ネイビーブルーに恋をして

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コークスクリュー〜平成29年度入間航空祭

2017-11-25 | 航空機

さて、色々と間に挟まってしまいましたが、入間航空祭のブルーインパルス演技、
何としても最終回にこぎつけたいと思います。

入間上空にはよく鳥が飛来します。
何年か前のブルーの演技がバードストライクで中止になったことがありましたが、
このときも三機編隊の飛行を目撃し、大丈夫かとちょっと心配になりました。

ちなみに、先日知ったところによると、中国空軍のある飛行基地は、
周辺にその鳥の天敵である猿を放逐して解消にこれ努めているそうです。

入間は対策してなさそうだなあ・・・。

さて、ブルーインパルスの演技、蒼空に見事にハートとそれを射抜く矢が描かれ、
会場の興奮はますます高まって来ました。

1、2、3番機で行うライン・アブレスト・ロール

アブレスト隊形で左から進入してくるフォーメーションです。
アブレスト、あるいはラインアブレストとは、2機以上の機が
横一列に並んだ編隊のことを言います。

フォーメーションというのは日本語で編隊ですが、そもそも編隊の定義とは

2機以上の機が、相互の位置関係を一定に保ったまま飛行すること

となっています。
日本語では編隊を組んで行動する航空部隊自体も「編隊」と称します。

4機以上の編隊を「フライト」といい、ブルーインパルスの隊長を
フライトリーダーと称するのはここから来ています。

ちなみに2機だけだとこれが「エレメント」となるそうです。

このラインアブレストロールや、ファンブレイクなどもそうですが、
エアショーのフライトはフォーメーションを組むとき見栄え重視で
必要以上に機体の間を狭くして密集形になります。

しかし実戦を想定したフライトではこんな飛び方は決してしません。
もし何か起こったとき、回避機動するだけのスペースが最低限必要なためで、
下手すると僚機との間が数マイル離れることも決して珍しくないそうです。

もちろん、こんな密集形で飛ぶ技量があってこその実戦なのですが。

ライン・アブレスト・ロールでは三機がまるでめざし状態、つまり
芯で連なっているように正確に隊形を維持したままバレルロールを行います。

バレルロールとは文字通り「バレル」(たる)の外側をなぞるような動きです。

続いてソロ機である5番機が行う360°&ループ
読んで字のごとく、360度水平飛行と宙返りです。

ちなみにこれは「さんびゃくろくじゅうどアンドループ」ではなく
「スリーハンドレッド・シクスディ・エンド・ループ」と読みます。

ループの後、急降下してもう一度ループ。
ターンとループは同じ位置で開始し、同じ位置で終了。
ターンもループも同じ大きさの円なので、つまり丸くリボンを描く
eをくっつけた状態)ような感じです。

続いては今ソロを行なった5番機以外の全機で行うワイド・トゥー・デルタ・ループ
ワイド、つまり広い状態からデルタの隊形に飛びながら移行していきます。

会場の後方から幅の広いデルタ隊形で進入してきて、ループを行ううちに
だんだんそのデルタを小さくしていくという素人目にも難しそうな技。

会場の正面で宙返りを行いますが、この時点でデルタは最小になっています。
収束されたスモークが彼らの航跡に美しく五線を描きます。

それに5番機が加わって、6機全部で変則デルタ隊形で進入して来ます。

デルタループは6機でデルタ隊形を保ったまま今度は横に回転する技です。

アナウンスによると、そもそもこの隊形を保ち続けること自体が
高い技術がないと行うことができないくらい難しいことみたいですね。

しかもこのデルタループでは、まるで一枚の薄い板のように陣形を崩さず、
きっちりと回転していくというマックスの難度が要求されるのです。

フォーメーションの位置を決定するのは1番機ですが、外側の僚機は
一ミリの狂いもなく難しい機動をそれぞれ駆使しながら1番機についていきます。

ここからクライマックスへと向かっていきます。

ここだけ写真を撮り損ねたのですが、スモークを出しながらた全機が、
スモークを切った瞬間、一斉に回転を行うボントンロールが行われました。

ボントンロールが終わった瞬間。
やっぱり「レディ〜ナウ!」が合図だったんでしょうか。

続いては上向き空中開花です。
会場後方からデルタ隊形で進入した5機は、会場正面で上昇を行います。

全機が上昇し真上を向いたところでいよいよ・・・

ブレイクが始まります。

5機がそれぞれの方向にスモークを描きながら飛び、空中に花を咲かせます。

この「上向き空中開花」という演技名、少し不思議に思われたことはありませんか?
花は普通上を向いて咲くものです。(一部を除く)


