Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

都知事選のカオス状況

2014-01-28 | Weblog
東京都知事選で立候補した細川護煕元首相陣営の選挙参謀、馬渡龍治事務局長(元衆院議員)が退任するという。この人物は、自民党鳩山邦夫元総務相の元秘書。民主党を離党した木内孝胤元衆院議員らと選挙戦を取り仕切っていた。
報道では、細川陣営では、馬渡氏らのグループと、旧日本新党系グループによる主導権争いが激化していた、とされている。陣営幹部は「態勢強化の一環」と説明するが、関係者は「内紛だ」と語っているそうだ。
いずれにせよ、とかく問題発言の多かった馬渡退任は、細川支援の良識派にとっては朗報だろう。
いっぽう、鳩山元総務相は自身のフェイスブックに、「都知事選で、日頃、私と付き合いのなかった元秘書たち、たとえば前代議士の牧義夫君や元代議士の馬渡龍治君、それに上杉隆君らが細川陣営に加わって私は、ずい分誤解されてまいりました。私自身は舛添要一氏を全面支援し、彼の遊説は、私の現役秘書の小沢洋介君が取り仕切っています。ところが、「やはり」というか「良かった」というべきか、私の元秘書たちは全員、細川陣営からクビにされたというか、追い出されたようです。細川陣営は左翼志向の強いメンバーに占拠され、私の元秘書たちは居場所を失ったそうです。良かった。良かった。これですっきりしたという気持ちです。」と、記している。
細川首相時代に主席秘書官を務めた成田憲彦駿台大学法学部教授を始めとする旧側近グループや旧日本新党の残党が、選対事務所に細川氏を訪ね、木内、上杉両氏をやめさせるよう求めたという噂も流れている。
なんにしても、こうした推移に細川元首相自身の意向が反映されているかどうかは、定かではない。

都知事選の世論調査各種の結果は、「細川氏が一歩リード」「桝添優勢」などさまざまで、まだまだ動向は判然としないようだ。
赤旗などマスコミが、舛添元厚労相の「政治とカネ」の問題を追及し始めている。舛添氏が「新党改革」時代、法律で禁じられている政党助成金や立法事務費による借金返済を行った「違法な支出」の疑いや、政党交付金が自身に入るように工作した疑惑などが指摘されている。街頭演説の「不人気」ぶりが話題となるなど、この人のイメージの悪さは、隠しようがない。
細川氏も「佐川急便疑惑」に晒されている。一億円借りたという事実を細川氏本人も認めている。「佐川とは父の代からの付き合い」という。返したというが、会見の記者との問答を聞いていても、領収書等が曖昧であることは確かのようだ。陣営から「同様に金を借りた自民党議員の多くは返してもいない」いう言い訳のような矛先をかわすような声が出ているのは、かえって逆効果のような気もするのだが。

細川氏と小泉元首相の街頭演説はかなり注目を集めており、積み重ねると効果を発揮するだろうし、菅原文太氏や宮崎駿監督などが応援に入ったことで、「細川優位」の印象は強くなるだろう。
「脱原発が争点」でいいのかという指摘に対しては、細川支持者たちのヒステリックな反応が目立つ。じっさい、「脱原発」のシングルイシューのみで都知事選を考えてもいいのだ、とする論調は多い。「争点は多様」であるとすると「桝添優位」に繋がるのだという。
都知事選第一声で小泉元首相は「原発を除いて、他の様々な重要な問題は、誰が知事になっても大して違いはない」と言ってのけた。首相時代「原発を主力エネルギーとする」と公言していた小泉氏である。「脱原発」以外の考え方は変わっていないとしたら、原発のない社会を構造的に維持できるかどうかは未知数だ。ただ原発を止めること、「原発なしでも経済の発展は可能である」という主張だけでは、何かが足りない。
細川氏は「小泉氏とよく話し合ったのか」という問いに対し、「脱原発ということで一致しており、その他の問題を話し合ったことはない。話し合ってもお互いすれ違いになるだけだ」と回答したらしい。
他の候補も「脱原発」を謳っているのに、なぜ「脱原発」が細川・小泉でなければならないのかは、誰もきちんと説明できていない。
「脱原発」は世界の趨勢、その一点だけで惑わされ、「脱原発」で小泉陣営を応援し、後で後悔するのは嫌だ、という人も多い。
もちろん、このような批判は私以外の者もするだろう。
で、細川陣営が持ち出してきているのが、「東京電力解体」というアイデアのようである。東電という占有会社から利権を剥奪し、海外も含めたより安い価格で電力を供給する会社に、代わって電力を供給させようというのだ。
二人の首相経験者が束になって初めて「東電解体」という大事業が可能なのだ、というストーリーを打ち出そうということではないか。宇都宮候補との違いを際立たせ、原子力発電抜きでも経済が成り立つと主張することで、保守層にもアピールしようということだろう。

