ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

葛飾のO氏【1】

2006年03月16日 | 訪問記
葛飾のO氏がオーディオ装置を一新されたことは風の噂にきこえていたが、その写真にアッと釘付けとなった。新しく導入されたスピーカーがイタリア製であると知って、愕然とした。そこにタンノイの姿は無い。
O氏といえば、北は北海道から南は宮古島まで三十を超えるオーディオ愛好家の「歌枕」を探方され、上杉邸でタンノイを聴いた経験の深いタンノイフアンだが、Royce設計のとき貴重な石井音響理論の資料を見せてくださった、大変お世話になった方だ。
これまでタンノイ一筋の人に何が起こったか、新しく選ばれたイタリアのスピーカーなる逸物を聴くしかないと決意した。
千葉の大先生にいきさつをお話しすると「おもしろい、ご一緒しましょう」と申されてスケジュールを空けてくださった。
葛飾駅前のロータリーは夕暮れ時の人と車でごったがえしていた。
雑踏を歩きながら、田舎と違い久しぶりに大群衆の中に身を置く体験に、妙な戸惑いをおぼえる。
一関のメインストレートは100メートル離れてもバレバレだが、ここは3メートルも離れると知人とすれ違ってもわからない人混みの具合がよい。
帰郷したばかりの或る時、一関の公会堂の道を大町に抜けようと曲がると、ちょうどそこに見るからにハイカラな空色のオープンカーが走ってくるのが見えた。おやおや一関にも妙な車を乗り回すキザな男が!眼のやり場に困ったが、あいにく路上に人っ子一人いないそれが田舎というものか。
木漏れ陽の射す白い路をあっというまに車は接近していやな予感がしたところ、あろうことかそこで車はスピードを落とし、どうだといわんばかりに通り過ぎた気分の太さに憮然としたが、まてよ?どこかで見た顔である。
それが川向うのジャズ喫茶のSなる人物で、旺盛なサービス精神というべき、見知らぬ当方に合図してくれた珍妙な光景を思い出す。
さてO氏と待ち合わせた薬局の前に、間もなく同好のY氏もお見えになった。
最近コンクリートのオーディオルームを新築されたY氏の美意識は当方充分承知、いずれ探訪させていただきたいものだ。
一年ぶりにお会いしたO氏はスーツの上着の下にストライプのネクタイをタイバーで止める一種礼装で、Y氏はなにか小声でひじを突いたが、三島由紀夫が初対面の映画俳優のズボンの折り返しを印象的に褒めていたことを思い出した。
(続く)


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