魔法少女マヂカ・096
スーパーマンというのは、こういう作り笑いだけで、本当に笑ったことなどないのではないかという気がした。
しかし、考えている暇は無かった。
シュビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
ズボボボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
シュビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
ズボボボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
アハハ アハハハハハハハハハハハハハハ
シュビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
ズボボボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
シュビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
ズボボボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
アハハ アハハハハハハハハハハハハハハ
交互にヒートビジョンとスーパーブレスが繰り出され、その合間に、狂気の哄笑が放たれる。いかに優秀な高機動車であっても、こいつを喰らってはもたないだろう。
スーパーマンの身にまとい付くように飛べば、反撃のきっかけを掴まえられるかとアクロバット飛行を続けるが、攻撃姿勢をとる暇もない!
「なんとかしろ、アリス!」
「だめだ、鏡の中で目を回している!」
アリスは、気絶してしまって、高機動車が揺れるたびに二つのサイドミラーとルームミラーの中で振り回されている。
「くそ! わたしが制御するから、隙を見てパルス砲を撃て!」
「この揺れの中でできるのか?」
先のロデオでも、勝ったのはオレだ。しがみ付いているだけで、牛と癒着合体してしまったマヂカにできるのか?
「その癒着の勢いでやる!」
何事か呪文を唱えたかと思うと、マヂカは背中と尻の部分でシートと合体した。
「これなら、いける!」
「Here we go!」
マヂカは捻りこみながらスーパーマンの死角に回り込む!
背中から腋の下! 首の下! 後頭部! 背中! 股間! 膝の裏! 足の裏!
その間にヘッドライトのパルス砲を発射!
グヌヌヌヌヌ……チャージが不十分だ。
パルス砲は0・2秒ほどのチャージが必要なのだが、そのチャージが十分にはできない。
ハーフチャージでトリガーを引くが、威力は半分。さらに、射撃時間も一瞬しかとれないので、威力は、さらに半分になる。
シュビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
ズボボボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
シュビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
ズボボボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
アハハ アハハハハハハハハハハハハハハ
クジラに水鉄砲で向かっているようだ……しかし、諦めるわけにはいかない!
「マヂカ! 急所に向かえ!」
「ラジャー!」
グィーーーン
高機動車はスーパーマンの尻の方から股間に向かった!
今だ!
カキーーーーン!!
なんとかフルチャージで発射、急所に命中、わずかに巨体が震えたような気がしたが、次の瞬間危機を迎えた。
フン!!
スーパーマンが勢いをつけて股を締めた!
危うく股に挟み潰されるところを脱出。大きく背中に回り込もうとしたが、動きを読まれてしまって、敵の胸が迫って来る。
「まずい、叩き潰されるぞ!」
アハハハハハハハハハハハハハハハハハ
哄笑とともにスーパーマンの両腕が広げられ、柏手を打つように両手が打ち合わされる気配!
薮蚊のように叩き潰されるううううううううううううううう!!
思わず目をつぶった瞬間。
パーーーン!
ズゴーーーーーーーーーーーン!!
手を打ち合わせる音と同時に、スーパーマンの顔のあたりで核ミサイルが落ちたような閃光が走った!
我々を叩き潰そうとした両手が顔を覆い、敵の動きが乱れた。
「今だ!」
高機動車は、捻りこみをかけてスーパーマンの巨体から離れた。
スーパーマンの肩越しに、特務師団の高機動車北斗の姿が見えた……。