アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

「止まらないウラン鉱山開発」

2011-12-31 13:31:44 | インポート
原発と世界の先住民族への抑圧の関連について、資料がないかアンテナを張っています。
過去blog 9/15 (http://pub.ne.jp/ORORON/?entry_id=3892029)でも触れましたが、今回、「先住民族の10年News」第180号掲載の、「北米先住民族と核(3) 止まらないウラン鉱山開発」(玉山ともよさん)でも扱われていました。

1979年7月16日、アメリカの先住民族のナヴァホネーションが近隣に住むチャーチロック地区でウラン精錬所より排出される廃液をためていたダムが決壊し、約9400万ガロン(3億5532万リットル)の低レベル放射能性物質を含む廃液が、約80キロにわたってプエルトルコ川に流出するという事故が発生。人類史上チェルノブイリに次ぐ世界2番目の大規模放射能漏れ災害。
当時、半砂漠地帯の乾燥した地域に川が出来たことを不思議に思ったナヴァホの人々は喜び、汚染水とは知らずに直接川に入り、家畜に飲ませ、その肉を食べて体内に放射能と重金属を蓄積してきた。
それらが放射性廃棄物と知ったときには手の施しようがなく、その後、30年以上、いのちを脅かし続けていた。都市から離れていたことと住民が先住民族であることから加害者である会社も政府も放置したままだった、と。
なんということでしょう・・・

このあたりを調べていると、全日本民医連のHPに写真家の森住卓さんが「放置された放射能被害ーアメリカのウラン鉱山開発に日本企業が出資」という文・写真を見つけました。
先の事故を起こしたユナイテッド・ニュークリアー社のウラン精錬工場(チャーチロック)に、その地に住むナヴァホの人々が雇われ、その労働者の肺がん罹患率(病気にかかる率)は、ナヴァホネーション平均の二八倍、子どもの骨がん罹患率も全国平均の五倍にもなっている、と。
先の事故の後、近隣のナヴァホネーション1700人が被害にあったということも。
http://www.min-iren.gr.jp/syuppan/genki/2011/233/233-06.html

チャーチロック「事故」が起きた辺りには、古くから複数の鉱山会社が採掘を手がけ、次々と会社の譲渡や売買がなされて、その後の責任も負わず、環境修復措置もほったらかしのままとのこと。さらに、新たな再開発プロジェクトが提起されている、と。
そのプロジェクトにはISL工法という大量の地下水を汲み上げて、それに酸またはアルカリを加えて再注入し、その水にウランを溶かして回収する採掘方法が計画されており、貴重な地下水の浪費とウラン汚染の危険をはらんでいると指摘されています。
問題を複雑にさせているのは、このプロジェクトがナヴァホ民族の保留地のわずかな外ということで、2005年にナヴァホネーションが制定した保留地内におけるすべてのウラン関連操業禁止法には触れないという意見がわずかながら有利となっているそうです。

そんな中、2010年7月28日、国連総会で「きれいな水と衛生にアクセスすることは人権である」と認める宣言が圧倒的多数で採択。水は人権として保障されるべきものとなったことも紹介されていました。
水はなくてはならぬものですし、汚染された水による被害はあってはならないということは常識です。上記の宣言が力となって問題解決の道が開かれることを願います。



恒例のクリスマスの教会前の飾り。今年はトトロを作ってみました。が、巨大ねずみとこどもたちから笑われています。

今日で2011年も終わります。思えば台湾原住民族の8民族20名近くとにぎやかに昨年の大晦日を過ごし、新年を迎えて、その後もいろいろなことがあった一年でした。多くの方にお世話になりました。感謝いたします。
また、活動日誌を読んでくださりありがとうございました。新年もどうぞよろしくお願いいたします。

明日は、元日礼拝と、その後は希望につなぐ望年会を行います。
被災地のことを特に覚えて祈ります。


最新の画像もっと見る