アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

アイヌ新時代~若者たちと語り合う、民族の現在と未来~ 第一夜

2010-06-03 15:08:22 | インポート
6月に入りましたね。留萌は冷たい雨が一日おきに降っています。
1日(火)は教区関連の仕事を終えて、さっぽろ自由学校「遊」 2010年度前期講座に行って来ました。
テーマは「アイヌ新時代~若者たちと語り合う、民族の現在と未来~」。
お話は旭川市在住で旭川チカップニアイヌ民族文化保存会所属の八谷麻衣さん、1982年生まれ。(“遊”の案内にお年も書かれていますので・・・)。コーディネーターの原田公久枝さんと小泉雅弘さんが質問をし、それに八谷さんが答えるかたちで行われました。今回もたくさんのことが語られましたが伺った一部を紹介させて戴きます。

八谷さんとは旭川ではよくお会いしていますが今回のようなお話を伺えたのはとてもよかったです。
彼女はマレウレウ(女性4名によるユニット)のメンバーの中でも目立たず、静かな方と言う印象を持っていました。お姉さまたちが目立っていたと言いましょうか・・・。ところが、今回のお話から芯がしっかりしていてどっしりと落ち着いた方だと分かり、感心しました。

かつて川村カ子トアイヌ記念館にはウェブページが作られていて、その中に記念館秘蔵写真のページがありました。全ページを印刷して持っていますが、歴代館長やご家族の写真などもよく見て記憶していました。なんと今回、八谷さんの家系からよく覚えているお名前ばかりが出てきたのです。門野ハウトムティさん、門野トサさん、門野ナンケアイヌさん、門野ハルコロさん、川村カ子トさんなどなど・・・
ご自身はアイヌとして生まれ、アイヌとして生きていると言っておられました。

小学校の時は熱心な教師がおり、八谷さんが踊りでニュースに出ているものなどをビデオに撮って教室で紹介したりと、開けっぴろげに言ってくれていたので差別らしき差別はなかったとのこと。中学校時は「アイヌは学校に来るな」とあからさまに言われもしたが、父親から「アイヌとは『人間』という意味だ」と教えられていたので、『人間』に学校に来るなというその人は『人間』じゃないんだと思っていたと。
こどもの差別は無知から来るのだから説明をしたらいい。おとなはある程度知っていて、しかも価値観を押し付けてくるのでいま苦労していると。

おじいちゃんやおばあちゃんたちが使っていたアイヌ語(旭川方言)がなくなるのはもったいないと思った、自分が死んだあとおじいちゃんやおばあちゃんたちとはアイヌ語で話したい(アイヌ語でしか通じないニュアンスがある)という思いから、アイヌ語を学ぼうとアイヌ語を学び始められたそうです。
アイヌ語の教師を養成する講座(アイヌ語指導者育成事業)を受けるべく4年前から師匠について基礎を学び、その2年後から講座を受講。現在はアイヌ語教師として認定されたようです。二年前のイタカンロー(アイヌ語弁論大会)の弁論部門で優勝されています。
今後はアイヌ文化を学び、自分の子ども達に伝えていきたい、と。

今は若者にアイヌブームが来ているがいつかは波が引くだろう、それでも地道に文化伝承を続けていたらまたブームがやってくる頃には声の出るいい年ごろになっているだろう、という事も言ってました。
じっくりしっかり着実にという感じがなんとも頼もしく聞こえました。応援しています。

今回の講座は皆さんが関心を持っていたようで、50人は来られたでしょうか。その後の「反省会」でも新たな出会いがあり、感謝でした。
今後の連続講座の話し手の方達も楽しみです。
http://www.sapporoyu.org/modules/sy_course/index.php?id_course=218




最新の画像もっと見る