東電福島第1原発、海側敷地にある観測用井戸の水から、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が、過去最高値の1リットル当たり310万ベクレル検出された。上昇傾向は留まるところを知らない。これが現実である。
残念ながら、核廃棄物の処理について、放射能汚染について、きちんとビジョンを示した候補者は、今のところ見受けられない。
震災で生じた瓦礫を燃やさず処理する「森の防潮堤プロジェクト」に取り組んでいる細川氏は、自然との共存にも関心があるのだろう。彼は「東京の水が一時的に飲めなくなった」と言っていたというが、それがいつだったか正確に言ってほしいし、であれば、すぐさま対策を聞かせてほしい。どうもこの人はややこしいことは小泉頼みで具体性に欠ける気がする。

以下、雨宮処凛氏の意見(雨宮氏本人のブログより)。
「(小泉氏が)視察すべきはフィンランドの最終処分場などではなく、劣化ウラン弾がブチ込まれたイラクではないのか。今もさまざまな病気に苦しむ子どもたちがいる病院をまずは視察し、自分が支持した戦争の果てに起きている残酷すぎる現実を直視すべきではないのか、と。」「劣化ウラン弾は、「核のゴミ」の、最悪の処分方法が具現化した兵器だ。最終処分場でそこまで「脱原発」に目覚めたならば、もうひとつの「最悪の処分方法」に、なぜ目を向けないのだろう。私たちが、あのことを「忘れた」とでも思っているのだろうか。だとしたら、舐められているにもほどがある。」
賛成である。なんといっても小泉はイラク戦争に賛成した、初めて自衛隊を戦地に送った首相なのだ。
「劣化ウラン弾」が「核のゴミ」の処分方法でもあるということは、多くの人たちにはぴんと来ないようだが、そうした「核兵器」は、「威力の強い武器」+「核のゴミの有効な処理方法」として、開発されているのである。
どれだけの人が死に、苦しみ、奇形の子供が産まれたか。
公開中の映画『ファルージャ』も観てほしい。
http://fallujah-movie.com/index.html
高遠菜穗子さんのレポートにも胸が痛む。
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2906.html

報道によれば、核物質や原子力施設を防護・保全する「核セキュリティー」を重視するオバマ米政権が、日本政府に対し、あらためて、冷戦時代に米国などが研究用として日本に提供した核物質プルトニウムの返還を求めた。
このプルトニウムは茨城県東海村の高速炉臨界実験装置(FCA)で使う核燃料用の約300キロ。高濃度で軍事利用に適した「兵器級プルトニウム」が大半を占め、単純計算で核兵器40~50発分程度に相当するという。
日本側ではこれまで「高速炉の研究に必要」と返還に反対する声も強かったが、米国の度重なる要求に折れて昨年から日米間で返還の可能性を探る協議が本格化しているらしい。
処理方法のまったく見つけられない核物質など、とっとと持って帰ってもらいたいが、これも日本の「右傾化」へのアメリカからの牽制なのであろう。
少なくとも「原発を止める」と言っている候補者たちには、核廃棄物をどうするかということに言及してほしい。有効な方法が出て来ないことじたいは、無理もない。全世界的に、「策がない」のだ。だが、そのことを謙虚に認めて、だからこそ模索し、独自の提言をすべきではないか。

