goo

No181「チキン・リトル」マーク・ディンダル監督

~宇宙戦争まで起きるわりには、平板な展開~
 
がんばっても裏目に出て、周りを騒がせるだけ。
失敗続きで、父の信用をすっかり失ってしまった主人公のチキン・リトル。
それでも、優しい心を失わないリトルが、仲間のために勇気をふりしぼり、
最後には、父の信頼を勝ち取り、街のヒーローとなる。

しかし、冒頭から話がみえすぎていて、予定調和のような展開がおもしろくない。
宇宙戦争のような大仕掛けのわりには、物語自体は平板。
主題となる父と子の関係が単純すぎて、深みがない。

一番の原因は、リトルの父親バック・クラックに魅力がないためだろう。
亡き妻の写真に子育ての悩みを打ち明けている姿をみても、どうもうわべだけにみえる。
子どもの成功は親の喜び、は自然なことで、
失敗が続けば信用できなくなり、子供の個性を抑えてしまうというのも、ありがちなこと。
それでも、最後に、宇宙人との戦いの場面で、街中の人がリトルのことを信じない中、
息子を信じ、助けるところが、本来なら、クライマックスとして、盛り上がるはずなのに、さらりと流れてしまった。
リトルが、運良く野球で活躍してしまったのも、精彩を欠いた一因。

リトルもディズニー史上最もついていない主人公といいつつ、
リトルの大失敗が新聞にのり、映画にもなり、と大騒ぎしているわりには、悲壮感も伝わらず、エピソードが大げさな分だけ、実感に欠けてしまった。

ヘルメットをかぶった魚のフィッシュやおしゃまなアヒルのアビー、
怖がりの太っちょ豚のラントと、かわいいキャラクターも登場するが、
いまひとつ個性が足りない。
いじめっ子、いじめられっ子のチームに分かれて、ドッジボールをするという発想自体、
疑問を感じたし、どうも型にはまった描き方に思えた。

脚本には、いろいろ不満があったが、
空のかけらが落ちてくるエピソードには、
「トゥルーマン・ショー」の冒頭、空からライトが落ちてくるシーンを思い出し、
まっさおな空が、いきなりめきめきと音をたてて割れていき、円盤が現われるというのも
おもしろいと思っていたら、
「インデペンデンス・デイ」にあった、と友人に教えられた。
宇宙人は「マーズ・アタック」の火星人みたいだし、
ハリウッド映画を知っていれば、もっと楽しめたと思う。

しかし、ディズニーには、宇宙戦争などと奇をてらわず、
原点に戻って、夢のある世界を描いてほしい。

満足度 ★1/2(星5個で満点)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« No180「愛より... No182「疾走」... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。