Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

生業訴訟、高裁判決の勝利

2020-09-30 | Weblog
震災、原発事故から十年目に出される、判決。
30日、仙台高裁で、東京電力福島第一原発事故の被災者約3830人が国と東電に慰謝料や居住地の放射線量低減を求めた生業訴訟の控訴審判決が出た。

全国で約30あるという同種訴訟のうち、国を被告に含めた13件で地裁判決が出ており、国に賠償を命じたのは7件という。
残りの六件は大津波は予見できたとしつつ、対策工事をしても事故は防げなかったなどとして国の責任を認めていない。
国は「地震は予見できず、事故も防げなかった」、東電は「国の指針に従い十分に賠償した」と反論している。
国の責任を高裁が判断するのは初めてである。

主な争点は、
国と東電は第一原発に襲来する大津波を予見できたか。
建屋の水密化などで事故を防げたか。
国の中間指針に基づく賠償が妥当か。
ということだった。

弁護団の馬奈木厳太郎弁護士は、判決後の高裁前の報告で、
原告の主張をほぼ認める完勝、
判決文では、国が東京電力の言い分を「唯々諾々と」呑んだ、という指摘もあったらしい。
賠償の金額も、過去最高になっているという。
この先の群馬、千葉の判決にもいい影響を与えるだろう、ということだった。
(不正確だったらごめんなさい)

原発事故の責任を隠し、過去に目を瞑る、国策による「東日本大震災・原子力災害伝承館」の開館に立ち会い、虚しさを抱えていた日々だったが、人々の熱意が、それを打ち崩していくことができるはずだ、と思う。


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民主主義の「劣化」から「喪失」へ

2020-09-30 | Weblog
朝日新聞の今朝の記事「法の番人の退任劇、いま明かす 車中で後任は黙り込んだ」は、内容は確かに私たちが知っていて、わかっていたことのはずなのだが、あらためて震撼させる内容だ。

「法の番人」といわれる内閣法制局長官だった山本庸幸さんが、安倍政権と意が沿わぬために退任させられた経緯を、本人の言葉で記してある。

「自らの考えに近い人物を置くことで政策を実現する」という、安倍政権の「人事慣行」を破るやり方について、7年8カ月の在任期間が終わって初めて語ることができる、ということなのだろうか。

安倍政権が、集団的自衛権の行使を容認するために憲法九条の解釈を変更したことの理不尽に、当時の私たちも猛反対した。
憲法を骨抜きにしたこと自体が、決して許されることではないが、安倍政権はそれを実現するために、その担当のセクションに私たち同様の反対意見を持つ人がいることが不都合だから退任させ、言いなりになる人間をあてるという、ひどい人事を行った、ということだ。

山本の「安倍政権の継承」を掲げる菅政権の誕生への危惧も、正当である。
「個性が異なるので、行政の手法も違うと思いますが、気になるのは菅氏が首相就任直前のテレビ番組で『政権の決めた政策の方向性に反対する幹部は異動してもらう』と発言されたことです」「そうなると、首相の耳に痛いことを申し上げる部下はいなくなり、そのうち周囲は阿諛追従(あゆついしょう)のやからばかりになりかねない。部下は法制度や行政法の原則を踏まえて見識をもって意見を言うわけですから、そういう多様な意見をよく聞いてとりまとめ、組織一丸となって行政を遂行していってほしいと思います」

このことは、当時から指摘されていたが、もっとマスコミ・言論界も突っ込んで、二重三重の欺瞞を暴き続けるべきだったのだと思う。

山本氏は後に最高裁判事となるが、最高裁判事の審査制度を見直すことも提言している。

14年の7月に閣議決定。安保法成立は、15年の9月。もう五年前になる。
新しい世代にとってみたら、それはもう「既成事実」なのである。
現在よりは民主主義が守られていた歴史が「風化」しつつある。おそろしいことだ。

民主主義の「劣化」が語られて久しいが、それが「喪失」へと大きく舵を取っている現在、怖れず語り続けることが必要なのだと思う。




写真は、先日ご紹介した郡山の、ニャー。



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