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危ういハイテク機とLCCの真実  杉江 弘  扶桑社

2013年05月01日 09時00分00秒 | 雷日記
こんにちは、落雷抑制システムズの松本です。

著者の杉江さんはB747の飛行時間2万1000時間という、ジャンボでの世界一の操縦経験を持つ元JALの機長さんで、操縦に関わる色々な著作があり、私は大ファンでして、この本も初版第1刷は、2013年5月10日【未だです】となっているできたての本ですが、杉江さんの本は必ず目を通していますので、早々に買い求めました。航空業界に限らず、経験ある古手の意見と言うのは新しい時代に乗り遅れているというような捉え方で真剣に受け取ってもらえないことが多々ありますが、この杉江さんのご意見がそのような見方で受け取られない事を願うものです。

以前は3人乗務であった大型機の操縦席は今や2人乗務となりました。では、消えてしまったフライト・エンジニアの仕事はどこへ行ってしまったかと言えば、自動化と2人のパイロットへの負担増しと言う形になりました。正常に機能している時には二人でまかなえる仕事量であっても、緊急時の対応となると困難であることが実態のようです。3人分の座席の前に広がっていた計器類も二人分の面積には当然収まりませんから、アナログ計器もデジタルでモードを切り替えて一つのディスプレィに各種のデータを表示できるようになり、操縦席はグラス・コックピットと呼ばれるように大きなディスプレィに占拠されるようになりました。

航空機事故と言うのは、本当に機体の機械的/電気的なトラブルよりは操縦士の勘違いにより発生する部分も多く、高度に機械化されて人間を介することが少なくなっても、その分複雑になった機械系を誤解することも多く、人間と機械のインターフェースが重要なのですが、恐ろしい事に航空機の操縦系のデザインは操縦経験によるパイロットからの要求ではなく、操縦経験の無いエンジニアの発案で新しいものができ上がってしまうようです。車の運転については、世界中の車がハンドルの位置、ウィンカー、ワイパーの位置の違い位で、設計する人も日常的に車の運転はしている事でしょうから、それほど変わったインタ-フェースにはならず、日本で国産車の運転しかしたことが無くても、米国でアメ車のレンタカーを運転するにも何の困難もありません。

しかし、旅客機はフランス式のエアバスと米国のボーイング系では操縦に対する根本的な理解が異なる様で、操縦席の細かな違いは沢山あります。パイロットは機種毎の免許になっているようで、これも車と対比したら可笑しいですね。クラウンは運転できてもプリウスは運転できない、日産には乗れてもトヨタには乗れないと言うようなものですから。年々新しくなる航空機ですが、実は、航空会社の経済性の改善だけを狙ったものであるとか、操縦席の中でも航空会社の労務管理のための方針が最重視されるとか、表面的には進歩に見えることでも安全な飛行と言う面では何も寄与していない「進歩」もあるようで、飛行域に乗るのが怖くなります。

本書とは関係の無いB787の飛行再開ですが、原因究明もできていないのに米国はあせっていますね。。原因が分からない対処策って本当はおかしなことです。トラブルのあった場合にその原因も究明できないような複雑なシステムは、実用システムとしては落第なのです。トラブルはあって当然。しかし、その原因も対処法も分かるなら安心して乗れますが、原因が分からないままの飛行再開と言うのはお客を馬鹿にした話しではないでしょうか? 以前、B787 に乗った時の話をブログに書きました。飛行機大好き人間としては、原因の究明を待っていたのに、今回の処置は残念です。 例え、安全であってもこのようなやり方に抗議するために私はB787には乗らない事とします。ANAにもJALにも乗りたくない気分です。安全か否かの問題ではなく、安全性に対する態度の問題として許せません。

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