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~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

忘れないように

2014年10月29日 00時51分12秒 | 私のピアノ歴

最近、80代、70代の方の見事な暗譜演奏を間近に拝聴する機会が立て続けにありました。

それも5分とかの短い曲ではなく、リサイタルまるごととか、そうでなくても15分くらいとか・・そういうレベルです。

ピアノにおける暗譜演奏は、ソロ演奏の場合はごく普通のスタイルですが、楽譜を立てて弾くピアニストも別に珍しいというわけでもなく、どちらがいいとか悪いとか、それは私にはわかりません。

ただ、譜めくり人をつけるのが面倒だったり、老眼のために楽譜と鍵盤の焦点のスイッチングが困難だったりという理由で、基本的には、私は暗譜のスタイルです。

 

個人的なことを言いますと、35歳で再開して以来、ふたつの「もうダメ~」な危機がありまして、

ひとつは再開直後、つまり10何年ぶりかで人前で弾く、しかも暗譜で・・・というとき、

もう一回は45歳あたり(つまり5年くらい前)の頃、

・・・・ですね。

再開直後はまあ、無理もないわけです。以前とりあえずあったはずの音感も、いつの間にか「どの音もド」状態になってましたし(これはしばらくしたら回復しました)、楽譜もじ~っと眺めてよく考えないと、なんの音だかわからないんですね。10年20年ブランクのある外国語みたいな感じでしょうか。

その状態で「暗譜」ですから(笑)。朝から晩まで公園で子供と遊び倒していて、夜は夜で公園ママ友と飲んだりしてて、活字もなにも読んでないぞ~みたいな頭でどうせいと(汗)。

しかも忘れもしない、シューマンでした。決して覚えやすくはないと思う。

とくに失敗した記憶もないですけど、このとき「あ、自分は本番ってこんなに緊張するんだ」と初めて思ったような気がします。それ以前は緊張の記憶はあまりない・・・

その後42の時だったと思いますけど、勢いと力任せで、一時間くらいのプログラムを仲間に聴いてもらう機会を作りました。そのときはもちろん不安はありましたけど、「覚えられない・・ダメだ・・」という危機感はそこまでなかったような気がします。

自分の記憶の異変に気付いたのは、45の時でした。

いろいろ工夫してその場では覚えたつもりのものが、実は定着してない。二日くらいたつとバグができてる。そのバグを埋めると、また次のバグができる。そのバクを埋めるとまた次のバグが・・・・・ということで、いつまでもいつまでも終わらない。

どうなっちゃったのかと思いましたね。

私は記憶に関しては、とくに苦労した覚えはなくて、生物とか歴史とか「いざとなったら丸覚え~」という安易な勉強で世の中渡ってきたやつなので、記憶部分がダメになると取り柄はないに等しい(笑)。

正確にいうと「覚えられない」ということではなくて、「覚えたものをすぐに忘れる」という恐怖ですね。

とくに、大人になって新たに手掛けた曲はすぐ忘れちゃうんですけど、ならば、「なんとかせめて本番までは持たせよう」ということです。

「覚える」のではなくて、「忘れないようにする」という感じですか。

覚える段階では、もちろん、「耳で」「手で」「目で」「内容で(分析して)」ということで、できるだけ多くのものを使って保険かけますけど、

そのどれもがとっとと失せていくわけです(汗)。

指の間からざーっと砂がこぼれていく感じです。

それをなんとか引き留める。とにかく、ヒマがあったら思い出す。

覚える作業の一方で、忘れない作業もしなければならないので、もうぐるぐるですね(笑)。

こういう、記憶に関することは個人差が大きいと思うので、いくつになってもなんともない方もおられると思いますけど、

同年代の仲間と一緒に弾くと、やはり、年々、譜落ちが増える。

それまでは盤石の暗譜だった人も「・・・ウソ・・・」というオチ方をする。

それをなんとかしようとすると、「忘れないために」ぐるぐるせねばならないわけで、「そうまでして暗譜せんでも」ということなんですが、

俳優の名前も「あれ??」とすぐ忘れる昨今、なにかで記憶のルートを確保しとかないと、ますます困ったことになるかも・・・という、またこれも一種の恐怖でしょうか。

 

・・・・というわけで、それなりに苦労してます(笑)。


お好みコンサート

2014年10月26日 21時26分19秒 | コンサート(企画、協力、出演 含む)

あれから9日ですが、今日もちょっとした本番ありました。

毎年恒例の「ベートーヴェンのソナタを弾く会」(今年は11月29日)のプレ企画としての、「お好みコンサート」。

これはわざわざ企画したものではないんですね。今年初めくらいでしたか、「とりあえず場所押さえを」という段階で、二か所の区民文化センターのスタジオを予約したのですが、「どちらかをキャンセルするのももったいない」と主宰の先生がおっしゃり、ベートーヴェンでもいいし、そうでない曲でもいいので、とにかく弾きましょう~ということになったわけです。

なので、演奏者は昨年までのベートーヴェンを弾く会の出演者のみ・・という、いちおうクローズドなコンサート。

私は大きなコンサートから9日でほかの曲も用意できないし、なによりも何回弾いてもまともに弾けない曲だし、今回は1曲のみということで多少は集中した練習もできるかな・・・とまた懲りずにバラード1番弾きました。

1部で、20代の子が同じくバラード1番とエチュード弾きましたので、正直自分は弾きたくなかったですけど(汗)、まあこの会はそもそもが中高年が初回からコアなメンバーですので、それはそれ、これはこれで、割り切るしかない(笑)。

