Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

非戦を選ぶ演劇人の会 「私たちと、憲法と、いま」濃厚すぎるリレートーク、決行

2018-08-30 | Weblog
今年の、非戦を選ぶ演劇人の会 ピースリーディング、無事終了しました。
 
29日(水)の第二部は、リレートーク「私たちと、憲法と、いま」。
仕事次第では来られないかもしれなかった望月衣塑子さんも間に合って、昨年に続いて十人超のパネラー、むちゃくちゃ濃厚な顔ぶれである。
 
ゲストの皆さん
織田朝日(くるどっこ劇団「ウインクス」主宰)
佐藤満喜子(教科書問題を考える横浜市民の会代表)
志葉 玲(ジャーナリスト)
竹見智恵子(路上劇団「野火」団員)
知乃(俳優、演劇・映画・芸能界のセクハラ・パワハラをなくす会代表)
寺脇 研(映画評論家、元文部科学省官僚)
中島由美子(全国一般労働組合東京南部書記長)
馬奈木厳太郎(弁護士)
横山知枝(辺野古抗議船船長)
渡辺照子(派遣労働者)
望月衣塑子(東京新聞記者)
(司会:坂手洋二)
 
撮影・姫田蘭。
 
織田朝日さんの取り組む入管の問題は、日本という国が移民を受け入れるかどうかという「今まさに直面している問題」が、スパークしている現場である。家族が引き裂かれる痛みを、叫びを、皆が共有すべきである。山本太郎氏も応援に入ってくれている今、このことをもっと社会に知らしめたいと思った。
佐藤満喜子さんの取り組んでこられた教科書問題は、私も『九月、東京の路上で』上演の過程で、虐殺された朝鮮人慰霊碑を扱う副読本掲載問題を知ることになり、ほんとうに急いで対策をとらねばならない問題だと思っている。生徒たちはあっという間に有権者になるのだ。「公民」という科目の名前が、どんどん不吉に見えてくる昨今である。「憲法」という科目があってしかるべきだなあと思った。
志葉 玲さんの戦場・危険地域への現地取材体験に裏付けられた報告と認識には、いつも唸らされる。志葉さんは杉原浩司さんの「武器輸出反対ネットワーク[NAJAT]」にも関わっていて、この日も会場入りの前に、川崎とどろきアリーナで入り口前で「イスラエル軍事見本市をやめろ!大抗議行動」に参加してこられたようだ。異国でのことに関心を持たない「内向き」のこの国は、見ようと思えば見られるはずの世界の現実をないがしろにしてきているツケが、どっと回ってくるのではないかと思う。
明日からまたフィリピンに行かれるという竹見智恵子さんは、日本が過去の戦争に向き合うべきことを、説得力のある言葉で語られる。私は彼女の歴史を見る眼差し、行動力とおおらかさの、大ファンなのである。個人的に、フィリピンNGOの仲間に「非戦Tシャツ」を渡してもらうように、託した。(以前現地で私が着ているのを見て欲しがった人がいたのである)
知乃さんは、日本で初めて演劇界で「Me Too」運動に乗り出した人である。彼女の作ったネットワークに、様々な相談が持ち込まれているという。今という時代の中で、若いアーティストたちの「生きにくさ」は、また新たな局面に向き合わざるを得なくなっている。
寺脇 研 さんは、今回が女性ばかりのパネリストだったためかどうかはさておき、終始御機嫌で、いつも同様に、私たちの現実をすっぱりと解きほどいてくれる。彼は前川喜平さんに連なる、政権をきっちり批判する元官僚の第一人者なのである。もっといろいろな人が続いてほしい。
中島由美子さんの言われるように「労働組合」の組織率が低迷している現在、働く人たちがどう支えあっていくかは、大きな問題である。そして外国人労働者の問題もこれから取り組まねばならない課題である。日本という国は、ほんとうにもう「待ったなし」の断崖に立たされているのだ。
沖縄から参加して下さった横山知枝さんは、辺野古での、米軍基地建設への抗議船船長。沖縄の現実は、変えられる。辺野古の海は守る。米軍基地は撤去する。絶対にあきらめてはならない、と、意を強くした。運動の現場で起きる様々な問題にも真摯に取り組む彼女は、東京滞在時間十時間強で、深夜の飛行機で沖縄に帰っていった。タフな人である。
渡辺照子さんは、自ら「派遣労働者」として、「雇い止め」の現実に直面し、たたかっておられる。本当に、あらゆる問題が繋がっており、多くの場合そこには、この社会の「持たざる者」への差別があるということを、深く受け止めなければならない。彼女が今回のトークでいろんな人たちに会って、パワーを充填していかれたことを、嬉しく思う。
多忙な中いらして下さった望月衣塑子さん。政府のマスコミに対する横暴、記者クラブの体質の問題、そこで決して屈することなく、いろいろなタブーを破り、問題を白日の下にさらけ出してきてくれた人だ。たいへんだけれど、がんばっていれば必ず味方が現れるという話もあって、とても励まされる。
馬奈木厳太郎弁護士は、リレートークの最後に、以上の皆さんそれぞれの現場と憲法がどうクロスしていくかについてのお話と、ご自身がずっと取り組んでこられている原発の問題について、語ってくれた。震災があってから八年め、まだ原発を廃絶できていないどころか、それを海外に売りつけようとしているこの国の政府。これはもう「恥」でしかないというのは、本当にそうだと思う。この国が四年前に武器輸出三原則を閣議決定で無効にして以来の狂奔と、通底する問題だ。
 
司会者として「一人の持ち時間五分」とお願いしたが、そんな時間に収まるわけもなく、クロストークの時間はあまりとれなかった。ほぼ一巡して終わった感じだ。二時間以上の長丁場だったが、意義ある出会いと共有の場であった。それぞれの現場がより有機的に関わってゆくことにも期待するし、今後に繋がる手応えは、じゅうぶんにあった。
 
リーディングの皆さん、スタッフの皆さん、実行委員の皆さん、お客様、とにかくすべての人たちに感謝します。
 
お疲れ様でした。
 
 
 
 
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非戦を選ぶ演劇人の会 ピースリーディング vol.22 終了

2018-08-30 | Weblog
四十人が憲法9条の「9」を掲げて終わるラストシーン。
 
非戦を選ぶ演劇人の会 ピースリーディング、無事終了。
 
最後のステージは初日より格段に良くなった。
たんに稽古が足りなかったのだ。
もっとリハーサルしておくべきだったね。
 
撮影・姫田蘭。
 
 

非戦を選ぶ演劇人の会 ピースリーディング vol.22
それを認めちゃ「9条」じゃなくなる
-平和憲法サバイバル大作戦!-
 
台本:楢原 拓  演出:シライケイタ
 
【出演予定】※五十音順
東谷英人・あべよしみ・有吉朝子・石井くに子・内田健介・遠藤 剛・大沢 健(※8/28のみ)
大須みづほ・大鷹明良・小笠原游大・金子鈴幸・鴨川てんし・木内みどり・北澤小枝子
喜多村千尋・鬼頭典子・清田正浩・小島万智子・小林あや・五味多恵子・小山萌子
阪本 篤・志賀澤子・高安智実・武山尚史・辻 輝猛・土屋良太・中野亮輔
野々村のん・藤原啓児・別所晋・巻上公一・益岡 徹・間宮啓行・三田和代
森田 匠・山本 亘・山森信太郎・ゆかわたかし・渡邉 翔・ほか
 
 
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