陣営からは細川氏が憲法改正・集団的自衛権への反対も断言していると伝わってきているが、都知事の立場でどんなに訴えたところで、はっきりと「秘密保護法反対」にシフトしない限り、「脱原発」は維持できないだろうという意見もある。都知事の立場で明確にTPP会議の進行を覆してくれるかどうかもわからない。
宇都宮元日弁連会長以外の「有力候補」たちは、「国家戦略特区」を東京に導入しようとしている。
「特区」という言い方が一部にはなんだかいいことのように響いているらしいが、政府や財界が求めている雇用や医療、保育、教育の「規制緩和」で、「解雇特区」と悪口を言われるように、かえって雇用と社会保障が不安定になる。労働時間が規制されず、残業代も外される場合が増えてくる。正社員と派遣社員の待遇の差をなくすというが、「派遣」の矛盾を解消する意欲はないようだ。「特区」推進陣営を推す労働組合がどう考えているか想像すると、シュールでさえある。
日本橋にかかる首都高速道路を景観の改善と老朽化対策のため、撤去するという細川提言も、なんだか唐突である。東京の古いごみごみとした部分を整備する、ということも考えているようだ。木造建物の密集した地帯を潰し、滞っていた「都市計画」を推進する動きは、「オリンピック開催」を大義名分の理由付けに推進されるだろうし、「貧困層」が住みづらくなることは間違いがない。
個人的には下北沢の「再開発」「整備」が進められることをとくに怖れる。

私は細川氏が、昨秋に提言していた「オリンピック辞退」を公約にしてくれていたら、それをかなり評価しただろうと思う。今の細川氏は「オリンピック開催は東北地方を重視する」と言うが、本当にそんなことが望まれているのかどうか。外国人選手がそれを歓迎するだろうか。
宇都宮氏のいう「五輪スリム化」も、五輪辞退の可能性も否定しないところにまで踏み込んでくれているものではない。

若手の起業家・家入一真氏も、出馬。シェアハウスなど「居場所のいない子」らの居場所造りをも仕事にしている人で、政策は「居場所がある街・東京」「遊べる街・東京」「政治に参加したくなる街・東京」だそうだ。
パンフレットの謳い文句のような空疎さで、中身と根拠がない舛添の公約と五十歩百歩のように思えてならない。
「街頭演説できないが24時間ネットで生放送」というが、あまりにもぴんと来ない。「僕らの公約」みたいなハッシュタグをつくって、みんなの意見をどんどん入れたいと言うが、その前に本人の公約がちゃんとしていなければ。「政治とか既存のシステムを、ハッキングするつもりで」というが、内容がわからない。
「原発をなくしていくってときに、代替案をってなると、僕には細かいことはわからない」というのも、なんだかなあ。
若者や無関心層にアピールし、「少なくとも投票率が上がることに貢献できる」という人もいるが、ほんとうにそうなのだろうか。

私の近辺の人たちは、今後の選挙戦じたいは細川氏優勢を予想するが、ほとんど存在感の示せていない桝添氏が、それでも、万が一、勝ち残るようなことがあったら、細川陣営としては、「一本化」に賛成しなかった宇都宮氏のせいにするだろう。
内容的には評価しているのに宇都宮氏を応援しない人たちのほとんどが、「共産党のやり方で選挙している」ことを指摘し、知事になっても議会との関係で様々なことが達成困難だろう、という。
心中では宇都宮氏を応援している人たちも、沈黙している場合が多い。周囲に影響力のある立場であっても「宇都宮支援を言い出すタイミングをはかっている」という人たちがいる。
結局、「とにかく安倍政権にダメージを与えたい」という理由で細川氏支持、という人が圧倒的に多い。
それはそれでわかる。しかし選挙とはそういうものなのか。
とても歪んでいる。

2月1日(土)22時から、主要候補者4氏による「東京都知事選 候補者ネット討論」の開催が決定したという。既に、宇都宮候補以外の敵前逃亡?で、青年会議所による公開討論会が二度にわたって中止になったが、これは成立するのだろうか。テレビでなくてネット、というのが時代である。
何かが見えてきてほしいと思う。

…………………………

写真は、昨年から私の作品のためポスター・チラシに素敵なイラストを描いてくれている、みたはるよさんが参加しているグループ展「3人のちいさなおくりもの」会場より。去年の三公演のポスター。なんと立体造形もする人なのだ。府中に近い方、ぜひ。
http://cococoloco.blogspot.jp/2013/12/blog-post.html
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「会長の職はさておき」な人... | トップ | インフルエンザに罹るとがん... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事