大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

小悪魔マユの魔法日記・101『オモクロ居残りグミ・1』

2019-11-21 04:59:58 | 小説5
小悪魔マユの魔法日記・101
『オモクロ居残りグミ・1』    



 そこの研究生にしてください!

 香奈(マユ)はクチバシッテしまった……。

 と、かくして、オモクロ初のユニット「オモクロ居残りグミ」が生まれた。
 担当プロデューサーは別所。メンバーは加奈子を中心とした六人。他にクチバシッテしまった香奈を含め、研究生六名のバックで始まった。デビュー曲『居残りグミ』は加奈子自身が作詞、作曲は、なんとHIKARIプロの専属作曲家の大久保の弟子塩田が、敵に塩を送るの精神で引き受けた。会長の光ミツルが、業界全体の活性化のために応援してくれたのだ。週刊誌は「光ミツル、素敵に塩を送る」と特集を組んだ。当然オモクロのチーフプロディユ-サー上杉は面白くはない。

 《居残りグミ》
 今日のテストも赤点で、予想通りの居残り学習、居残り組。
 夕陽差す中庭のベンチ、待ってるキミが大あくび、その口目がけて投げるグミ。
 見事に決まってストライク……とはいかずに、キャッチする手は左利き。

 ニッコリ笑ってグミを噛む。ゼリーより硬く、キャンディーよりは柔らかく。
 その食感に、キミが戸惑う。まるで、ボクが初めてコクった時のよう。
 あの、ハナミズキの花の下、左手だけを半袖まくり、ソフトボールの汗滲ませて、ボクをにらんでいたね。
 あとの言葉困って、ボクが差し出すグミ、キャンディーと勘違い。グニュっと噛んでキミが笑う。
 歯ごたえハンパなグミ、グミ、おもしろグミ、グミ、だけど心に残る愛おしさ。
 居残りグミ、グミ、おもしろグミ、グミ、青春の歯ごたえさ~♪

 加奈子の詞を読んだとき、香奈(マユのアバター)は笑ってしまった。まるで四コママンガのようなコミカルさ。歌詞の中味は、加奈子自身の体験。学校じゃ、いつも居残り組。オモクロでも居残りみたくなって、開き直っての作詞。これに塩田の曲が付くと、コミカルな中にイカシたノリがあり。別所は、この曲を大手製菓会社に持ち込み、その会社で売り上げ不振になっていた、グミのCMソングにしてもらった。

 最初は、スーパーの前や駐車場。おもクロの原点に立ち返っての出発だったが、発売三週目にはオリコンの五位に食い込み、タマリのMCで有名な習慣歌謡曲に出演。急遽、プロモーションビデオを作ることになった。

 そして、波紋は意外なところから広がってきた。ほんとうに、オチコボレ天使の後始末は大変だ。

 香奈のアバターの中でぼやくマユであった……。
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