三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【高断熱高気密meetsニッポン生活感受性】

2019年01月22日 07時00分46秒 | Weblog
写真はReplan関西で取材した家具屋さん「TRUCK」。
ひとつの家具屋さんが、自分たちの価値感・テイストを追究して
家具から自宅の建築に至るまで「好き」を追究した姿勢が
出版を通して多くのひとに知られ、いまは一種の「聖地」化している。
雑誌の姿勢としても共感できるものがあって、取材し掲載させていただいた。

北海道は高断熱高気密という住宅技術を進化させることができた。
そのプロセスでは人間の生身の生活のベースをどう作るか、
そういう生々しい「環境」性能のたゆまぬ追究があった。
人間のいごこちについての床壁天井、ボックスとしてのあるべきモノの探究。
同じように「空間」とか、「空気感」というものへの追究があったと思う。
日本人として寒冷地において住宅の即物的な性能のことがらが解析され、
基本的な技術基盤はおおむね達成されてきて、
この技術は全国に対して「拡散期」を迎えているのだろうと思います。
そのときに、北海道は今後、どのような志向性を持って行くべきなのか、
このことは深く考えていく必要があるけれど、
拡散の方向で、いろいろに出会う「ニッポンの生活感受性」に邂逅する。
いわば「高断熱高気密meetsニッポン」のようなことも
同時にわき起こっていくのだろうと思っています。
高断熱高気密の住宅技術がその基本的な部分で貫徹されながら、
その地に暮らす生活感受性の部分と、どのように親和していくのか、
いわば文化としてのニッポン社会での調和を考えていくことになる。
北方圏出自の住宅雑誌として、テーマだと考えた次第です。

写真のような家具がもたらす「肌感覚」のようなもの、
そういうものに込められた、関西的気候風土と人間の感覚を体感する。
北海道人はしかし、その大多数は東北以南地域からの「移民」の末裔たちです。
寒冷という環境の中で暮らす中で、いろいろな「そぎ落とし」もあった。
日本家屋の「隙間」というものとは訣別の方向に向かった。
冬期に積雪があり、日射融雪が結氷する環境で
屋根雪の滑落といっしょに崩壊せざるを得なかった瓦屋根は早々に
北海道の住宅からは消えていった。
そういう日本人としての住宅への感覚「新常識」を持って、
ふたたびネイティブの地域に戻ってくる、という感覚があるのです。
ある意味、不思議の国のアリスのような視点もあるけれど、
しかし、深く癒されるこの生活感受性への共感も強く喚起されます。
いま、第2号の編集作業まっ盛り。自分たちもワクワクさせられています。
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