Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

映画『立ち去った女』

2018-08-13 | Weblog

ずいぶん長尺という噂ばかりが聞こえてきていたラヴ・ディアス監督のフィリピン映画『立ち去った女』を、遂に観る。

第73回ベネチア映画祭金獅子賞受賞。モノクロ。四時間超。確かに長い。

アジア共同プロジェクトのメンバーで、マイレス・カナピに次ぐ燐光群最多出演のフィリピン女優マージ・ロリコが出ている(左)。チャロ・サントス・コンシオ(右)演じる主人公の娘役。

劇中、娘が七歳の時に別れた二人は、三十年ぶりに再会するのだ。

封切りでは見逃してしまったが、とにかく、特殊な映画だが、シンプルだ。

据え置きのカメラ、長回し。しかし、ドキュメンタリー・タッチだが、ふつふつと、たぎっている、何かがある。

途中から、プロットがぐぐっと巡って来る瞬間がある。それが見事である。

写っていないこと、画面の外で行われたことに、多くの意味がある。

これは、そういう種類の、まさに「映画的」な作品である。

ある意味、『カメラを止めるな』とは対極にある。しかし、まったく別な方法でだが(静がで、動かない)、パズルのピースが噛み合っていくクライマックスの過程は、あるのだ。

映画というジャンルは、幅広いし、やはり可能性に満ちている。

 

※ マージは、この映画ではかなり太っているが、我々との三年越しの共同作業『リタイアメン』の時はだいぶ普通の体型、最新の出演作の写真を見るとかなりほっそりしている。デ・ニーロばりに作品ごとに体型を変えているのかな。

※ ラヴ・ディアス監督の映画の近作で、ロディ・ヴェラがシナリオを書いてるものもあるはずだ。「あれは普通の長さのシナリオを書いたんだが」が、本人の弁だった。燐光群出演歴がノル・ドミンゴに次いで多いロディだが、オリジナル・シナリオの映画『ダイ・ビューティフル』も大当たり、映画人としても存在を確立しているようだ。

 

http://www.magichour.co.jp/thewoman/introduction/

 

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