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No1063コメディ学入門第3講~三ばか大将の繰り出すナンセンスな笑いに抱腹絶倒~

神戸映画資料館での、
クラシック喜劇マニアで作家のいいをじゅんこさんによる講座の第3弾。
今回は、スラップスティックの極北、3ばか大将。
1930年代から30年間にわたり、190本のドタバタ短編喜劇を世に出したアメリカのお笑いトリオ。
モー、ラリー、カーリーの3人。

3ばか大将、率直におもしろかった。
You Tubeでも観れるのは、
『Curlys Oyster Stew』

これは、すごい傑作なので、ぜひ5分ほどですし、ご覧ください。
牡蠣のスープを
太っちょのカーリーが、店で頼むが、
「新鮮」な牡蠣はありがたいとしても、
ここまで「新鮮」だと、いささか扱いかねて、とち狂ってしまう。
ほんとに楽しい、何度観ても、ひとりで大笑いしてしまうおもしろさです。

出てきた瓶ビールの栓を抜くと、
なぜか瓶から湯気が出ていて、
一口飲んでは、カーリーは、口から湯気をだし、
無意味に、椅子をくるくると回転させる。(カウンターの丸い回転イス)
このわけのわからない動きと表情が、なんとも動物的で笑える。

“新鮮すぎる牡蠣”というのは、実は生きていて、
スープにクルトンをかけると、自ら次々に食べてしまう。
カウンターに、食べ物として出されたはずの皿に、
生きた牡蠣、貝が出てくるところが、まさに笑いのツボ。

食べ物のはずの貝を相手に、食卓で、戦いが繰り広げられることになる。
カーリーは、言葉でなく、ほとんど動物的に
キッキッとか、ウーウーと唸ったり、
まさに、動物同士の戦い。
そうして、知恵を絞ったスパイス攻撃となり、
しまいは、飛び道具まで飛び出す、とんでもなさ。
このナンセンスに、ただもう抱腹絶倒。

『Punch Drunks』 Part I
バイオリンを弾く音楽家のラリーが
窓辺でバイオリンを弾いている。
窓から突き出した弓を、手前に引いたところ、
なんと、その弓に小鳥がのっていて、鳴いている!!
このシーンに、思わず爆笑してしまった。
まさに、子どもが思いつきそうなギャグだけれど、
バイオリンの音=小鳥の鳴き声、というのを、
こうまで見事に映像として差し出されると、
そのタイミングのうまさ、動きに、笑うしかなかった。

これは、レストランで給仕をしていたカーリーが
ある曲を聴くと、いきなり強くなって、次々と強烈パンチを繰り出し、
相手を倒してしまうお話。『PART2』
このことに気付いたモーが、
カーリーをスカウトして、見事、連戦連勝。
・・ストラディバリウスというリングネームで
リングサイドでは、いつもラリーがバイオリンで例の曲を弾いており、
ついに決勝戦へというお話。
カーリーが、曲を聴くと、いきなりゴリラのように、
ホッホッと言いながら、顔を何度もこすって、という身振りが楽しい。

カーリー・ハワードは、本当に動物的で、単純にそのアクションが楽しく、
観ている私たちを、別世界へと連れ出してくれる。

『A Plumbing we will go』では、
警察官から追われていた3人が、隠れるために、
大邸宅の執事に、配管工事屋と間違われたのを、いいことに、
地下室へ案内されて、入っていく。
配管の知識もない彼らに、まともな修理ができるわけもなく、
水道菅からもれていた管を、途中ではずしたり、つなげたりしていくうちに、
電気の管から水が出てきたり。
テレビで、ナイアガラの滝を映していたら、
いきなり、画面がこわれて、水があふれだしたりというおもしろさ。

傑作なのは、風呂場で、水道管に穴ができて、水があふれてくるのを止めるため、
太っちょのカーリーが、その穴に、持っていた管をつなぐ。
しかし、つないだだけでは、水は止まるわけもなく、
つないだ管の先っちょからあふれるだけ。
なのに、カーリーは、次々と、管をつないでいって、
しまいには、まるでジャングルジムのように、自分の周りを管でつなぎまくって、
そのつなぎにつないだ管の先から、やっぱり水があふれてるというオチ。
この無意味さ、ナンセンスさが、
なんともたまらず、傑作で、ただもう無邪気に笑ってしまった。

いいをじゅんこさんは、
そんな3ばか大将たちの、貴重な映像を次々と紹介してくれながら、
モーは、3人のリーダー格で、2人を小突き回す役ぶりだけれど、
実は、自分が一番痛い目にあっていることも多いとか、
効果音のおもしろさ、
3人は、やたら殴ったり、頭をたたいたりというのが多いが、
カーリーやラリーの頭は何でできているのか、カキンとか、カーンといった
金属音がして、その効果音が楽しく、痛いふうにはみえないとか、
ラリーが3人の中では、地味な役どころだが、お笑いコンビにこういう存在は不可欠と
楽しい解説をしてくださった。
3人の団結心も魅力で、モーとカーリーは本当の兄弟だそうだ。

3ばか大将の活躍ぶりは、とても魅力的で、
ぜひ、その後の彼らの姿も紹介してほしいと心から思う楽しさだった。

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