事故を受けて「日本政府からの要望を尊重し」普天間飛行場への移動を延期すると発表。……延期は延期でしかない。普天間飛行場の辺野古移設じたいを見直す運動に繋げなければならない。

最近、各界の自分よりも若い世代と話していて、時々、まったく保守的になってしまっているというか、マスコミの大文字の宣伝にすっかり洗脳されてしまっている一部の人に会って、驚くことがある。例えば彼らは「沖縄の負担」について「国全体の利益を考えれば沖縄が犠牲になることは仕方がない」と言う。「そのぶんの補償はされているんでしょう」とまで言う。本気でそう思いこまされているのである。「TPP」についても「国際舞台のテーブルにつくためには必要」「現在の不均衡を是正するためにはやった方がいい」と言う。農家が廃業を余儀なくされてしまってもいいのかと聞いても、「仕方がない」と言う。「日本は工業だけの国でいい」とまで言う。そういう一部の人たちは、沖縄の現実も農家の暮らしも知らないのであろうが、彼らにとって「アメリカと繋がっている日本」であることが大前提であり、それが「屈従」だとしても、自然に受け止めているのである。おそろしいことだ。
そういう洗脳下にあっては、私の言うことなど、一種のトンデモ発言にしか聞こえないのかもしれない。だが、言葉は伝えられる。意識は閉じさえしなければ自ら変えることのできるものだ。諦めずにゆくしかない。
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オスプレイ飛来

2013-08-04 | Weblog
米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機のうち2機が3日、岩国基地から普天間飛行場に追加配備された。安全性や常駐配備に伴う騒音激化など直面する問題から、そして沖縄に対する根源的な差別、日米地位協定の不条理への怒りの持続の上で、世論調査では県民の八割が反対する中でである。
オスプレイには「抑止力」などない。たんに米海兵隊の「アイデンティティ」のために存在するものだと私は思う。既に米国でも出ている「海兵隊不要論」に対して、いかにも海兵隊の必要性をアピールできる絵柄を保てるからだ。そして日本政府にとっては、アメリカへの「従順」を証明するものだ。そのために沖縄を犠牲にすることが、正しいわけがない。
普天間飛行場では配備反対を訴える市民が一時、飛行場のゲートを封鎖するなど抗議は激化した。政権与党の自民候補が敗れた7月の参院選沖縄選挙区の結果を踏まえれば、「反基地の沖縄の意思は強い」のは自明。政治家としてきっちり抗議行動に参加したのは参議院三選を果たした沖縄社大党の糸数慶子さんだ。だが「県民の不安が払拭されないまま持ってくるのは遺憾だ」と不快感を表明している仲井真弘多知事も、「残念だ。市民が一番負担を強いられ犠牲になっている」と反発のポーズを取る佐喜真淳宜野湾市長も、そして辺野古移設を唱える自分自身の党の方針を裏切って「県外移設」をうたって当選したはずの自民党議員たちも、現場に姿を見せるでなく、抗議する一般市民と一緒に反対を訴えては、くれない。
午前8時半過ぎ、座り込む住民らは一時、野嶽ゲートを封鎖。市民の手足を県警警察官が抱えて強制排除する事態となった。県警は、警察官の制服のボタンをちぎったとして公務執行妨害の疑いで住民の一人を現行犯逮捕。オスプレイ配備への抗議活動で逮捕は初めてという。そしてアクティブな抗議行動で知られる肉体派のTさんが、熱中症で倒れ救急車で緊急搬送される事態に。
この事態を、逃げも隠れもできないまま、とにかく受け止めていくしかない、沖縄の人たち。今日も一日仕事、行けませんし、遠くから思うだけですが、私の心は、そこに飛んで、皆さんと共にあります。昨年秋の市民による普天間封鎖をも描き、本編の中でTさんも大活躍するドキュメンタリー映画『標的の村』のヒットのためにも、少しでもできることをしていきます。
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「わかっていながら、何もしなかった」

