ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

庄司紗矢香&大野和士/都響(6/19) @東京文化会館

2012-06-24 | コンサートの感想
嵐の中のコンサート。
今思い出しても、本当に感動的なコンサートだった。
このコンサートがあることも私はよく知らなかったので、誘ってくださったminaminaさんには、ただただ感謝です。

冒頭のシェーンベルクは、とにかく弦の響きが美しい。
単に音が澄んで美しいというよりも、各セクションが絡み合う中で色彩感に富んだ美しさを醸し出している。
弦に定評がある都響だけど、これほどの魅力をもっているとは思わなかった。
大野さんの音楽作りも、精妙でかつ官能的。

2曲目は、庄司さんをソリストに迎えてのシマノフスキのコンチェルト。
シマノフスキと言えば、何年か前に横浜で聴いたツィメルマンの「ポーランド民謡の主題による変奏曲」が凄い演奏だった。
とにかく濃密で、聴きながら何度となく強い陶酔感に浸ったことをよく覚えている。
この日のヴァイオリンコンチェルトも、そのときのツィメルマンに劣らず凄い演奏だった。
何と言っても庄司さんのヴァイオリンが素晴らしい。
彼女のヴァイオリンは、無色透明とは対極にある意思の強さを感じさせることが特徴だが、この日の彼女のヴァイオリンは妖しいまでの輝きを放ち、そして自在に舞っていた。
まるでリヒャルト・シュトラウスのオペラを聴いているかのような瞬間もあって、すこぶる楽しませてもらった。
大野さんのサポートも絶妙。
優しく包み込む一方で、必要があれば対峙することも厭わない。
だからこそ、音楽が平板にならず、起伏に富んだ濃厚なものになっていた。

休憩を挟んで、後半はバルトークのオケコン。
前半の出来からして大きな期待をもって聴き始めたが、文字通り圧倒的な演奏だった。
この完成度の高さは、驚異的だ。
あの部分が、この部分が・・・なんて次元を超えている。
日本のオケもここまできたのかと、深い感慨を覚えた。

ここまでオケの力、ソリストの魅力を引き出せたのも、やはり大野さんの力だろう。
音楽を塊でとらえないで、一度バラバラにしたものを再構築し、色彩豊かに表現してくれる。
そして、何よりも素晴らしいのは、音楽が常に生気をもっていること。
その結果、音楽は斬新で、抜群の鮮度で聴衆に提供される。
大野さんが外国で高い評価を得ている理由も、よく理解できた。

このコンビ、いやソリストとして庄司さんにも入ってもらってトリオの形で、是非また聴かせてほしい。
楽しみがまた一つ増えた。



<日時>2012年6月19日(火)19:00開演
<会場>東京文化会館
<曲目>
■シェーンベルク:浄められた夜
■シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番
■バルトーク:管弦楽のための協奏曲
<演奏>
■指揮:大野和士
■ヴァイオリン:庄司紗矢香
■東京都交響楽団


コメント (2)
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