きのう朝、5日間にわたった出張から札幌帰還。
その足で、スタッフの結婚式に出席。
ややお疲れモードであります。
ふ~~~。
ことしの新住協総会は、
鎌田紀彦先生の恩師・内田祥哉先生の講演が行われたのが特徴でしょう。
東大工学部を卒業後、
内田ゼミの学院性として研究してきた鎌田紀彦先生は
いわば、日本の建築工学の本流的な立場。
そうでありながら、当時、日本で初めて「建築システム工学」
という専門学科を開いた室蘭工業大学にパイオニアとして
赴いたという経緯だったそうです。
鎌田先生は、東大での研究生時代には、
そのころ、国の建築行政の諮問委員を多数引き受けられていた
内田先生の右腕的に活躍され、
若いながら、多くの国の諮問委員を前によく発表されていたそうです。
室蘭工大に赴任後は、
北海道が抱えてきた寒冷地住宅の建築工法研究に身を捧げられ、
「高断熱高気密」住宅技術を具体的、実践的に工法開発されました。
こういった研究者を地域として迎え入れられたのは
北海道という地域にとって、きわめて大きい出来事だったのだと思います。
そして、鎌田先生は同時に
日本全体の建築学会の中でも、きわめて特異に
現場に精通した研究者であるとも言われています。
内田先生にお話を伺っても、この点を大きく強調されておられました。
これは、鎌田先生の人柄の成せるものだったのかも知れません。
常にアカデミズム的な対応をよしとせず、
むしろ現場大工さんに気軽に接触されて
その現場工学的な部分での研究開発を最優先されてきたと思います。
だから「先生の話を聞いたら、どうやって釘を打ったらいいかがわかる」
というように、多くの全国の工務店さんたちが口を揃えます。
これこそが、鎌田紀彦先生の工学者としての真髄なのだろうと、思われます。
そしてそのことをもっとも評価される内田先生のお人柄から、
この師匠にしてこの弟子が、というように感じられます。
このように成立してきた北海道の「高断熱高気密」運動というものが、
日本の建築工学の歴史においてもきわめて特異で意義深い1ページであると、
強く感じられた今回の新住協総会でした。
<写真は、内田先生のお話からの1カット>