A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

memorandum 263 人類のために

2016-03-11 23:18:49 | ことば
 人類のために、国家社会のために、階級のために……。そんなことはみんな嘘っぱちだ。人のためにということが偽りなのだ。自分自身のために……それに徹することこそ、ほんとうの生き方だ。そこから生まれた人類・社会・階級でない限り、根なし草でしかあり得ない。必ずいつか挫折するしかないであろう。
野口三千三『原初生命体としての人間 ― 野口体操の理論(岩波現代文庫)』岩波書店、2003年、232頁。

極端な言葉なので違和感もあるし、すべてに同意できるわけでもないが、「自分」がないと、人のためにもならないということだと思うのだ。とくに芸術の世界では、いくら「人類のために、国家社会のために、階級のために」と言っても、最後は個人であろう。

【ご案内】つくるビルゼミ最終講義&つくるビルゼミコラムvol.18

2016-03-10 23:38:40 | お知らせ
今月をもちましてつくるビルゼミは終了となります(つくるビルアドバイザーも契約終了となります)。これまでどうもありがとうございました。

最終講義では、失われた「場」を思い出す時間にしたいと考えています。
今月の参加者特典はプルーストの『失われた時を求めて』に因んで、マドレーヌををご用意いたします。どうぞお気軽にご参加ください。

つくるビルゼミ 最終講義
失われた場を求めて
2016年3月28(月)19時~
つくるビル403号室
参加費:無料(マドレーヌ付き)
http://www.tukuru.me/?p=5301

先月の内容はこちらをご覧ください。

つくるビルゼミコラム vol.18
今夜はブギーバック90′s-00′s スクラップブックのようなミュージックシーン
平田剛志
http://www.tukuru.me/?p=5299

memorandum 262 自分の感じている一番大事なものが

2016-03-09 23:48:35 | ことば
 自分の感じている一番大事なものが、他人に通じようが通じまいがそれは二の次のことだ。他に通じさせようとする一切の妥協、卑劣なおもねり、愚劣なサービス精神は、みずからを損うだけでなく、相手を侮蔑し愚弄する以外の何ものでもない。自分が今、ここで、ほんとうにやりたいことをしていること、それ以外の別の所に、自分のいのちがあるはずがない。この生々しい強烈ないのちの火花だけが、相手の中に新しく何事かを起こし得る唯一のものであろう。ほんとうはやりたくないことを、自分がやるべきことであるかのように偽って、やむを得ないこととしてやることこそ、人間最大の罪悪ではないのか。
野口三千三『原初生命体としての人間 ― 野口体操の理論(岩波現代文庫)』岩波書店、2003年、232頁。


ああ、私は人間最大の罪悪をおかしている。自分のいのちの居場所をつくろう。

memorandum 261 わがままに徹すること

2016-03-08 23:44:30 | ことば
 わがままに徹すること、それによってしか責任をもつことはできない。自分がほんとうにどうしてもやりたいことは何か、どうしてもこのようにしなければいられないというやり方は何か。それがほんとうにわかったら、いや、わからなくてもよい、まるごと全体の自分が、ほんとうにどうしてもと感ずるのなら、まったく自分勝手にやってみることだ。そうするより他に自分が生きている実感・生きがいは生まれてこない。
野口三千三『原初生命体としての人間 ― 野口体操の理論(岩波現代文庫)』岩波書店、2003年、231-232頁。


「わがまま」、「自分勝手」は悪いとされる。わたしもそうならないよう、気をつけてきた。だが、野口さんのこの言葉は「ほんとうにどうしても」と感ずるのなら、「自分勝手にやってみることだ」という。そういえば、わがままに徹すること、自分勝手にやってみることは意外と少なかったかもしれない。思えば、京都に移住してしまったのも、「どうしても」という感じがあったからだった。

未読日記1147 『interview book「芯」』

2016-03-07 23:12:37 | ことば
タイトル:interview book「芯」
編集長:今田佳那
編集:鎌田大樹、黒木愛海、高明秀、白倉淳司、濱田真衣、浜本郁恵、三浦由倫香、水野結、和田華月
イラスト:村上沙絵
発行:京都 : 京都造形芸術大学文芸表現学科クリエイティブ・ライティングコース村松・仲村ゼミ3回生
発行日:2016.1
形態:36p ; 21cm
内容:
もくじ
直感と本能を信じる 茂野隆之(カメラマン)
美を追求する 丹羽栞里(フリーター)
責任ある自由 徳永憲威(経営者)
場を提供する喜び 水野昌光(映画館支配人)
有意義な孤独 高橋良明(システムエンジニア)
自分の良さを伸ばす 李鎭烈(教師)