2013-08-03 | Weblog
麻生副総理兼財務相は自身の「ナチスの手口を学んだらどうか」発言について、「ナチス及びワイマール憲法にかかる経緯について、極めて否定的にとらえていることは、私の発言全体から明らかだ」「誤解を招いた点は撤回すると言ったので、真意を十分に理解してもらえたと思う」と釈明したが、とてもそうは思われない。嘘つきであり、まやかしだ。彼は責任を取って閣僚を辞めるつもりはなく、発言に反発したユダヤ系人権団体や韓国、中国政府などに謝罪する意思も「ありません」と語ったが、謝罪すると発言を認めたことになるのを怖れているのだろう。政府は本人の発言撤回で事態の幕引きを図るが、影響が国際的に広がってしまっただけに、そう簡単に事態が収拾されるはずはない。今や全世界から、自民党・安倍政権の「改憲」目的は、戦時体制を整えるためにあると思われている。これを今止めなければ、日本にいる憲法と平和を大切に思っているはずの人たちが沈黙していた、「わかっていながら、何もしなかった」ということになる。世界の視線に応えなければならない。
東電福一原発で事故後の2011年5月以降、地下水を通じて海に漏れ出た放射性トリチウム(三重水素)は20兆~40兆ベクレルに達するとの試算結果が発表された。事故前に運転で1年間で放出されていた量の約10~100倍にあたるという。こういう数字に鈍感になっているこの国だ。ひどい話だ。小出教授が言うように、政府・東電・専門家たちは「わかっていながら、何もしなかった」のだ。
この海洋汚染問題について、震災・原発事故当時の菅首相がブログで発言している。私は菅直人という人がバッシングされる状況については、敵対陣営に利用されやすい、世間に八つ当たりされやすいという印象で、なるべく公正に見ようとしてきたつもりだ。ところがご本人のブログでは、<海洋汚染>について、「福島原発からの海洋汚染が深刻な問題になっています。事故発生から間もない時期に、地下水が原発の敷地の地下を横切って海に流れ出ているのを防ぐためには敷地全体を地下の岩盤まで届く鉄板で囲むことが必要という提案を外部の専門家から受けました。早速、政府と東電の統合対策本部に検討するように指示しました。約一千億円かかるということで東電が難色を示し、残念ながら今日まで部分的な対策しかとられていません。海洋汚染は国際的な大問題となる可能性が大きく、今からでも徹底した対策が必要です。」という。……指示しただけなのか? 命令にはできなかったのか。東電が難色を示してもやらせるべきだったのではないか。なぜできなかったのかディティールを示すべきだ。菅元首相が「本気」だったらその後も働きかけ続けてきているべきだったし、今からも働き掛けるべきである。この文章自体が理解できない。なんだか他人事のようで、たいへん失望を感じる。

http://ameblo.jp/n-kan-blog/entry-11584751280.html
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「いつもと同じ夏」ではない

2013-08-01 | Weblog
東電福1原発の放射能汚染水増加の件。原子力規制委員会の田中俊一委員長は「かなり深刻で、切迫している」「汚染されていない水を捨てる了解をいただかないと、原発の後始末は不可能」「(東電が)必死になって頼む姿勢が足りない」「(海へ)捨てさせてくださいと言うのは私たちの仕事ではない」という。なんという無責任。
東電は、福1原発敷地内にある観測用井戸の水位が上昇している原因として、岸壁沿いで工事を進めている地中に水ガラスを注入して地盤を固めた、地下1・8メートルよりも深い部分に設置されている「土の壁」を越え、汚染水が海に流出する可能性があるとの見方を初めて示した。井戸では、工事が始まった7月上旬から水位が上がり始め、30日時点で地表まで約1メートルの所に上昇した。土の壁が地下水をせき止めたのが原因とみられる。
この放射性汚染水海洋流出問題では、東電は、2号機海側のトレンチ(配管用トンネル)内などにある高濃度汚染水を抜き取るなどの対策をとっていれば、現在の海への流出リスクを減らせた可能性が高いと認識していたという。
てことは、人為的な原因だったということだ。そりゃ、水が増え続けていれば、どこかを遮れば、別などこかで漏れるだろう。専門家も責任者もいないのか。東電に任せず政府が実力行使できる実行部隊でも持たなければ、誰も責任を取らなくていい状態は続くだろう。とにかく上層部に真剣さが感じられない。現場の人間が無駄に被曝を重ねていく現実だけがあるということか。
そして、状況と、ヨウ素値の増加からして、福島原発3号機が再臨界しているようだ。さらに、観測用の井戸から約300メートル離れた場所で、海水から放射性ストロンチウムが検出されたともいう。別な場所の海水からは、1リットル当たり3100ベクレルの放射性トリチウムも検出されている。
ハリウッドスターは大平洋汚染を避けてヨーロッパ、なぜかイタリアに移住するのがブームになっているらしい。アメリカは脱原発にシフトしている。日本だけが孤立していく構図は明らかだ。

今月訪日予定のマケイン米上院議員(共和党)は、ワシントンで江渡防衛副大臣と会談、在沖米海兵隊のグアム移転計画について「非現実的で実行不可能」という従来の主張を強調し、予算凍結を継続する姿勢を示したという。マケイン氏は「巨費を要し、地元の反対も強い辺野古への代替施設建設計画の実現性は疑問だ」と指摘しつつ「米国防総省は、議会が再三要請してきたマスタープランを提出しておらず、われわれは同計画の実現性に疑問を深めている」と述べ、グアム移転費の計上を認めない方針を強調。つまり「普天間のままでいい」と言っているのだ。

麻生財務相は、憲法改正論議に絡んでナチス政権を例示したことについて、「撤回したい」とするコメントを発表したという。馬鹿だなあ。撤回したって、なかったことにはできないんだよ。

日本に住む者たちは、あえて自らを鈍感にして、この現実を見まい見まいとしているのか。
ついに八月になってしまった。夏まっさかりだが、「いつもと同じ夏」と思って迎えることには、もう無理がある。認めることから始めなければ。
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