かつてブルー演技に「下向き空中開花」というフォーメーションが存在していました。

1982年、浜松基地で行われたエアショーで4番機がこの演技中に墜落、
パイロットが殉職すると共に周辺住民に12名もの負傷者を出す大事故が起き、
それ以来、演目から「下向き空中開花」は削除され実施されることはなくなりました。

現在、「レインフォール」が下向き空中開花の改善形として残されていますが、
明らかに「上向き」とつける必要のないこのフォーメーションを未だにこう呼ぶのは
「下向き空中開花」への鎮魂の意が込められているというのは考えすぎでしょうか。

五方向に散っていった機が遠くでターンして帰って来て、
また再び会場上空に集結し、スモークで星を描きます。

スタークロスです。

ただこれを描くだけならともかく、(それでも十分難しいと思いますが)
上向き空中開花のブレイクの後、遠方から集まって来てこれだけ正確に描けるとは。

5番機、6番機によるタッククロスです。

二機は揃って背面飛行に入り、その姿勢から旋回を開始します

ただいま旋回中。
やや機首をあげて、右か左いっぱいにエルロンを当てて横転する
マニューバ、エルロンロールを行なっています。

そんな近くで旋回したら危ないってば。

という警告の言葉に聞く耳持たず、5番機と6番機はこの後
機体が交差するように内側に切り返すクロスターンを行い、そのまま
左右に分かれて上昇していきます。

上昇が終わると同時にスモークを切り、ループを描いて下降、そして・・・

スモークオンの背面飛行で会場に帰って来て中央でクロス!

1、2、3、4番機によるローリング・コンバット・ピッチ

エシュロンという、右肩上がりの斜め隊形で進入して来た4機が、
上昇横転しながらブレイクします。

その後、4機でスモークによる半円をそれぞれが描いていきます。

1、2、3、4番機にとってはこれが最後の演目となります。
この後は解散し、着陸態勢に入っていきます。

最後のトリとなるのが、コークスクリュー
5番機と6番機のソロ機で行うブルーインパルスだけのオリジナルです。

背面飛行をする5番機の周りを6番機が螺旋を描きながら追いかけ、
まるでコークスクリューのような形を作るものなのですが・・・・。

この演目は、正面から見ていないとちょっとよくわからないことになります。

両機の機動はよくわかるのですが、「コークスクリュー」には見えないというか・・・。

もし今度コークスクリューを撮ることがあれば、飛行機を追いかけず、
スモークを含めた全体を狙うべきであるという教訓を得ました。

コークスクリューが終わった頃には1から4番機までが着陸態勢に入っています。
今滑走路の上にオンしている2番機と、帰ってくるブルーたちの整備のために
エプロンを行進してくるドルフィンキーパーズ。

ドルフィンキーパーは全自衛隊の中でももっとも派手な?
ハレを味わえるメカニック軍団であることは間違いありません。

1番機無事着陸。

続いて2番機。
この時にすぐ会場を離脱していればあれほどの混雑に巻き込まれなかったかも・・。

この日はブルーインパルスは帰投しないというアナウンスが行われました。
告知しないと、帰投シーンを見るために待ち続ける人がいるからに違いありません。

空中であんなに華やかに、激しく機動を繰り返した6機が、
しずしずといった感じで
駐機場に戻っていくのを見るのもいとおかし。

6機が全てエプロンに機首を並べ、キャノピーを開けたところを見届けて、
わたしは会場を離脱しました。

ちなみに、入間市駅付近の駐車場から出た途端激しい渋滞に巻き込まれ、
家に着いたのは夕方6時半でした。
ブルーインパルスの演技が終了したのは2時過ぎです(笑)

ちなみにこの日航空自衛隊からいただいた記念品はフリースのひざ掛けでした。
「IRUMA AIR BASE」と白で刺繍されたそれは、今現在もわたしの膝にあって
この冬のお役立ちとなってくれることと思われます。
音楽まつりの車の中の仮眠にも大変重宝いたしました。

招待券を手配くださった方、航空自衛隊の皆様、ありがとうございました。
また来年もいくぞー!(えっ)

 

入間航空祭シリーズ終わり