~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

ポゴレリチ聴いてきました

2023年01月14日 00時10分00秒 | 雑感
2023年の初コンサートで、1月7日に読響とのコンチェルト(ラフマニノフ2番)を聴きに行きました。
「実は流血していた」とか「ご機嫌が悪かったのでは?」等々のツイートを見まして、
翌日もう一回行きたかったのですが、自粛(チケットももうなかったかもですが)。
その後、11日のサントリーでのソロリサイタルの感想をツィッターで読みまして、
たまらず、(チケットもそこそこ高いし)我慢していた13日の浜離宮をゲット。
というわけで、コンチェルトとソロリサイタルを聴くことになった2023年ポゴ初め。

以下はその日のFacebookのものをそのまま載せています。
聴いた直後の感想なので、誰の感想もまだ見ていないし、忖度もない書き殴りの状態…ということを踏まえてお読みいただければ幸いです。



【1月7日】





いやもう、「ラフマニノフの2番だから予習は要らんよね?」と思っていた自分を殴りたい。
テンポが遅かったわけでもなんでもないのに、「こんな曲だったっけ?」と分からなくなるところが随所にあり、
「映画音楽みたいとか、ロマンティックな曲とかそんな寝言を言うやつは出てこいっ!」と言いたくなるようなラフマニノフ2番でした。
休憩時間慌てて今これを書いてるんですけど、
近くにいる人が「いやあ、よかった!なにが良かったか分かんないけど良かった」とおっしゃってて、その感想しかないよねえ〜と思いまする。
終わった後の拍手も「戸惑い組」と「ほんま良かった組」が半々だったと思うんですが、
「…ゔぉおおおおおお〜」という掛け声(本当はいけないはず)がかかった途端に、
「だよね、だよね!」組が勇気を得て、どーっと新たな拍手が湧きました。
アンコールはなし。
2回のカーテンコールに応えた後、
「バコンっ!」と蓋を閉めるスタイルは健在(笑)。

出て来られる時はマスク着用、お辞儀して座ってやっと外されてました。
譜めくりさんもベンチ椅子。
コンチェルトだから、譜めくり忙しい忙しい💦

書く元気が残ってればまた終演後に!

《追記》
前半で消耗して、後半マンフレッドは半分くらい気絶してました💦

いやもうなんというか、ポゴ氏に付けたヤマカズさん、ブラボーです。
読響の皆さんも。
2楽章けっこうピアノがテンポ上げてきて驚きましたが、それほど違和感はなかったし、3楽章も普通速いところが遅く、遅いところが速いみたいな感じはありましたが、2度出てくるとそれに慣れているというか納得しているというか。
全楽章通して、「ただただ美しくは流さない」という、「杭を打ち込みながら進む」というスタイルがわりと好みでした。穏やかに年をとって来られたとはいえ、ポゴ節は健在。ピシャーっと水を浴びせられるような瞬間がたまらないです(笑)。

【1月13日】









〈ポゴレリチリサイタル前半終了〉

変イ長調から平行調のへ短調、そして半音上がって嬰ヘ長調に…という、
3曲続けての構成がとても面白かった。

7番ポロネーズの冒頭の低音から上がってくる音列が、途中止まったように聴こえて、
「え?なんぞペダルに不具合でも?」と思ったのだけれど、
毎回そんな感じで、ペダルをちょい見するような仕草も同じで(笑)、
ああこれはそういう表現なのね、と納得しました。
ノリとか流れとかそういうものがなくても(いや、ないわけじゃないけれども💦)、聴き手にここまで食い込んでくるというのは参りますねえ。
ダブルトリルの前の、会場までがppppppに支配されたような中で、
私突然咳がしたくなり、「ここはたとえ息絶えても我慢せねば!」とダブルトリルを窒息の恍惚の中で聴きました(殴)。…忘れられない。

幻想曲、杭を打ち込むような振動を伴った低音(汚い音がするわけではないです)、
熱源というか光源が訪れるようないきなりの高音。ショパンらしさって何?とか、もうそんなことはどうでもよろしい(笑)。杭打ちと目も眩むような光源のはざまで翻弄されるファンタジー。…ええ、もうどうにでもして(笑)。

続く舟歌。
意外なことにこれが最も聴きやすく、いわゆる標準的演奏に近かったかのかも。
大船がぐいぐい進んで行く感あり。先行する2曲の止揚とでも言いましょうか、
生命力溢れた演奏。

さて、後半です。




〈ポゴレリチリサイタル後半〉

実は私、シューベルトの「楽興の時」を全曲聴いたことはなく(超有名な3曲目を除く)まして弾いたこともなく…💦
なにか音源を聴こうと思いましたが、結局、行きの大江戸線で、泥縄譜読み(殴)。
で、自分ならこう弾くかな…という朧げな青写真を作っていきました。

1曲目の冒頭で、「ポゴレリチは私より遥かに遥かに心優しい人だ!」と驚愕。これがあの、ラフマニノフコンチェルト2番で、ニベもない2楽章を弾いた人物であろうか?
森の中で鳥が交互に優しく語らうような音。自然さ。テンポも拍も、まったく自然自然、大自然。まさかのシューベルト弾き?
続く2曲目も暖炉の火を思わせる暖かさ。ショパンで閃光のようだった高音も、小春日和の日差し。4曲目あたりちょっとバッハを思わせましたけど、浜離宮のキャパにちょうどいい音量と親密さ。
なんといっても、前半プログラムに組み込まれていた変イ長調とへ短調が2セット組み込まれており、かつ、へ短調、変イ長調と前半プログラムに戻るような順。最後はppで静かに終わりました。

袖には戻らず続けてアンコール。
ショパンの子守歌、前奏曲作品45、ノクターン62-2(←だったと思う)。
子守歌でいきなり、前半のショパンの音に戻ってびっくり。
あのシューベルトの音はなんだったんだ…

余談: ニット帽にチェックのシャツ、ダウンベストというナリのお客さんがおられました。熱烈なポゴファンかと。