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令和2年度 年忘れイラストギャラリー〜その2

2020-12-30 | 歴史

令和2年度年忘れイラストギャラリー二日目です。

「ミッドウェイ」〜AFとは何処なるや

実在の人物が登場する映画の挿絵を描くと、往々にして
全く本物と似ていない俳優の顔を描くことになります。

たとえばこの「ミッドウェイ」だと、フレッチャー提督などは
本物よりも体重が20キロくらい重そうな感じの人になってしまっております。

皮膚病で参加できなかったブル・ハルゼーを演じているのが
「眼下の敵」で駆逐艦艦長を演じたロバート・ミッチャムというのも
イケメンすぎとかいう問題以前に「ブルっぽい」雰囲気が出せていません。

演技でそれに寄せることができる俳優がいるのは確かですが、
まあなんというか、似顔絵にすると辛いところではあります。


今回映画「ミッドウェイ」を取り上げたことでありがたいことに
ミッドウェイ海戦についてかなり理解を深めることができました。

映画という媒体について考察する時、たかがツッコミを入れるためでも
多面的に情報を集めるという作業を繰り返すことを求められるので、
結果的に誰かの書いた本を一読するよりは知識が蓄積されやすいということも、
長年のブログ作成によって経験則としてわかってきたことです。

ミッドウェイ海戦の指揮官二人は偶然どちらも左手の指を欠損していた、とか、
日米双方の部隊指揮官がどちらも比較的かっこ悪い病気(乾癬vs盲腸)で参加できず、
というようなちょっとした小ネタも収集できましたしね。

ちなみにニミッツは薬指、山本五十六は人差し指と中指でした。
ニミッツは事故の時アナポリスの卒業リングを嵌めていたため、
第二関節以下が残って海軍除隊を免れたといわれています。

 

デスティネーション・ポイントラック

今気付いたのですが(アップするときもしてからも気づかなかった)
この絵の中の名前にミススペルがありますね・・・とほほ。

 

アメリカ海軍も大概ですが、こちらはそれに輪をかけて誰一人似ていません。
なんとなればそれは、映画撮影時にアメリカの映画界で活動していた
日系俳優をキャスティングし、英語を喋らせるという手法を取ったからです。

ですから日本から山本五十六役で出演した三船敏郎のセリフも英語で、
さらに「三船専門」の声優がアテレコするというものでした。

しかし、わたしはこのキャスティングに非常に好感を持っています。
日系であることに加え、実際に軍人であった人も何人かいるうえ、
とくにジョージ・シゲタなどは日本人提督を演じる意気込みは
真剣かつ真摯なものだったというエピソードも伝わっているからです。

見た目だけが東洋人の中韓人俳優では、彼らのような雰囲気は出せなかったでしょう。

「勇敢な搭乗員が15名・・・・」

ちょうどこの「ミッドウェイ」についてのエントリを作成し終わった頃、
九月に公開された2019年度版の「ミッドウェイ」試写会のお誘いをいただき、
ありがたく参加させていただきました。


ミッドウェイ試写会その1

その2(配役について)

その3(思いっきり突っ込んでる)

その4(巻雲艦上の処刑について)

 

この最新作で最もある意味深刻だと感じたのは、中国資本で作られたことによる影響、
つまりわかりやすい一定の方向付け(もっとはっきりいえば洗脳めいたもの)
が本作において非常にあからさまであったことです。

それは、同じミッドウェイ海戦を描きながら、日本海軍の軍人を武士のような雰囲気で描き、
デバステーター雷撃隊が全滅したことに南雲長官が涙する、
というようなエピソードを創作している旧作に対し、最新作の方は、
日本の駆逐艦で行われた搭乗員の処刑や日本軍の中国本土攻撃で犠牲になる中国人民を描き、
ドーリトル攻撃のシーンでは「アメリカの味方の中国人」を強調し、
極め付けは真珠湾攻撃において登場人物の親友は無残な姿で殺され、ミッドウェイ海戦が
その敵討ちであるというストーリーづけをするなど、アメリカ側の英雄的な戦いを称揚しながら
戦闘相手の日本の「理のなさ」を告発せんばかりの演出にことごとく現れていました。

