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~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

失われた音を求めて?

2008年06月26日 15時51分44秒 | バイオリン
ちょっと、バイオリンの話。

6月1日からバイオリンを習い始めた子どもたちの楽器は、それぞれが借り物です。
息子は主人所有のフルサイズを、娘は私の知り合いから借りた分数楽器(8分の1)を使っています。
娘のほうは、小さい肩当てを先生からお借りし、肩当てにつける保護ゴムは私が調達。あとA線を張替えてやっと使えるようになりました。(最初、4分の1用の弦セット&肩当てを買っており、こちらはすでにスタンバイOKです)
息子のほうは、特にメンテナンスをする必要はなかったはずなのですが、2回目のレッスンのとき、先生が「あれ?これ駒の角度がヘンですね?」とおっしゃいました。
なんでも、高い弦のほうにかけて鋭角に削られていて、E線を弾くときはかなり弓に角度をつけないと弾きにくい。どうかするとバイオリンの胴体に弓がぶつかってしまう、ということでした。
駒を含めて楽器の見直しを専門家にお願いすることにしましたが、困るのは替えの楽器。・・・幸いにしてというかなんというか、ちょうどこのレッスンの日、主人は関東の実家におりまして、そこには別の楽器があるので、即主人に借りて帰ってきてもらいました。


この楽器は主人の母、つまり子どもたちの祖母が若いころ使っていた楽器ということで、弓は何年か前張り替えたそうですが、あとは、かなりの年代もので、いったいどの程度鳴るのかもあやしい・・・。
弦を張替えてみましたが、最初はなかなか鳴らない。・・ま、まだ弾くというより構える段階だからいいか、という感じでした。
ところが、しばらくすると割りに鳴り出したんですよ。先だっての土曜日、主人があれこれ遊び弾きしてましたが、なかなかいい感じで鳴る。深みのある音というわけではないけれど(腕のせいかも・・汗)、ストレートで狂いのない音が出ます。
・・・・けっこううまいじゃん・・・(殴)
この楽器は、アマチュアに近いような日本人の職人さんの手作りで、そう良いものではないらしいし、どう考えても半世紀ほどを経ているはず。そりゃ、ストラディバリとかそういうもんなら、何百年経とうが価値の下がるものではないでしょうけど、並みの楽器は保存状態によってはボロボロのこともあり得ます。
おかげさまで、息子は替えの楽器で無事練習を続けることができています。


その翌日、日曜日の午前はレッスンでした。
先生、いきなり「あの・・あの楽器(主人所有のもの)はどこで買われました?」
主人「・・・あれは、東京で当時習っていた先生が<いいものだ>とすすめてくれて、当時としてはかなりの金額のものだったのですが、何年か前に楽器屋さんに見てもらったら、<う~ん、これは・・・>といわれたシロモノでして・・(汗)」
先生「そうですか。・・ちょっとね楽器が普通のものより大きいんですよね、8ミリくらい。それから駒の形がおかしい。でその駒に合わせて指板がついているのでこの位置もおかしくなっている。結果、高い弦が弾きにくいということと、楽器が鳴りにくくこもった音しかでない、ということになってしまっているようなんですよ」


・・・おお、前夜、「これまで聴いたことのないようなはっきりした音がでてる」と私が思ったのは錯覚ではなかったのか・・・・


これらのことを総合して修理するとなると一体いくらにかかるのか、買ったほうがもしやマシなのか、という問題も出てくるようで、専門家に見積もりしていただくことになりましたが、それにしても、約35年もこの楽器を使ってきた主人っていったい?
この楽器を「いいものだから」と相当の金額(当時で80万円位らしい)買わせた先生ていったい?


これまで、「バイオリンは自分のものを持ち歩けるし、本番でいきなり初めての楽器を弾く必要もないからいいなあ」と思っておりましたが、こういう落とし穴ってあるんですねえ。
自分の楽器が決まってしまうと、他の楽器を弾く機会はあまりないから違いがわからないし、先生も自分が楽器を推薦していると、いい音が出なくてもそれは楽器のせいにはしないでしょう(実際、主人の当時の先生は「音が悪いのは心のあり方に問題がある」と精神論を説かれたそうです)。


楽器というのは、弾くほうのモチベーションにえらく影響しますから、大人になってからはともかく、子どものうちこそ、できれば良い楽器が必要だ思うのですが、ピアノのように規格化されていて、そうそう<ドボン>のない楽器はまあいいとしても、バイオリンなんかの場合はたまにはこういうことも起こりうるのかもしれません。


・・・・まあ、主人の場合、結婚相手がドボンじゃなくてよかったじゃん・・・(自分で言うか・・逃)