マラソン讃歌

ランニング日記を中心に様々な趣味活動を紹介します。

共生社会を目指して

2016年05月08日 | トーストマスターズ
共生社会を目指して
5月6日 於:神田さくら館 東京論評TMCスピーチ 6分35秒

「遊園地」といえば皆さんは何を思い浮かべますか。
回転木馬のメリーゴーランド、空中散歩の観覧車、度胸試しのお化け屋敷などいろいろありますよね。でも、何と言っても一番人気はこれ―「ジェットコースター」ではないでしょうか。ゆっくりと軌道を登りながら高まる緊張感、頂上から一気に滑り落ちるときの恐怖とスリル、「怖いけれども乗ってみたい」だれもがそう思う乗り物ですよね。
この事件は、昨年暮れ東京のある遊園地で起こりました。当時私が担当していた日韓国交正常化50周年記念事業で韓国からやってきた視覚障害教師の団体が東京に滞在していた時のことでした。その日、一行は遊園地を訪れジェットコースターに乗るため切符を買って列に並んでいました。そこへ白い杖に気づいた遊園地の係員が慌ててかけ寄ってきます。
「お客様、大変申し訳ございません、視覚に障害のある方はご乗車できないことになっております。」
予期せぬ乗車拒否に日本語ができる韓国の代表が問い質します。
「えっ、どうしてですか?」
「実は、緊急時にご自身で車両を下りて急で狭い非常用階段から脱出していただく必要があるからです。」
「ああ、それくらいならできますのでご心配なく。韓国でも乗ったことがありますから。」
「そうですか、それなら念のため事前に確認させていただきたいので、あそこの階段を杖なしで下りてみていただけますか。」
「何ですって!視覚障害者に目の代わりとなる杖を持たせずに歩行テストするというのですか。それは人権侵害ですよ。納得できません!」
「そう言われましても、これは当社のアトラクション利用規定で決められていることですので、従っていただかない限りお乗せするわけにはいきません。」
このような押し問答が寒い夜空の下で延々と3時間も続きました。しかし、結局韓国の人たちはジェットコースターに乗れずむなしさと悔しさをかみしめながら遊園地を立ち去ることになりました。
この事件は、すぐに受け入れ先の全国視覚障害教師の会に伝わりました。さっそく、視覚障害者であるその団体の代表が遊園地のアトラクション運行責任者に会い、目の前で車両を乗り降りしたり、狭い階段を上り下りしたりしてみせました。その結果、遊園地側は係員が白い杖の役割を十分理解していなかったことや視覚障害を肢体不自由や知的障害と混同していたことを認め、係員の不適切な対応を謝罪するとともに内部規定の見直しを約束しました。
そして、ついにこの4月から視覚障害者も介助人付でジェットコースターに乗車できるようになったそうです。
時を同じくして本年4月1日から「障害者差別解消法」という法律が施行されました。この法律では行政機関や民間の事業者が、障害のある人に対して、正当な理由なく、障害を理由として差別をすることを禁止しています。
皆さんの周りにこの遊園地でのような事例はありませんか。この法律の施行を機に今一度考えてみましょう。障害のある人もない人も、お互いに、その人らしさを認め合いながら共に生きる社会、共生社会を目指しましょう!


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