これは、エメリッヒ監督の演出や単純に映画としての評価とは
切り離して考えるべきなのでしょうが、残念ながら現在のアメリカでは
わたしが度々ここでお伝えしているように、映画などのエンターテイメントに
外国資本が入り込んだ結果、大衆をある方向に誘導・洗脳しようとしている、
という動きが目に見えて加速しているのを現地にいても感じるのです。

アメリカの保守層の中ではもっとはっきりと、その存在とは中国共産党であり、
アメリカ社会に長年時間をかけて入り込んで内側から文化と歴史を変えようとしている、
という危機感が急速に共有されつつあります。

今回の大統領選をきっかけに吹き出してきた選挙介入疑惑や、中国人スパイの摘発、
一向に疑惑を疑惑として報じず言論統制をするメディアのあからさまな動きは、
それが単なる陰謀論に止まらないことを如実にあらわしています。

 

教育と娯楽で子供のうちからの価値観を変え、自国の歴史に否定的にさせる。

こういった活動は具現化されて加速し、ビーエルエムだのアンチハだののポリコレ集団が
ついには南北戦争の軍人たちの銅像を北南関係なく打ち壊したり、さらには
軍人の名前のついた建物や通り、地域の名前を変えさせようとしているに至りました。

ハリウッドについては何年か前からこの傾向が目に余る状況であるため、
共和党の保守派議員には中国資本が介入することをを法律で禁止するための
法案をだそうという動きもあるということも前にニュースをあげてお伝えしましたね。

今にして思えば、中国当局が資本投入の引き換えに検閲をすることを許している、
ということに対してこれを禁止する法案をだしたのは、今回の大統領選で
すっかり有名になったテキサス州の共和党議員テッド・クルーズでした。

さて、改めて言われずとも、中国資本が絡んで無茶苦茶にされたと思われる作品を、
わたしたちはなんとなくいくつか思い起こすことができるわけです。
そして彼らの目的のひとつと思われるものに「日米離反」への巧妙な工作があります。

近年アメリカに来るたび、その動きを史跡や博物館などで感じることはありましたが、
映画ではこの「ミッドウェイ」で初めて確認することになったというわけです。

マット・ガース大佐の出撃と戦死

本作には、日系アメリカ人の女性と愛し合い、それ故に苦しむ搭乗員と
その父親であるチャールトンヘストン演じるガース大佐が主人公として登場します。

こういうサイドストーリーも、ただ日本側に対し敵感情をアメリカ人に植え付ける、
ということを意思を持って行う現在のハリウッドならまず採用されなかったでしょう。


新旧二作の「ミッドウェイ」を奇しくも間をおかず検証する機会を得て、
わたしは現在のアメリカ(この問題は日本にも決して無関係ではない)で叫ばれる
外国勢力の企む価値観の危機が、決して「映画の中だけの話」でないことを確認しました。

それはあたかもたまたま顕微鏡を覗いたときに原因不明とされていた体調不良の根本原因となる
新種の病原菌を見つけた研究者のような気分です。
(ちなみにその病原菌の存在と体調不良の因果関係については従前から疑いを持っていたと)

♡ おすすめ 「ミッドウェイ」最新作を観た方にぜひ


青島要塞爆破命令「現在三浦半島横断中 時速1キロ」

 

 

まったく、近年の映画をみて神経をささくれ立たせられることを思えば、
この頃のシンプルで邪気のない「痛快な」戦争映画における
ちょっとした自虐風表現などかわいいものだと思ってしまいます。

本作は「戦争活劇」というジャンルが日本映画にまだ存在していたころ、
そのジャンルのスターである佐藤、夏木のレギュラーメンバーに
当時人気絶頂だった加山雄三を迎えて制作されたという豪華版ですが、
戦争ものでも珍しい第一次世界大戦を扱っているのが大きな見どころです。

