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No1034『夜までドライブ』~アイダ・ルピノの狂いぶり~

タイトルがすてきで、ちょっと観てみたいなと
中崎町のプラネットに足を向けた。

ラオール・ウォルシュ監督、1940年の作品。
前半は、長距離トラックの運転をする
ちょっとばかり荒くれの兄弟のお話。
ジョージ・ラフトとハンフリー・ボガート。
運転の休憩で酔ったドライブインで、
働き始めたばかりのアン・シェリダンに出会う。
あんたの口に合うおいしいものが、この店にあると思う?とか、
辛口のジョークで、いきなりぽんぽんと早口で掛け合う
テンポのよさ。

運転手の仲間どうし、結束がよくて、
貸金屋の男が、取りたてに来たら、皆で口裏あわせて
追い出してしまうところがいい。

原題は『They Drive By Night』で、
ドライブというよりは、
低賃金で、会社にこきつかわれる、長距離運転手が
睡魔に襲われながらも、
夜も寝ずに運転して走り続ける。
あまりの過酷さに耐えかねて、兄弟も独立をはかる。
何度も派手にトラックが横転して、リンゴやナシを積んだ箱がひっくりかえる。
成功するかと思った矢先の展開が意外。

後半は、一転して、
アイダ・ルピノが主役のサスペンス劇となる。
ルピノの狂いぶりがいい。
会社社長の夫がいる身で、ジョージに惚れてしまうが、
ジョージは、アンに惚れこんでいて、見向きもしない。
ジョージのつれない仕打ちにも、ルピノはへこたれず、
夫を事故死にみせかけて殺してしまう。
この迷いながらの出来心というあたりの表情がいい。

しかし、ジョージがアンと結婚すると聞いて、怒り心頭。
その後、自動ドアの赤外線にやたら反応したり、
狂気にとらわれる姿がリアルで見入ってしまった。

それにしても、
ちょっとタイトルからイメージするものと、内容とはまるで違ったけれど、
このタイトルはタイトルで、ちょっといい感じ。 
「夜まで」って、なんとなく曖昧な感じで、どこまでも、というイメージがする。

新年会で飲みすぎの翌日、
ジャ・ジャンクーの長編はちときついと、中国映画の予定を変更して、
プラネットの「40年代フィルムノワール」を観に行った。
本作は、特に混んでいて、満席に近いほどの混雑ぶりにびっくり。
アクションもので目がさえて、計画変更は正解だとほっとした。
寝ずにちゃんと映画を観れることほど、うれしいことはないと実感。
って、当たり前のことですが…。

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