A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1150 『聲』

2016-03-16 23:48:34 | 書物
タイトル:声 (ちくま学芸文庫)
シリーズ名:ちくま学芸文庫
著者:川田順造
カバーデザイン:坂川事務所
発行:東京 : 筑摩書房
発行日:1998.10
形態:313p ; 15cm
注記:底本: 「聲」(筑摩書房, 1988年2月刊)
内容:
アフリカ、ヨーロッパ、日本の声の文化を自在に探りつつ、言語学、音楽学、人類学の境界をとりはらった視野で、声の生命を機能主義言語観の桎梏から解き放つスリリングな論考。声を発するペルソナと声で呼ばれる名の交錯、その多重性へと考察は展開する。第26回歴程賞受賞作品の改訂文庫版。

目次

1 権力の声、戯れる声
2 音声の象徴性
3 音と意味
4 類音類義
5 楽器音と言語音
6 声で奏することと楽器で語ること
7 音の共感覚


8 名を呼ぶ
9 うたう、あてこする
10 死者の名を呼ぶ
11 名をたたえる、声の芸人たち
12 ほめる声、おびやかす声
13 名とうたのあいだ


14 語りの人称
15 ことばの職人、ものの職人
16 人称の多重性
17 声とペルソナ
18 記号をこえて

あとがき
補注
文庫版あとがき
解説 兵藤裕己

購入日:2016年3月16日
購入店:ブックオフオンライン
購入理由:
 林葵衣展「水の発音」レビューテキストのための参考文献として購入。
 本書を知ったのは、河合隼雄・鷲田清一の対談本『臨床とことば―心理学と哲学のあわいに探る臨床の知』(TBSブリタニカ、2003年)を読んだ時だったか。気になって調べてみたところ、近隣の京都府・市の図書館では所蔵がなく購入することにした(そうして本がまた増えていく)。
 少し読み始めて学問領域を自在にに行き来して展開される奥深い論考と言葉・文章の流れの美しさに魅了されてしまった。語弊を招く言い方をすれば文章に色気がある。きっと川田順造氏はいい声をしているに違いない。
 そういえば、私は子供のころから「声」に魅かれていたように思う。自分が声が小さく、吃音もあって、声にコンプレックスがあるせいだろう。私が魅かれる人はたいてい声が理由の一つだし、関西に移住してしまったのも、関西が「声」の文化だったからだ。落語が好きなのも声の芸能だからだし、好きな映画や音楽も声(音)に魅かれるものが多い気がする。
 本書の読んで、自分の声に対するフェティッシュに向かいあう機会としたい。