Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

ある女の存在証明

2013年03月19日 | 1980年代 欧州

ある女の存在証明(原題:dentificazione di una donna )

1986年 イタリア=フランス
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
製作:ジョルジョ・ノーチェラ
脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ、トニーノ・グエッラ、ジェラール・ブラッシュ
出演:トーマス・ミリアン、ダニエル・シルヴェリオ、 クリスティーヌ・ボワッソン、ララ・ウェンデル、マルセル・ボズフィ

映画監督であるニコロを主人公に、マーヴィとの出会いと別れ、イーダとのつかの間の恋を描く。
屋外でのシーンは美しく幻想的に映し出され、家の中のシーンでは一挙一動をつぶさに、またベットシーンは濃密に描かれている。
この悩める監督は、アントニオーニ自身か。

男は、鞄を手に旅行から自宅へ帰ってきた。
しかし、防犯警報解除のキーを持っていなかったため、警報が鳴り始める。
出ていった妻は、警報装置を残していったのだ。

彼女の名はマーヴィ。
もともと医師である姉の患者であったが、深くつきあうようになった。
マーヴィとつきあっていることによって、見知らぬ男から忠告を受けたり、跡をつけられたりする。
2人の中で、少しずつすれ違いが起きていく中、彼女は旅先で深い霧に紛れ去っていってしまう。

マーヴィへの未練を持ちながらも、男はイーダという女性と頻繁に会うようになる。
イーダと愛し合うようになり、結婚を決意するも、イーダは彼と出会う前につきあっていた男との間に
できた赤ちゃんを妊娠していた・・・。

そうして、男はまた自分の世界へと旅立っていく。
きっと帰ってきたら、警報装置が鳴り出し、以前の女を思い出しながらも
また次の女と恋をするのだろう。

問わず語らず、男は旅を続ける。この映画は、彼の夢想であり、半生でもある。
愛の不毛を描き続けた監督が、辿る愛の迷路。
ある女の・・・というより、むしろ「ある男の存在証明」ではないかと、
女の私からしたら、思ってしまう。

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