頂いた日:2016年3月4日
 こちらも「2015年度京都造形芸術大学卒業制作展/大学院 修了展」に行った際、文芸表現学科の教室で頂いた1冊。どうもありがとうございます。
 これも『はたらく!!』と同じく職業人へのインタビュー本だが、こちらは「芯」をテーマに、職種、年齢が異なる6人の人々にインタビューした内容となっているのが特徴である。ZINEのような作りで、インタビュー内容も短めではあるが、このバラバラな多様さこそ職業=働くことの現実であろう。

未読日記1146 『他愛ある暗号』

2016-03-06 23:23:58 | 書物
タイトル:他愛ある暗号
編集・発行・デザイン:[出版地不明] : 「他愛ある暗号」展実行委員会
写真:高橋保世
発行日:2015.12
形態:39p ; 26cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2015年2月10日(火)~2月13日(金)
    京都造形芸術大学文芸表現学科 有志
内容:
まえがき
あの人たちの声/東紗希
植物電話/小野智未
せんこう/金祥花
ぱんがなくては生きられない?/佐賀遥菜
はじめまして、私の言葉/徳住香奈
光をたゆたう/西岡春香
私生活/平山瑞紀
知らない「あなた」にかたおもい/笛田千賀
おととい/森脇愛菜
あとがき

頂いた日:2016年3月4日
 「2015年度京都造形芸術大学卒業制作展/大学院 修了展」に行った際、文芸表現学科の教室で無料配布していたので頂いた1冊。どうもありがとうございます。
 白地に「他愛ある暗号」という文字が気になり手に取ったが、本書は同名の展覧会カタログであった。「他愛」は、「他者のことを考える」こと、「暗号」は「特定の人にしか伝わらない言葉であり、転じて「わたしたちがしゃべる言葉」だという。本展は、言葉が持つ内省さと他者へ発話・伝達しようとすることの齟齬を主題とした展覧会であった。残念ながら展覧会は見られなかったが、言葉をめぐる思索的な試みは興味深い。

未読日記1145 『はたらく!!』

2016-03-05 23:02:34 | 書物
タイトル:はたらく!! : 職業人インタビュー
監修:近藤雄生
執筆者:中野悠香、三浦あやか、是永直人、清水皓平、中野千秋、中山顕、二木洋一、森佑樹
編集・デザイン:中山顕、鵜飼慶樹、竹内里実
撮影:吉田亮人
発行:京都 : 京都造形芸術大学 文芸表現学科 職業人インタビュー編集部
発行日:2014.1
形態:197p ; 21cm
内容:
もくじ
この冊子を手に取ってくださったみなさまへ 近藤雄生

続ける理由 中山顕
 おもてなしの心で、お客さまのために ヤサカ観光バス株式会社京都支社/バスガイド 羽渕良美(十九歳)
 ずっと感じていたい 高等学校教諭 西沢悟(二十九歳)
 あたたかい場所 図書館司書 女性(匿名)
 インタビューを終えて

仕事は自分を変えるのか 二木洋一
 やるしかないでしょ 中部電力岐阜支店営業部配電建設課 谷口優馬(十九歳)
 あなたはクリエイターですか? それとも 株式会社ワン・トゥー・テンデザイン/デザイナー 富永省吾(二十二歳)
 次をつかむ ダンサー 山本真司(二十九歳)
 インタビューを終えて

仕事に何をもとめるか 中野千秋
 好きだから仕事に シンガーソングライター『ヨーゼフ』/島村楽器株式会社京都カナート店勤務 吉田達矢(二十五歳)
 わからない気持ちはだれよりもわかる 高等学校教諭 野崎政人(仮名)(三十二歳)
 旅の途中 出版社勤務 久保田佳克(三十二歳)
 インタビューを終えて

ひとと触れ合う 中野悠香
 とりあえず、滋賀に永住できるように頑張ります 日本赤十字病院/事務職 力大樹(二十六歳)
 勉強できる職場、それが今の職場 スポーツ指導員 奥村加菜(二十三歳)
 彼女こそが、強い人間なんだと思う。 入居型老人ホーム介護士 青木ゆうか(仮名)(二十歳)
 インタビューを終えて

仕事と自分との距離 清水皓平
 眺めていたくない Mashu for hair/美容師 伊藤皇哉(二十歳)
 彼女 帝国ホテル大阪/オペレーター 日永恵里(二十歳)
 回すぜ~☆ ホワイト急便勤務 伊藤皇哉(二十歳)
 インタビューを終えて

人生×自分×仕事 是永直人
 開かれた扉へ―When one door closes, another door opens― 工場作業員 八木陽太郎(二十歳)
 退屈しないすてき 派遣社員(システムプログラム) 新田裕子
 インタビューを終えて

働く幸せ? 女の幸せ? 三浦あやか
 「好き」であふれる人生に 西洋膳所おくむら/パティシエ 甲斐なつみ(二十歳)
 きれいにするからきれいになる 179/WG ニコルクラブ河原町OPA/マスターファッションアドバイザー 澤井久実(二十五歳)
 「恋愛はパワーだよ!」 旅作家/料理冒険家 とまこ(三十五歳)
 インタビューを終えて

