住宅の模型や図面って、
現代では、いろいろ素材が揃っていて、
わかりやすく、「空間想像物」を取引していますよね。
で、その想像の内容について、
設計の契約を交わしたりする。
ある個人が想像したものを、他者にわかるように伝えて、
それをもとに「契約」にまで至るのですから、
考えてみれば、お互いの「想像力」に大きく依存したビジネスです。
それだけではやはり不安だから、
模型や図面が、必要になってくるものなのでしょう。
東京博物館の常設展示で、
こんな写真のような展示に遭遇いたしました。
制作年代はいつ頃のことなのか、
詳しい説明文を読む時間がなかったのですが、
使用されている紙の古び具合からは、
江戸期くらいの感じかなぁと、勝手に想像しておりました。
江戸期だとすると、こういった模型に使える「固い紙」というものが
なかなか貴重品だったようにも思えますし、
また、造作の丹念さなど、昔の人の息づかいまで伝わってくる感じがいたします。
そして、こういう模型を大事に残してきた家系の
なんというか、重厚な奥行きの深さも感じられますね。
きっと、愛着を持ってその建物を思ってきた
そういう気持ちのようなものも伝わってくる気がします。
毎日のように、住宅にからんだ仕事をしているわけですが、
先人のみなさんと、もう少しで会話できそうな気持ちも起こってきます(笑)。
「この玄関を入るとね、こういう空間になっていてね・・・」
っていうような、昔の人の建築への愛情が、
口をついて出てくるような、そういう想念に襲われた次第。