スミソニアン博物館の第一次世界大戦の航空について取り上げている時だったので、
日本軍の青島攻略戦についても理解が深まりました。

第一次世界大戦における飛行隊を主軸に描くという映画の脚本上、
登場する飛行機は複葉の水上機ということになります。

「モーリス・ファルマン式」などという日本海軍初期の採用機、
模型展で見た「ルンブラー・エトリッヒ・タウべ」などというドイツ軍機も登場します。

 

「存在と無」

奇しくも(笑)ここに登場するのが美貌の中国人女スパイ。
ついでに青島の村人たちは結局お金欲しさに日本軍の情報を
通報しているという人民総スパイであった、と描かれます。

戦争活劇というだけあって、目にも婀娜な(死語かしら)スパイを
銃殺すると見せかけて命を救ったら、いつのまにか彼女が
こちらに寝返って助けてくれたり、空中戦で戦った敵機のドイツ人パイロットが
戦闘でペアを失い、項垂れる様子に粛然と敬礼を送るなどといった脚本、
題名にした「存在と無」のギャグ?など、全方向にサービス満点の娯楽映画として
その徹底ぶりは評価されるべき作品です。

 

ビスマルク砲台弾薬庫を爆破せよ

しかし女スパイの白蘭が助けてもらったことを恩に
敵から寝返ったかどうかについての説明や、夏木陽介がどうやって生き残ったか、
至る所で辻褄を合わせることを放棄しているのですが、勢いで乗り切ってしまっています。

そしてなんといっても青島戦に勝利したのは、このしょぼい水上機の爆破のおかげだった、
というのが戦争活劇の面目躍如といった感じです。

♡ 文字通り活劇ものを見て楽しみたい方に

 

Uボート〜"Muß i denn"(別れ)

満を侍してアップした「Uボート」。
戦争映画の枠を超えて名作とされているドイツ映画です。

ログの挿絵には登場人物を一人ずつ取り上げ、タイトルには
その部分に挿入された曲の題名を充てました。

オリジナルのサウンドトラックも名曲とされていますが、本作は
当時のヒット曲などを登場人物の状況や心情に合わせて
実に巧みに挿入させており、優れた効果となっていたからです。

「ムシデン」=別れの歌は、Uボートが出撃するシーンで軍楽隊により演奏されました。

リスト作曲 交響詩 ”レ・プレリュード”

Uボートの出航を見送りに来た別のUボート艦長、
トムセン大尉を二日目に取り上げました。

本文には書き漏らしましたが、広い大西洋で主人公のUボートが
このトムセンのUボートと偶然鉢合わせするシーンがあります。
艦長はつまり司令部の采配の拙さだと激怒するのですが、その後
トムセン艦長の艦は敵に撃沈されたと原作にはあるそうです。

リストの前奏曲はドイツからのニュース放送のテーマとなっていましたが、
そもそも上層部というものに不信感しかない乗員たちにとっては、
彼らの無能を喧伝する「前奏曲」にしか思えなかったでしょう(誰うま)

というところでまだ「Uボート」は終わってませんが明日に続きます。

 


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1 Comments

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長い戦い (Unknown)
2020-12-31 07:09:01
中国の教育や娯楽を通じて浸透して行くやり方は、第二次世界大戦後のアメリカの我が国やヨーロッパへの浸透?を参考にしていると思います。

第二次世界大戦では、枢軸国が敗北し、勝利した連合国(主としてアメリカ)によって、枢軸国は悪者にされた訳ですが(私見ですが)どの国も自分なりの正義や価値観があって行動している訳で、絶対的な悪者とか正義の味方はいないと思っています。

中国はアヘン戦争以降、欧米や我が国に浸透されて来て、国力が付いた今、その仕返しをしていると思います。コロナ禍もうまく抑え込むことが出来、これから長い長い戦いになるでしょう。
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