~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

6年ぶりのソロリサイタル

2018年05月27日 12時26分35秒 | コンサート(企画、協力、出演 含む)

    

2018年5月26日(土)17:00~18:30 南区民文化センタースタジオ

 

昨夕、57名のご来場、3名のお手伝いをいただきまして、予定通り開催、終演いたしました。

プログラムはオールベートーヴェンで、

1.ロンドハ長調 Op.51-1

2.ピアノソナタ第5番 ハ短調 Op10-1

3.交響曲第5番ハ短調 Op.67「運命」第1楽章(リスト編曲)

4.ピアノソナタ第29番変ロ長調Op.106「ハンマークラヴィーア」

の4曲。(アンコール: メヌエットト長調WoO10-2)

最後にハンマークラヴィーアが入ってる時点で、まったくお客さんのことを考えてない自分本位なプログラムであることは否めません。余裕で弾けることはあり得ないし、下手したら、中断退場の危険すらある。なによりも聴くほうも大変な曲。

このプログラムの前半1~3番はかなり前から決まっており不動だったんです。後半は最初の案はベートーヴェンの小品を集めたものにしており、次の案はベートーヴェンの弟子、そのまた弟子、そしてリストという系譜をたどったものにするはずでした。

ところがどの案を見せても、師匠は「・・・・う~ん、軽すぎるなあ」と。

で、ベートーヴェンのピアノソナタを弾く会(昨年11月23日)で終了にする予定であった「ハンマークラヴィーア」を入れようか、もう少し弾かないとまだなにひとつわかってない気がする・・・と思ってつい入れてしまったのが間違いの始まり。(←これは今でもハメられたと思ってます)

半年やそこらで技術的なことが解決するのは無理なので、ことに第4楽章については「弾けるようにする」などということはまず考えられませんでしたが(もちろん努力はしますが)、さすがに暗譜はね、暗譜はせねば。

昨年は頑張って暗譜するつもりだったのですが、もう昨日覚えたことは、今日はきれいに忘れ、そればかりか曲そのものがどうかすると頭の中で乱れたジグソーパズルのようになって乱舞。1、2楽章はまだしも、3、4楽章はもう完全にダメでした。で、結局11月23日はセルフ譜めくりによる40分演奏。

暗譜のことばかり言って何言ってんだこいつ・・と思われるかもしれないですけど、この曲はなぜか暗譜しないとダメな気がしました。暗譜して初めて曲のことがわかる、というか、暗譜するくらい叩き込まないと何もわからない。

近年の私の暗譜事情は、45歳過ぎてがくっと暗譜が難しくなり、50過ぎてからはそこそこの長さのものは、ソロでもだいたい楽譜見て弾くスタイルになりつつありました。

52で譜読みを始め、53歳で全楽章を譜めくりしながら弾き、もし暗譜で弾くとすると54歳と2週間ということになるのだけれど、それって果たして私の頭で可能なのか?・・・・

今年の1~4月でいろんなことを試みました。「1000本ノック状態で体に覚えてもらう」「こまかに分析する」「ストーリーを作る」「頭に楽譜を再現する」「歌う」「楽譜見ずに左手だけやってみる」

さあ、できるかな?と思った5月初め・・・・全然できてないじゃないですか(泣)

どういうことだああ

ここで「完全に暗譜する」という考えは放棄し、「落ちたときにすぐルートに戻れるように足掛かりを作る」に変更。要は、記憶のうちの「インプット」はできているはずなので、「アウトプット」強化の方法に切り替えました。「落ちること」前提です。そりゃ運よく落ちなければそれに越したことないですけど、落ちるもんは落ちる。落ちたままになってはいけない。で、「落ちること」を恐れない。

これに切り替えてからはずいぶん気が楽になりました。それでも、一人で通し練習するときなんかは、どうしてこんなに緊張するんだというくらいバクバクしてましたけども。

本番は何回か落ちました。落ちましたが、まあパニックにはならずにすぐ対応できたと思う。「アガル」瞬間もまったくなかった。

緩徐楽章(第3楽章)は我に返るとふっと落ちてしまいそうな楽章なんですけども、「次なんだっけ?」とかいうことは20分くらいの間一度も頭をよぎらず、「ああ、次わからないかもな」とうっすら思っていても、腹の中から湧いてきました(笑)。

・・・・・頭に格納してると慌てるけど、腹の中にしまっとけばいいのか(爆)。

いろいろ言ってみても、結局は1年5か月近く時間をかけていたというのは大きいです。ヒマだからやれたことではあります。

ただ記憶装置そのものが破壊されているわけでないことはわかりました。

6ページでも覚えられなかったのに、46ページをなんとかできたわけなので。

もちろん、技術的なこと、表現上のことも、各曲についてそれなりにやったつもりではいますが、あまりにも今回は暗譜要素が重かったので、こういう記事になってしまいました。

5月に入ってからの記憶がほとんどなく(忙しかったわけではないです。ほとんどうちにいました)、弾くか、楽譜や音を脳内再生するかのどちらかで1日のほとんどが過ぎていってました。(そのわりにはSNSとか頻繁にやってたじゃないか、というのはナシです)

 

昨日は、広島にきた当初からのピアノ友や先生、県外から聴きにきてくれた友人たち、広島のピアニストさんたち、大先生、ご近所の交流サロン・デイサービスの方々(9人も!)、音大生のお母さま方、地元ホールのコンサートチューナーさんたち(5人も!)、弦楽器の友人たち、等々、ほんとに温かい雰囲気に包まれて幸せでした。ありがとうございました。

そして、ハメたけども(←まだ言う)、ここまで辛抱強く導いてくださった松本和将氏に厚く御礼申し上げます。

(9日前のひとりリハーサル)

 (同上)

 (当日のステージ)

(いただきもの)

 

大荷物で帰宅したら、娘が「え?今日ってリサイタルだったん?」ときょとん。まあ言ってなかったですけどね。チラシ張ってあっただろうに。