社会的に考える

現実は1つでも、それをどんな風にとらえるか…は、十人十色。人は考え方は異なるものです。個々人の生活のベースは、あくまで個々人の中にあります。社会生活の一翼を担っていても、元を正せばただの1個人ですから、全ての考えの原点は個人的な感情の中にあるのかも知れません。

けれど、その個人が複数、肩を寄せ合っているのが社会です。家庭を含め、様々な形の社会があります。少なくとも誰かと歩調を合わせて歩んでいる時には、個人的感情以外の社会的な側面と言うものが必ず生まれるように思います。その社会的な側面すら、個人の感情で一刀両断してしまうのが、現代の風潮なのかも知れません。

昔の日本には「個人」という考え方は、心の底に押し殺しておかねばならないようなところがありました。本当はそうは思ってはいないのに、大きな圧力とやらの前では思っている素振りをしなければならないことが山とありました。本当は望んでもいないことを、もっと大きな何かの為に、押し殺して生きなければならない時代はあったのです。それが理想の社会でないことは誰が考えてもそうなのですが、それを180度ひっくり返したような社会もそれはそれで理想とは思えません。

個人の感情で全てを推し進めようとすると、複数の人間が寄っている場所では、感情が1つにまとまることなど簡単ではありません。てんでバラバラな発言を皆がしていても、まとまるはずもありませんから、何一つ建設的な歩みをすることが出来ずに社会が停滞します。カリスマ的なリーダーが出現して、半ば強引に理想郷に導いてくれるのを待つか、一人ずつがほんの少し個人の感情を抑えて、社会として機能するには…に思いを至らせるかのどちらかしか解決はないでしょう。

ただし、個々人が口々に感情的なことを口走る中、どうやって事態を収拾し、社会的な側面に目を向けていくような歩みに変えるかは、現実問題としてかなり難題だったりします。正論で圧してしまうことは根本的な解決にはなりません。それは心のどこかに一時的に何かを封じ込めるに過ぎないからですが、ではどうやって心の底の何かに語りかければよいか？となると、これまた答がありません。他人の言っていることを、頭の表層部だけでなく、心の中にドシンと受け止めてものを考える…ということをおろそかにしてしまった社会を取り戻せないものでしょうか。




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