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No561『美と芸術の上海アニメーション』~お母さんを探して~

『おたまじゃくしが母さんを探す』という1962年の水墨画アニメを観た。
とある池の中。
卵から孵ったばかりの十匹以上のおたまじゃくしが群れをなして
母さんを探す旅に出る。

きっかけは、最初に出会った仲良しのひよこたちが、
母鶏に甘える姿をみたこと。
おたまじゃくしたちは
「僕たちの」母さんを探しに出かけるのだ。

女性の声で日本語のセリフがつけられていて、
同じ人が何役もこなしている。

えびやら、かにやら、金魚やら、亀やら、出会った者に
「母さん、母さん、大好きな母さん」と勘違いしては、何度も
群がってくっついていく。
このおたまじゃくしの動きが、
声の感じと合っていて、すごくかわいらしい。
単に黒い●にしっぽがついて、ちょろちょろ動いているだけなのだけど
しっぽも可愛いく、設定と動きがマッチしていて、
楽しくて、心ひかれる。

水中で出会うのは、えびの老夫婦だとか、蟹やら、昼寝中のなまずやら
どれも水墨画で、淡い感じと、
水中に浮かんでいるひょろろんとした動きとが
すてきだった。

水中で出会うたびに、
「おまえたちの母さんはお腹が白い」とか、
4本足とか、いろいろヒントを教えてもらうのが楽しい。

蛙とおたまじゃくしは無事会えるのだけれど
会ってからも
「どうして母さんと僕たちはこんなに違う形なの?」と聞いたり
すごく素朴。

母蛙も、一生懸命子どもたちを探していて、
水草にからまったところを、蟹にはさみで切ってもらったり、
ほんわかした感じで、
後ろ足を蹴ってピョーンと泳いでいく感じが美しい。

これが、1962年の16分の中国アニメで、
今回私が観た中では一番好きな作品でした。

ほかには『三人の和尚』(1980年セルアニメ)。
山の上のお寺でお坊さんが修行するのだが、
一人増え、また一人増えで、
結局、赤、青、黄色と着物の色もさまざま、
体格も中ぐらい、やせ、太っちょさんと
異なる三人のお坊さんが、一緒に修行することになる。

山を降りて水汲みするのが大変で、
互いにおしつけあったりするのが、妙にリアルでユーモラスで
子どもでも描けそうな単純な線描の絵なのだけど
おもしろかった。

この日曜日に観たプログラムAに手ごたえを感じ、
期待を込めて今日プログラムCを観にいった。

しかし、
「最高傑作」とちらしに書かれた『牧笛』で
眠さの極地に至ってしまい、全然味わえず、残念無念。

『胡蝶の泉』(1983年セルアニメ)は若い男女の悲恋物語。
少女が、髪につけた赤い花をすごく大切にしていたり、
少女も青年も、子鹿や小鳥や森の動物を大切にしている様子が
とても印象的で、心に残った。
シンプルな線で描かれているが、瞳の色にも微妙にかげがついていたりして
絵もなんだか情緒があり、
セリフのないサイレント映画ゆえの余韻が残った。
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