Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

日本のみが特殊に扱われている理由

2013-06-15 | Weblog
維新の会・橋下大阪市長の執念深いツイッター発言「世界から、日本のみが特殊に扱われているのは、国家の意思として女性を拉致し、人身売買したと思われているからだ。この事実の有無について明確化しなければならない。それは日本の責任回避のための議論ではない。日本だけが特殊扱いされるべきかどうかの議論だ。」には、本当に唖然とする。他の国が何をしていたかなど、関係ない。そんなことを気にするのは、まず事実を認め、謝るべきことを謝ってからだろう。「自分だけが特殊扱いされているかどうか」、あたかもそれを「是正」するかのような倒錯を言い訳にする見苦しさは、もうやめたほうがいい。……橋下市長は八尾空港(大阪府八尾市)での米軍新型輸送機オスプレイ訓練の一部受け入れ提案について「沖縄が負担しているリスクを考えたら、(八尾市民の)抽象的な不安は、どうってことない」と述べたようだ。「沖縄の基地負担軽減」を本気で考えるなら、「訓練の一部を持ってくる」などとせこいことを言わないで、沖縄からの基地撤廃の運動に加わればいい。……橋本市長は23日の「慰霊の日」に糸満市で開かれる沖縄全戦没者追悼式に出席する方向で調整しているというが、自分が在日米軍に(沖縄の)風俗業活用を促した先月の発言についてどう考えているのだろう。謝罪どころか、「禊ぎ」に使おうと思っているのは明白だ。この全戦没者追悼式典には安倍首相、岸田外務相、小野寺防衛相が出席する方向で調整されているようだ。1952年から始まった同式典に外務、防衛両大臣が出席するのは初めてだという。「沖縄に寄り添う姿勢を強調し、米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐって反発する県民の理解を得る狙いがあるとみられる」と報道されているが、式典を所管する県福祉・援護課は「追悼する意向があればお断りする訳にはいかない」として、両大臣を招待する方向で調整を進めているようだ。式典で外務・防衛両大臣のあいさつは予定されていない。式典には山本沖縄担当相、田村厚生労働大臣も出席する。沖縄県は、少なくとも橋本市長だけは、決して「招待」しないでいただきたい。毅然として拒否すべきだ。……安倍総理は「日本とアメリカは同盟関係にあり、米中関係とは決定的な差がある」「日米関係は同盟関係であり、第7艦隊の拠点が日本にあるからこそ、アメリカはアジアのプレゼンスを守ることができる。これは決定的な差と言ってもいい。アメリカが、日本から上海に基地を移すということはありえない」というが、それは「米軍基地に差し出した犠牲」を認めた上に立った発言である。牧港補給地区内の北側進入路に続いて、西普天間住宅地区の一部前倒し返還を大げさに自慢しようとしているが、そんなまやかしに惑わされる者は、あまりにも現実を知らないというだけだ。防衛局は辺野古埋め立てに時間のかかるアセス手続きを除外し、日米間で合意した工期どおりに基地建設を進めようとしている。「調達検討業務報告書」では、防衛局自らが土砂を採取する場合は環境影響評価法にもとづくアセスの対象となるものの、「購入」による調達は対象外としているため、埋め立てに必要な土砂の八割に近い1700万立方メートルを、県内だけでなく九州・瀬戸内周辺からも購入する方針だという。県外からの土砂調達で有害物質や外来種が混入するおそれがあり、環境に大きな影響を与えるとして、批判の声があがっている。当然だ。……自民党の教育再生実行本部は6月12日に特別部会を開き、教科書の記述や検定制度の在り方を包括的に示す「教科書法」の制定を検討していくことを決めたという。同党が「自虐史観」とする記述が歴史教科書にあるのを問題視したことが背景にあるそうだ。安倍内閣が教科書の内容にどこまで介入しようとするのかは監視しなければならないし、決して介入させてはならない。今回の報道で知ったが、「自虐史観」というのは、「従軍慰安婦、南京事件といった諸説がある歴史上の事件について、被害を受けた側の国で有力な学説を採用することを指す」らしい。どの国の学説かではない、問題はそれが事実かどうかだろう。今回、教科書法の検討を決めた「教科書検定の在り方特別部会」では、特に「南京事件」に関する記述を問題視しているという。産経新聞によれば、同部会の主査を務める萩生田光一・衆院議員は、「何を教えてほしいかを明確に教科書会社に伝達し、それにのっとった教科書を作ってもらうようにしたい」と記者団に説明したという。つまり、過去に向き合いもしないで現政権に都合のいい記述だけを載せろということだ。「世界から、日本のみが特殊に扱われている」のは、こうした「『自虐史観』の否定」などといった独善的概念によって、世界の目から見ても不合理な「過去の事実を否定する不正義」を捨てようとしないからである。
コメント (1)
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