ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

スクロヴァチェフスキ&読響のマチネーコンサート(常任指揮者就任初回演奏会)

2007-04-23 | コンサートの感想
今日大阪でセミナーがあり、期初に企画された一連のイベントも、これで一段落です。
先月来、出張が続いていましたが、新幹線の車中では大好きな音楽をipodで聴くことができるので、まったく苦痛ではありませんでした。
今回の一連のセミナーの前に決まって聴いたのが、ベームの「フィガロの結婚」。
有名なDG盤です。
時間があるとき(例えば広島出張時等)は全曲聴いたりもしますが、毎回絶対聴いたのが、大好きな第2幕のフィナーレ。
機知に富んだやりとりと、もう完璧としか言いようのないアンサンブルを聴くだけで、私は元気が出てきます。
この演奏について書き出すと、どうにも止まらないので後日改めて書きます。

もし、過去の録音時のセッションに10回立ち会えるとしたら(うん?10回も?と仰るむきもあろうかと思いますが、やっぱり欲張りでしょうか(笑))、絶対この録音現場をエントリーします。
フィッシャー=ディスカウ、プライ、ヤノヴィッツ、マティス、そしてマエストロ・ベーム、もうこれ以上のキャストは望むべくもありませんし、まさにベストフォームだと思います。
中でもマティスのスザンナの素晴らしいこと!
音しかないのに、そこで演技しているマティスの姿が目に浮かびます。
スザンナにしてもケルビーノにしても、誰がなんと言おうと、私の中ではマティスが永遠のマドンナです。

さて、昨日、今年度初めての読響マチネーを聴きました。
<日時>2007年4月22日(日) 午後2時開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■ドヴォルザーク/交響曲第7番
■スクロヴァチェフスキ/ミュージック・アット・ナイト
■ストラヴィンスキー/組曲〈火の鳥〉(1919年版)
<演奏>
■スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮
■読売日本交響楽団

今年度からアルブレヒトの後を受けて読響シェフの座に就いた、ミスターSことスクロヴァチェフスキの記念すべき初マチネーコンサートです。
楽員の入場のときに「おやっ」と思ったのが、客員コンマスの鈴木理恵子さんが松葉杖をついて登場したことです。
演奏には問題なさそうでしたが、大丈夫なのでしょうか。ソロ・室内楽と幅広く活躍されている方なので、ちょっぴり心配です。

さて、大きな拍手に迎えられて登場したスクロヴァチェフスキ。
80歳をとっくに超えているはずなのに、とにかくかくしゃくとしています。
何よりも姿勢の良さには驚くばかり。
その若々しさが演奏にもよく現れていました。

ドヴォルザークの冒頭から、実に引き締まったいい響きがします。
メロディを豊かに奏でることにも秀でたマエストロですが、どんなにたっぷり歌う箇所であっても、旋律を支えるリズムがしっかりしているので、無為に流れるということがありません。
「豊かだけど、厳しさを失わず、決して流されない!」
この7番には、これが何よりも重要だと私は考えます。
この日のスクロヴァチェフスキの音楽には、間違いなく「この感覚」がありました。
読響もマエストロのタクトによく応えていたと思います。
第3楽章の出だしにはとくに注意をはらっていたようで、テンポ・表情を何度もオケと確認したうえで演奏を始めましたが、アーティキュレーションも自然で素晴らしい演奏でした。

スクロヴァチェフスキのもうひとつの特長は、音楽の構造が実によく分かることです。
そして、ときにサウンドは容赦なく爆発しますが、どんなフォルテシモでも音が混濁することがありません。
このあたりは、オーケストラトレーナーとしても抜群の手腕を発揮してきた「ミスターS」の面目躍如たるところでしょう。

この二つ目の美点は、この日のトリを飾った「火の鳥」で思い知らされました。
そして、自作の「ミュージック・アット・ナイト」にもひとこと触れておきましょう。
いわゆる「ゲンダイオンガク」ではあります。
しかし、決して聴きにくい曲ではありません。
前半の弦楽器のpizz.は鐘のように響きましたし、ハープの調べは天国的。
ソロの扱いもさすがに上手い!
オーケストラの響きを知り尽くした人の作品ですね。
同じく読響で自作自演した、セゲルスタムの曲よりも私は気に入りました。

読響は、素晴らしい方を常任に選んだと思います。
トレードマークにもなっている短い指揮棒を駆使し、これからも生気溢れる音楽を聴かせて欲しいものです。
コメント
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