アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

アイヌ民族党

2012-01-10 09:25:37 | インポート
2010年3月末から5月末にかけて、国会議員722人に対し、「先住民族政策を改善・拡充するための国会議員アンケート」を先住民族の10年市民連絡会が行っています(先住民族の10年News第167号)。
議員722人中の内、有効回答はたったの21人(2.9%)。その政党別内訳は民主党11人、社会民主党1人、自由民主党3人、公明党1人、日本共産党1人、新党日本1人、みんなの党1人、無所属1人。
回答者全員が「先住民族の権利についてもっと知りたい」と回答しているようですが、国会や政府の公的な政策に関して「知っている」と答えなかった議員がいるのは驚き。
「アイヌ政策推進会議設置」に関して「知っている」と答えたのが71%。ということは、「知らない」と答えたのが29%(6人?)もいたということですね。「北海道旧土人保護法」を知らなかったと答えたのは16%(3人)、国会決議は24%(5人)。もちろん「知らない」と回答しにくかったかも知れないので正しいことは不明。
分析者の上村英明さん(市民外交センター)は、「アイヌ民族の権利を含む先住民族の権利を、あるいは人権という視点からのこの権利をきちんと追いかけている議員が心もとない」と感想をもらしておられます。

国連先住民族権利宣言採択直後の第168回(臨時)~170回国会衆参議院質疑では、新党大地の鈴木宗男さんがしつこく何度も質問をしました。http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm (これを皮切りに多数)
その他、共産党の紙智子さん、http://www.kami-tomoko.jp/sitsumon/168/071109.htm
民主の逢坂誠二さん、http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm
社民の福島みずほさん、http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/168/syuh/s168105.htm
以上、わたしが確認できた質疑ですが、その後、第177回で民族の権利としての捕鯨に関する質問「政府によるアイヌ民族政策に関する質問」(浅野貴博) http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htmひとつを見つけました。しかし、他は全く見当たりません(見逃しているかもしれません)。

アイヌ政策推進会議の審議も含め、多くの疑問や批判が出る中、国会では波風立たぬ静けさであることに疑問を感じます。

「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」はその後、どのような活動をしているのか少し調べると、浅野貴博衆議院議員のblogに2011年6月16日に総会を開催とありました。取り上げられた課題は、主に①昨年12月に場所として北海道白老町が内定した、「民族共生の象徴となる空間」の早期建設②道外アイヌの方々の生活実態調査を踏まえた政策の展開 とのこと。
さらに、相原久美子参議員議員のblogに同年11月30日に議員の会が開催されたことが記載されていました。内閣官房アイヌ総合政策室から「平成24年度予算要求についての説明」と「アイヌ人骨に関する調査についての説明」を受けた、と。どうも、アイヌ政策推進会議の審議をそのまま認めているようです。

一方、アイヌ民族自らが直接、アイヌ民族の権利を推進しようと「アイヌ民族党」を結成したことは、すでにニュースで話題になっています。
報道blog参照(http://blog.goo.ne.jp/ivelove/s/%A5%A2%A5%A4%A5%CC%CC%B1%C2%B2%C5%DE)
同党の準備webサイトも立ち上がっています。http://www.ainu-org.jp/

<基本政策>は以下の通り。
1.アイヌ民族の権利回復と教育・福祉の充実
「先住民族の権利に関する国連宣言」の法制化
言語権、土地権、資源利用権、自治権、教育権の保障
「アイヌ民族庁」の設置、公的代表機関の設置、特別審議会設置
幼稚園から大学までのアイヌ民族教育機関の設置
アイヌ民族の歴史と文化に関する理解を広めるための教育の実施
アイヌ民族固有の課題に対応する福祉政策の展開
2.多文化・多民族共生社会の実現
学校におけるバイリンガル教育・多文化教育の実施
地域における日本語教育の充実
外国人学校・民族学校の制度化
永住外国人への地方参政権付与
3.自然との共生を基盤とする持続可能な社会の実現
再生可能エネルギーの利用促進と脱原発
農林水産業の再生と自然保護


来る1月21日(土)13時、江別市民会館大ホールにて結党大会を諸国の先住民族を来賓に迎えて行うとのこと。

国が自らの責任としてアイヌ民族の多様な訴えを丁寧に傾聴し、奪われてきた権利を回復するための政策を一日も早く実現することを望みます。


暑寒岳の朝焼け
寒い日が続きます。みなさん御自愛下さい。
年末・年始と来客あわせて10人でにぎやかに過ごしたものの、
咳風邪を患い、ダウンしていました。


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