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タイムスリップした時代劇!~京都映画祭だより『続清水港』('40)

冒頭、チャンバラシーン。
竹薮の中、森の石松が追い込まれ…、
と思いきや、「だめだめだめ」と大きな怒鳴り声。
なんと、スーツ姿の片岡千恵蔵が髪振り乱して登場。
なんと現代劇?
演出家の千恵蔵が舞台「森の石松」の稽古中というわけ。
あまりの役者たちの大根ぶりに
ふて寝した千恵蔵が、目を覚ますと
自分自身が森の石松になっていて、
時代劇にタイムスリップという
奇想天外なお話。
これが、とってもおもしろい。

史実どおりなら、石松は、金毘羅代参からの帰途
幼なじみの七五郎の家に寄った帰り、
待ち伏せにあって最期を遂げることになっている。
その筋書きを知っている千恵蔵が
いかに、史実に逆らうか・・・。

千恵蔵のうろたえぶりと
少しずつ江戸時代になじんでいく姿、
許婚の轟夕起子がそんな千恵蔵を
どう想い、どう支えるか、
みごたえがある。

轟のけなげさが胸に迫り、
やっぱり可愛くてお茶目。

志村喬演じる七五郎がとにかくおもしろい。
勢いがあって、流暢な関西弁は、ほんまもん。
貧乏の底で、着物を質に入れた酒代で
石松たちを客としてもてなそうとする。
そのさらし姿と、掛け合いは抱腹絶倒。

1940年の作品。
この時代に、こんなSFのようなタイムスリップものを
脚本家の小国英雄(「七人の侍」ほか)と
マキノ監督が考え、作品に結晶させたわけで、
そのアイデア力は凄いというしかない。

6歳の長門裕之が登場しており、
60年以上前とはいえ、面影があって、驚き。
人間、年をとっても、
案外、顔つきは変わらないものらしいです。
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