Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

大坂選手の決断は「主義主張があれば棄権してもいい」ではなく、「差別に対する真剣で緊急性の高い抗議」であることを、子供たちに伝えるべき

2020-09-05 | Weblog
大坂なおみさんが、米ウィスコンシン州で起きた警官の黒人男性銃撃事件への抗議のため、ウエスタン・アンド・サザン・オープン準決勝を棄権した件について、大体大体育学部の梅垣明美教授が同大学の公式サイトなどで、
「大坂選手の行動に賛意を示す報道が目につきますが、私は大会の運営側のWTA(女子テニス協会)などが翌日の試合を延期し、大坂選手と話し合って出場をお願いした対応に注目します」とコメントしたという。
棄権公表後、大坂選手に賛同し、もともと準決勝予定だった日を休止にしたWTAの対応(大坂選手が翌日開催された準決勝に出場が実現)は、もっと注目されていいと思うが、スポーツ倫理学専攻・梅垣教授、の次の発言には頷けない。

「競技会場で意思表示をする場合は、その差別がスポーツの場面で生じた問題かどうかを判断する必要があります。今回はテニスとは関係のない問題であり、棄権ではなく、別の方法での発信を考えても良かったと思います。スポーツ選手の行動は子どもへの影響が大きく『主義主張があれば競技を棄権してもいい』と思わせてはいけないと考えます」

大坂選手の決断を「主義主張があれば競技を棄権してもいい」にまとめるのは、内容を見ていなさすぎる。スポーツの場面で生じた問題しかスポーツ選手は主張してはいけないのか。
「別の方法での発信」とは具体的に何なのか。
大坂選手の主張にWTAも賛同したのだ。「主義主張があれば競技を棄権してもいい」と言っているというのは、捏造というか、ねじ曲げすぎである。

スポーツというのは、フェアプレイを求められる場である。
結果として、この社会を、差別のない理想世界に近づけることに繋がる。

例えば、差別が行われたら、差別語を発する者がいたら、場合によっては、その相手に厳しい抗議の言葉を浴びせることは、あってもいいと思う。ただ、それが人々にショックを与える言葉であれば、思わぬ二次被害になるので注意しなければならない、とは思う。

今回の大坂選手の決断は、警官による黒人への暴力が、殺人という形で問題になっていたにもかかわらず、重ねてこのような事態が起きたことへの、真剣な抗議行動であり、ほんとうに、緊急性の高いことであった。
「子どもへの影響」ということならば、きっちりと「差別」について、そこまでやらなければ根絶できないという厳しさをこそ教えるべきである。

大坂選手の抗議は、抑制されていて、公正であった。

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猛暑とコロナが加わり、三重苦とたたかう、福島第1原発の現場

2020-09-05 | Weblog
福島第1原発事故後に働く作業員を追う東京新聞の連載「ふくしま作業員日誌」。
担当してきた片山夏子記者が、このたび、福島支局に赴任。
今までは通っていたのだ、ということにもびっくりだが、コロナ禍下で会えなかった作業員の方々にも会えるようになり、記事は続いている。

そもそも過酷な防護服での労働に、猛暑とコロナが加わり、三重苦とたたかう現場、ということである。
作業員も県外に出るとPCR検査を受けるか、二週間待機を余儀なくされるらしい。

私も今月予定されていた福島での仕事は難しくなりそう。リモートでできることならいいのだが……。
組織として社員や職員が県外からの人間と接触することに厳しい県は福島県だけではないが、ほんとうに、人の行き来は難しくなっている。


さいきん、HBOのドラマ『チェルノブイリ』をやっと観た。
感想は、またいずれ。


ブログに新聞記事をそのままシェアすることはしない主義だったが、大切なことだと思うので、貼り付けます。
(片山さんから送ってくださるので、権利問題は大丈夫と思います)

「ふくしま作業員日誌」は、これまでのものが朝日新聞出版から単行本としてまとめて出版され、本田靖春ノンフィクション賞・「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」大賞を、ダブル受賞したばかりです。

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