Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

フィリピンの舞台芸術界へのコロナ対策・支援について

2020-07-28 | Weblog
フィリピンでは新型コロナウイルスの累計感染者数が同日時点で7万人を超えるなど、感染の再拡大が続いている。
フィリピンといえばドゥテルテ大統領の強権発動で知られるが、大統領は今月21日、外出時などに義務付けられるマスクの着用を拒否する者は逮捕すると表明、取り締まりが強化されている。

機会があって、フィリピンの舞台芸術界のコロナ対策・支援について聞いた。
欧米諸国や韓国の情報はよく入ってきているが、フィリピンのことはあまり聞かれないと思うので、紹介したい。

政府・公的機関の支援としては、NCCA(国家文化芸術委員会)が19の分野別分科会(舞台芸術、建築etc)に予算を均等分配している。
各分科会は分配された予算を施設・団体に使うか、個人に分配するか決定できるという。
https://www.facebook.com/NCCAOfficial/posts/10157676107505283

アーティストに対しての支援としては、第1フェーズとして4Mペソが分配済、第2フェーズとして63,8Mペソが確保され分配されているという。
上記の分配を受けた分科会は、資金の使い道を決定できるが、個人支援を優先しているようで、5,000ペソを上限として各分科会がアーティストに支援金を支給している。(約700人程が恩恵を受ける計算。)支援を受けるアーティストは分科会が決定しており、フリーランスは恩恵を受けられない可能性もあるという。

政府以外に、支援を行っている動きもないわけではない。
Charlie CoさんのOrange Projectによるオンラインでの作品販売とファンドライジング、Next Gen OBのMicah Pintoさんのグループによるファンドレイジング等。 

フィリピンでは現在も外出・移動が制限され、文化施設・組織は活動を再開できずにいる。
これまで日本の国際交流基金が応援してきたアーティストグループ・団体なども人員削減をせざるを得ない状況にあり、今後の見通しも立たない中でオンラインでの映像配信やウェビナー等を通して寄付を募っている状態だという。
しかしながら、そういった配信に関心を持ってくれるのはアートコミュニティ内部の人が多く、彼らも同じように生活に困っていることから寄付は集まりにくいそうだ。
有料のオンラインコンテンツに対するハードルの高さと、フィリピンのアートコミュニティ外の人を引き付けることの難しさがあるという。

フィリピン政府は新型コロナウイルスの水際対策で3月下旬から外国人の入国を拒否していたが、経済立て直しに向け外国人技術者などの入国を認める方針で、8月1日から長期滞在ビザ(査証)保有者の再入国を許可する。約1万5,000人の入国を想定しているという。


写真は、マニラのCCP(フィリピン文化センター)。二年前、燐光群アジア共同プロジェクトの、フィリピン・タイ・ツアーのさいに、撮影。
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