怠慢主婦 ドイツで同居 

日本食を食べなくなり義両親のしもべと化し、すでに何年になるだろう。遠い目しながら今日も行き抜いてやるぞっ

日本人先生の英語講義を生まれて初めて聴いた

2018年09月24日 | 日本
在独約30年のポーランド人知人の友人の旦那さん(つまり私には全く関係ない人物)が勤務する大学で、日本から招いた大学の先生の講義がある、とそのポーランド人J子さんに誘われた。
ちょいと面倒くさいな、とは思ったがJ子さんとしばらく逢っていなかったので彼女のために行くことにした。
「りすさん、英語はわかりますか」
と尋ねられた。
「いまじゃあ絶望的にダメです」
日常会話ならともかく、化学関係の講義を英語で聞き取れって、それはもう私には不可能だ。
そういうわけで、まるで気乗りがしなかった。
一般向けの講義ではなく、その大学の学生向けだ。今回はわざわざ日本から招いている、ということで一般人も聴講可能だった様子。

真新しい教室で、始まる前にドイツ人スタッフたちと歓談していたN先生は温和そうな人だった。

日本人アクセントの英語は一般的には非常に聞き取り易い。
また、英語の文章の癖が、どうしても母語の日本語に影響されるので、日本人の話す英語は日本人にわかりやすい。
そういうわけで、私は眠たくなるほど退屈だったわけではなく、むしろ、ちょいと聞き込んでいた。
銅や銀を使って物質を接着する研究についてだった。
隣に座ったJ子さんの学生時代はドイツ語学だったので、彼女はだいたい私と同じような感覚で聴いていたかもしれない。

講義が終わって、帰り際にちょいとN先生に挨拶すると
「拙い英語で申し訳ない」
などと、これまた日本人らしい久々の謙虚さに触れ好感度絶大だった。

終わってからJ子さんと簡単な昼食をとりながら久しぶりに話し合った。
19歳の長女は医学部志望だったのだが、アビトゥア得点数とギムナジウムの成績平均評価点が低いことで、ドイツ国内の医学部への入学枠が絶望的に無いという話まで聴いていた。
ところが、8月下旬にスロバキアで医学部入学試験があることを知り、急遽受験し、合格になったそうな。

そこの大学では授業は英語。
将来は英語圏でしか医師としての就業、開業は難しいのではないか、という私の質問に「EU圏内はOK」とJ子さんは答えた。
彼女の情報がどこまで正しいかわからない。
日本人にとっては医学部を国境を超えて受験できるという事実だけでも凄まじい驚きではないか。
外国で医学部を終えて、日本で医師ができる可能性は無いだろう。ドイツでは難しいかもしれないが、あるらしい。

ドイツだったら大学の授業料などはほとんどかからないらしいが、このスロバキアの医学部は半年ごとに1万ユーロの授業料を支払わなければならないそう。
J子さん一家にはちょいと重い負担かもしれない。年間250万円の授業料、書籍購入(実際は貸与料)寮費、一ヶ月に一度は帰宅させるための交通費・・・

私たち夫婦にはとても真似できないだろう。昔は貧乏人の子沢山と言ったが、今では金持ちの子沢山だろうな。「育てられないなら子供を産むな」というネット上の記述も方々で読んだことがある。

J子さんの長男はすでに就業していて外国駐在中、次女も長女と同時にアビトゥアを終えて、ただいま、これから何をするか模索中。
そのこれまた、日本では考えられない方法だ。まずは大学に行って、将来を考えるのとは大違いだ。長女と次女は年齢が違うのに一緒にギムナジウムを卒業するのも不思議だ。

J子さんが言うには、今回のこの大阪大学の先生を招いたのは、大阪市とインゴルシュタット市が友好都市になる計画があるからだとか。
夫にそれを話すと「都市の規模の大きさが違いすぎます」と言って笑った。
ネットで検索すると、大阪市はすでにハンブルクと友好都市ではないか。
たぶん、J子さんは間違っているか、あるいは私が彼女の発言を間違って聞き取っているか、だ。

だが、インゴルシュタット市が日本のどこかの街と友好都市になるのも良いな、と期待はしてしまう。
数年前、インゴルシュタットは中国の某市と友好都市になったものね。日本をどんどん追い越していっている中国を感じてしまう物事のひとつのようで、ちょいと対抗意識を燃やしてしまう。