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アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

杵臼からの盗骨の「研究資料」化の調査

2012-02-24 20:52:07 | インポート
児玉作左衛門の著書『アイヌ』(英語で書かれている 『Ainu』 1970年)に、児玉が日高地方のアイヌ人骨を発掘したことが以下のように記されています。

「日高地方のアイヌ頭蓋骨は、一つの墓からではなく、いろいろな村から発掘された。そのうちいくつかは1920-1930年に埋葬されたかなり最近のものだが、大半はおよそ1870-1910年に埋葬された。(中略)著者は努力したが、この地方全体で35(男22、女13)の頭蓋骨しか集められなかった。これらは解剖学教室の大場利夫が計測した。最近、解剖学教室の松野正彦が日高地方中部の静内で132の遺骨を発掘した。」
(Sakuzaemon Kodama, Ainu; Historical and Anthropological Studies, Hokkaido University School of Medicine, 1970, pp164-5.) 植木訳


ここにある大場利夫について調べました。するとUさんから、北海道大学文学部附属北方文化研究施設『北方文化研究』第7号(1974年3月)に、大場利夫著の「日高アイヌ頭蓋の人類学的研究」があると情報を頂き、道立図書館で確認してきました。
大場が「研究資料」に用いたのが「日高アイヌの頭骨37ヶ」とあり、論文に添付されている表(P.67)と『アイヌ民族人体骨発掘台帳』(医学部解剖学第二講座 作成年不明)のリストは同じものです。大場は細かく、頭骨を計測して公表しています。この情報は、倫理的に問題はないのでしょうか。遺骨はご遺体の一部なのですから個人情報(カルテ)と言ってもいいのでは? すると、守秘義務違反となりますね。当時の法律も調べつつ、確認して行こうと思います。
解剖学教室の「松野」さんについても確認します。

さらに、杵臼から盗掘されたご遺体を研究材料としている論文を見つけました。
『北海道先住民族のAcromioglenoidale Breite(Hasebe)について』 松野正彦 
北大解剖研究報告1955年9月 第8号


これからも城野口さん、小川さんらの先祖の遺骨がどのように無断で用いられたかを調べていこうと思います。
いつか北大側が責任をもって、これらの情報をアイヌ民族に公開することを望みます。


前回blogで、アイヌ民族のコタンは、アメリカでのトライブと言えるのではとの疑問には、まだまだクリアしなければならないこともあるようです。法律の専門家から学びながら、より深めていこうと思います。

新たなアイヌ民族関連の映画の紹介を頂きました。以下、頂いた情報を添付します。

~カムイと生きる~上映について
自然と人間の共存を考えるドキュメンタリー映画「カムイと生きる」の先行上映が、3月3日から9日まで浦河町の映画館大黒座で行われる。
初日の3日は、午後3時からの上映後と同7時の上映前に、主演の浦河町姉茶出身の浦川治造さんとナレーターを務めた浦川さんの甥で俳優の宇梶剛士さんが舞台あいさつする。
 映画は、仲間たちが語る浦川治造の横顔と自然との対話によって彩られる日々を綴っている。
北海道の雄大な自然とそこに展開する幻想的なアイヌの唄と古式舞踊による映像日、伝統と文化を語り継ぐ、アイヌ語の厳かな響きを収めた。
問い合わせは大黒座(TEL0146・22・2149)へ。


暑寒別岳をのぞむ。留萌の今冬は全道で積雪量2位。まだ荒れていますし寒いです。今夜は-16度を超えるでしょう。


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