どうして働くことができるのか 森佑樹
 ロマンを求めて 無職 森翔太(仮名)(二十四歳)
 一人対一人の空間 大学講師/カウンセラー 杉村裕也(仮名)(三十二歳)
 当りまえのようでいて、なくてはならない仕事 母親 小西玲子(三十一歳)
 インタビューを終えて

座談会「はたらくとは?」

頂いた日:2016年3月5日
 2015年度京都造形芸術大学卒業制作展/大学院 修了展に行った際、文芸表現学科の教室で無料配布していたので、頂きました。どうもありがとうございます。
 2013年の卒展の際に同シリーズ1集目を頂き、とても興味深く読み、印象に残っていたので今回も楽しみしている。
 前回との差異としては、前回の方がインタビューされた人びとの年齢に幅があった気がする。今回は「まだ働き出して年数が浅く、自分の将来像としてイメージを重ねやすい人」というのが条件だったため、20歳前後の人が多いのだろう。
 このような若い人へのインタビューあるいは職業人インタビューとしては、写真家・橋口譲二氏の写真集『職』を思い出す。橋口氏の著書は約20年前になるが、本書では職種に「無職」「母親」とあったのは時代を反映しているようでおもしろい。

未読日記1144 『自然の鉛筆』

2016-03-04 23:11:45 | 書物
タイトル:自然の鉛筆
タイトル別名:The pencil of nature
        自然・写真・芸術 : 「自然の鉛筆」考 = Nature and the art of photography : reflections on The pencil of nature
著者:ウィリアム・ヘンリー・フォックス・トルボット
編集・翻訳:青山勝
『自然の鉛筆』図版監修:マイケル・グレイ
造本設計・デザイン:大西正一
発行:京都 : 赤々舎
発行日:2016.1
注記:図版監修・解説: マイケル・グレイ
形態:95, 95p, 図版 [4] p ; 31cm
内容:
写真術の発見に至るまでの経緯やその重要性をトルボット自ら記した文章と、写真図版一枚一枚に添えられた文章の、初の完全訳。かつてない精緻なディテールと豊かな階調をそなえた原寸大の図版で、当時のプリントの状態が鮮やかに蘇る。あわせて『自然の鉛筆』をめぐる写真家、美術家、研究者によるエッセイと、トルボット自身の重要な言葉を収載。「写真史」の域を超える本書の現代的意義と未知の魅力を照らし出す。

目次
自然の鉛筆
図版解説

編者はしがき
「自然と鉛筆――レイコックの日々」畠山直哉
「光の言葉――「自然の鉛筆」をめぐって」マイケル・グレイ
「トルボットの生涯と『自然の鉛筆』」青山勝
「『リテラリー・ガゼット』誌の編集長宛の手紙三通」ヘンリー・F・トルボット
「写真と彫刻 あるいは互恵性」金井直
「〈写真〉をめぐる三つの断章」ジュゼッペ・ペノーネ
「団栗と写真」畠山直哉
あとがきにかえて
執筆者プロフィール

購入日:2016年3月4日
購入店:丸善 京都本店
購入理由:
 先日に受講した写真家・先間康博さんのstudy meetingの復習とご依頼頂いているテキストの参考文献として購入。
 造本は左右両開きで、図版とテキストが別れる体裁で奥付は中央部分にくる。もっと普通でいいのだがと思うが仕方ない。テキストは、本稿のなかでは異色のジュゼッペ・ペノーネのテキストが楽しみ。

memorandum 260 ことばの貧困

2016-03-03 23:25:08 | ことば
 多少の無理があっても、おかしくとも、一つのことばに絞れなくとも、いくつも並べたままでも、文字言語にはならなくとも、とにかく言語化してみないと、せっかくつかみかけたものも、それに似ているすでに言語化されて強いエネルギーをもったものにくっついてわからなくなってしまう。からだの感覚や能力を、いわゆる随意化(コントロール)するためには、何としてでも言語化することが先決である。この作業は無限につづく性質のものではあるが……。
野口三千三『原初生命体としての人間 ― 野口体操の理論(岩波現代文庫)』岩波書店、2003年、230頁。


ことばを信じているわけではないが、ことばにしないことには感覚も思考もつかめない。


【ご案内】Gallery PARC Art Competition 2016審査結果発表

2016-03-02 23:59:00 | お知らせ
審査員をさせて頂いた「Gallery PARC Art Competition 2016」の審査結果、審査員所感が発表されました。
選出された皆さま、おめでとうございます。
ご応募頂いた皆さま、どうもありがとうございました。
引き続き、7月5日から8月14日に開催される3つの展覧会にご注目ください。

Gallery PARC Art Competition 2016審査結果発表
http://www.galleryparc.com/competition/competition_2016/PAC2016.html