ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

Canon in D

2011年12月18日 | 旅の話
1680年のパッヘルベルのカノンの楽譜をながめていると、はじめにゆっくり通奏低音が始まって、高域のメロディが加わっていくサウンドは、ハープシコードを縦にした楽器がハープであるのはわかるが、いよいよ音符の数が増えていって、おたまじゃくしがとうとう縦に12個も並んでいるのをみると、指は10本なのに、どうやって12個の音符を同時に鳴らすのだろうか。
2台のハープで、パートをわける手が有るのか。
原曲に忠実に三丁のバイオリンと一丁のベースで演奏するところをしばらく聴いて、かりにジャズを堪能する者であれば、同じ音符をChambersがベースをかまえブルンブルンゆっくり走り出し、GarlandとColtraneがメロディを交互に鳴らし、Milesが金管パートをパーッと吹き鳴らして登場すれば、そのときカノンの全貌はどうなっているのか容易に描くことができる。
国道343号線を、粉雪を蹴散らしてしばらく奔って行くと、三陸は冬であった。
これで四つの季節を走り、今泉街道の景色をなぞって古人の旅をしのんだ。
現代の343街道は、つづらおりの急なイロハ坂も、融雪剤が早朝から撒かれて安全に走行することが出来たが、途中で、近道でなく沿岸部を大きく今泉の街路まで走ったところ、この突端部は、ホテルや旧家の港に並んだ非常に開けて賑やかな高輪通りのようなところであった。
いまじっさいに見る景色は、シルクロードのパルミュラの遺蹟のように、津波に呑まれた跡の高層の建造物が点々と残っている。
海面が高く感じられるのは、陸地がメインストリートを載せたまま全体に陥没しているからなのか、二メートル高の特殊な土嚢が整然と海に沿って積まれ、突堤には大きく堤防工事が始まっていた。
おや!前方に、赤色灯を回転させて警視庁と大きくボデイに表記の白黒車両が、三台も沿岸の突端を警備しているではないか。
昨日は、北海道警と埼玉県警の車両とすれ違ったのであるが、油断していると先日など運転席の天井にポンと電飾灯を載せる普通の車両が暗闇からあらわれ、これではもはやうっかり那須のジャガー氏のように、エンジンの調子をしらべることも気軽にできるものではない。
パッヘルベルのカノンは、ゆっくり時速四十キロで、あれほど大量に道を塞いでいた生活人の痕跡が、かぎりなく整理されどこまでも見通せる地面が広がっているなかを走って行く。
いつかふたたび陸地がもとの高さまで回復し、人々の賑やかな街にもどる景色を、おなじカノンの曲で前後を電飾灯に挟まれてもよいが、ゆっくり走ってみたい。
タンノイで聴くパッヘルベルのハープは格別である。

☆新潟県警も走っていると通報があったが、震災の廃棄物に、佐竹藩が申し入れて来ている噂があるのか。




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