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No1032『キャリー』~おびえる少女~

映画の帰り道、ビルの谷間で、
冷たい雨だけでなく、いきなり強い風が吹きつけてきて、
自転車に乗りながら傘をさしていて、
あやうく、傘も帽子とも飛ばされそうになり、焦った。
キャリーの念力も、きっとこんなふうに
あらがいようのない力として、襲ってきてたのかしら、なんて考えた。

冒頭の、女子更衣室のシーンから、女の子たちの身体がまぶしかったが、
キャリーのシャワーのシーンに少しびっくり。
というのも、1977年の日本での公開当時、まだこどもだったけれど、
『エクソシスト』や『オーメン』の延長で、
学校の友達が観に行っていたような気がするので、
こどもには、ちと、大人の色気がまぶしい作品だったのではと、
30年以上経った今、思ったりした。

身体を洗う石鹸がころがっていくのが怖かった。
ラストにもう一度、石鹸が出てくるので、
ひょっとして、お風呂の風呂桶から、何かとびだしてきたらどうしようと身構えたが、
大丈夫だった。

最後に何かあると、友達に教えられて、心の準備はしていたものの、
いきなりお墓からぬっと出てくるのには、ぎょっとした。
でも、出てくるべきところから出てきたわけで、
日本のホラー映画のように、
布団の中をのぞいたら、何か出てくるよりは、ましに思えた。

にしても、血だらけのキャリーは怖い。
それ以上に、怖いのは、キャリーの母親。
まるで、眠りの森の美女に出てくる魔女のようにミシンを踏んでいたり、(このミシンに、ホワイトと名前があった)
白雪姫の母親のようにもみえた。
最後死んでしまって、はじめて、今までで一番優しい微笑をしていた。

キャリー役のシシー・スペイセクが、
髪をカールにして、紅をぬったら、とてもきれいになって、笑った顔がきれいだった。
薄い眉が印象的で、腕につけた花束がすてき。
ナイフがとんでいくシーンは、どうやって撮ったのかなとふと思いつつ、
連休の打ち止めには、ちときつかったかな、という感じ。
午前十時の映画祭の1本。


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