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No1421『希望の灯り』~スーパーで働く労働者一人ひとりの孤独な日常に寄り添う~

とっても映画らしい映画。
こういう映画が、私は好きです。

冒頭、誰もいない巨大スーパーマーケットの店内(倉庫)から始まる。
無人の店内。
無機質な空間。
やがて、フォークリフトが静かなエンジン音をあげながら、行き交う。

主人公の青年が、在庫管理係として、働き始めるが、
彼は、とても無口。
入れ墨があることは示されるが、
彼の過去については何も説明しない。

青年を指導しながら、一緒に働くブルーノという
50歳代のおっちゃんがいい。

青年が、隣の菓子売り場の女性に一目惚れする。
彼が、力仕事の多い、地味な仕事を続けられたのも、
彼女の存在が大きかっただろう。
恋の力はすごい。

でも、彼女は結婚していた。
ブルーノは、青年にそのことをさりげなく告げる。
でも、人妻だからあきらめろとは言わない。
仕方ないなあと言う。
この感じがいい。
人と人との距離感が、遠いようにみえて、
でも、優しさが根底にあって、
そっと見守るような感じが、しんみりと伝わっていい。

トイレで一緒に煙草を吸って休憩したり、
スーパーで働くほかの人たちの姿もいい。

職員休憩室の自動販売機のコーヒーを飲む姿が、
なんだか、とても共感できて、心にしみる。

深夜に働いて、深夜バスで帰っていく青年。
バスの運転手まで一人ひとりに寄り添うような
つつましやかなカメラが心に残る。

最後のエピソードもいい。
いつまでも心の中に大切にとっておきたいような映画。

英題は「In the Aisles」。
邦題「希望の灯り」は、まさに、この映画を心の灯りとして、
とっておきたいような気持ちを伝えていて、うまい。
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