先日、ことしの「北海道建築賞」の受賞作発表会がありました。
これは、公共的な建築から住宅まで幅広い建築を顕彰するもので、
第1回が1975年、という歴史のあるものです。
今回は、たまたま、リプラン誌面でも取り上げていた
小室雅伸さんの「当別田園コート」が表題の賞に選出されました。
写真は、その建物の正面外観(リプラン誌面より)。
えらい、左右に横長い住宅なんですね、これが(笑)。
この建物は比較的に交通量の多い幹線道路から、セットバックはあるとはいえ、
遠景することが出来るもので、車を思わず止めて、
あるいはいったん通り過ぎてから、わざわざ、バックしてきて(笑)
見ていく人が多く、それをまた建て主さんが室内から見て面白がっている
というような住宅ということです。
なんでこんなに左右に長いのだろうか、というのが素朴な疑問なんですが、
プラン的には単純明快で、正面を向いているこちら側が
南側になっていて、敷地にゆとりがあるので、
できるだけ採光と日射取得を有利にするために、このようにしたのですね。
さらにこの家は2世帯での利用が考えられているので、
その意味でも、出来るだけプライバシーを離している、
というポイントもあると思われます。
でもまぁ、まるで汽車が走っているように見えますわな、こりゃぁ(笑)。
玄関を入ってまっすぐ見通せる先に緑豊かなピクチャーウィンドがあります。
「ダルビッシュが冬に来ても、練習できる」と
設計者が説明していましたが(笑)、まったく同感。
設計者の小室さんとは、長い付き合いになっています。
わが家は小室さんと同じ設計事務所のOBに設計してもらったので、
その設計手法や考え方が、通じている部分があり、共感できる設計者。
かれが造る住宅はまったくシンプルになるのが特徴。
しかし、そのシンプルさに、実に奥深くさまざまの考え方が込められているのですね。
それで、そういう部分に気付けば気付くほど、
実に大胆な設計手法だなぁと、感心させられる。
それと、住宅の性能への探求心は刮目するレベルで、
そういう意味からも、「ひとつの北海道の住宅の典型を見せた」という
今回の受賞理由には同感するものです。
まぁ、単純に実に「北海道らしい」建築設計ではないかと思うのです。
小室さんは、近日発売の
「北海道の建築家たち・住宅特集、北のくらしデザインします.8」
では、性能とデザイン、というコーナーで
若手建築家の五十嵐淳さんと対談したり、住宅が紹介されたりしていますので、
ぜひ読んでいただけると幸いです。
たくさんの興味深い話題が展開して、北海道の家づくりの
基本的な部分が明瞭に見えてくるような内容になっています。
って、宣伝なのですが(笑)、ぜひと、オススメいたします。
11月下旬発売、北海道内有名書店と、
今回は、東京の建築関係書籍に力を入れている有力書店でも発売いたします。
値段は1冊、2000円。ちょっとウチの本としては高めですが(汗)、
損のない内容と自負しております。
って、すっかり話題がそれましたが、
またこの家の写真、ご紹介したいと思います。ではでは。