それと、9日前と違って、今回は出演者の半分以上はピアノの先生ですから、たとえお客さんほとんどいなくても、それなりに緊張します。

自分のデキについては、相手がショパンだし、素人が弾かせていただくだけで畏れ多いことだと思っているので、もういいです(笑)。聴いていただく方には「良い演奏は有料コンサートかCDでお願いします」と思ってます。

 

以下が本日のプログラム。

第1部
1.バッハ:パルティータ第2番
2.ベートーヴェン:ピアノソナタ第10番第1楽章
3.ショパン:バラード第1番
 ショパン:エチュード作品10の9
4.ショパン:ワルツ 作品34の2
  服部正:ラジオ体操第一
5.ショパン:ノクターン第8番
 
第2部
1.ショパン:バラード第1番
2.ブラームス:間奏曲 作品118の2
3.ドビュッシー:版画
4.フォーレ:ノクターン第13番
 
第3部
1.バッハ=ブゾーニ:シャコンヌ
2.バッハ:ゴールドベルク変奏曲
 

ゴールドべルクのフルバージョン、生では初めて聴きました。

今後も聴く機会があるかどうかわかりません。

私今日、司会をしていたので、演奏者の後方(つまり鍵盤が見える位置)にいたのですが、

こんなに手の交差があったり、細かい音符の多い大変な曲だということを初めて知り、実は非常に起伏に富んでいて、深く、なんだか人生の縮図みたいな曲なのだ・・・ということをしみじみ思いました。

H先生、完全に暗譜で、完成度高く、どのバリエーションの内容も印象深く弾かれました。

こんなアマ・プロ混成チームの弾き合い会で、聴かせていただいていいんだろうか・・・とも思いましたが、

H先生は、こういう仲間うちの会で、ベートーヴェンの30~32番(3曲連続)とか、ハンマークラヴィアとかを真摯に演奏されるので、いつも心打たれます。

 

さて、来月の「ベートーヴェンのピアノソナタを弾く会」へ向けて準備だ~!


たくさんのメッセージありがとうございます

2014年10月19日 10時57分59秒 | コンサート(企画、協力、出演 含む)

一昨日のコンサート以来、たくさんの方からメールやコメントをお寄せいただきほんとにありがとうございます。
なかでも、同年代の皆様より「刺激を受けました」というメッセージを多々いただきました。
やはり年齢や境遇が近いというのは、他人事ではなく、どこか「ほっとけない」感じになるんですよね(笑)。

私、基本的にプロの演奏家については、「別世界の人」というとらえ方なので(ただ、あまりにもあちら側にしてしまうと、自分自身の向上につながらないので程度問題ですけれども)、いくら素晴らしくても、そうそう驚かないのですが

それ専業でない・・ということになると、なんとなく自分に寄せて考え、衝撃を受けてしまうところがあります。

ピアノを再開してから15年の間で一番ショックだったのは、11年前にK氏の演奏をすぐそばで聴いたことでした(というより、同じ催しに出演しました)。
今にしてみれば、その後、特級のグランプリをとられた方なので、すでに別世界の方であったわけなんですが、その当時はまだ、アマチュア部門にも出てらして、自分自身の年も近いし、どうも子供も似たような年だし、で、なんとなくこちら側の方のような気がしてたんですね。
でも、演奏はもう一音聴いただけで、打ちのめされました。
これがピアノの音なら、自分のはゴミ溜めのなにかだ・・と。
正直いうと、その後やめようと思ったわけです。
赤ん坊抱えて、趣味でヘロヘロ弾いてる状態で、やめるもなにも、今にしてみれば笑っちゃうような思い上がりですけど、当時はそれなりに真剣でした。

でも、そうやって子供の頃にもやめてしまった経緯があるので(親は大変喜んでましたが)、
「ここでやめるということは、なにか意味があるだろうか? <やめる>ということは<やってる>人の言い分であり、まだなにもやってないのに、やめるはなかろう」と思い直したわけです。

・・・というわけで今に至ります。
もちろん、家庭の状況や年齢その他により、やれることと、やれないことはありますが、「置かれた状況の中で、やれることは全力でやる」というのは、20代からの自分の方針なので、なんとかくじけずにやっていきたいと思います。

と以上、自分自身も励ましてみてます(笑)。

 


「チェロとピアノの夕べ」ご来場ありがとうございました!

2014年10月18日 12時42分01秒 | コンサート(企画、協力、出演 含む)

ずいぶん更新が滞ってまして・・・生きてましたけど、半死半生でした(笑)。 禁酒すること1か月と10日。

体重2キロ減。ウエスト4センチ減。私の体のほとんどはビールの液体と泡でできていたらしい・・・orz

昨夜、やっと本番終了いたしました。

まずは、あれこれ言うよりは写真で振り返ってみましょう(笑)。

 

ちょうど1週間前、岡山の某所にてリハーサル会をさせていただきました。

ご自宅にこの素敵なサロンを併設されているNさん、あと、岡山県内各地からいらしてくださった3人の友人、感謝です!

 

今回のチラシとプログラム

  

 

何サマな控室(笑)

 

ゲネプロ

舞台お花

 

本番

  

 

打ち上げ

いただきものの数々

 

 

今回、チラシの写真についてはKさんに快く使用許可をいただき、チラシ・プログラムのレイアウトについてはH君にすっかりお世話になりました。

本番の譜めくり、舞台袖スタッフ、受付周り、録画、すべて友人たちが引き受けたり、あるいは自ら申し出てくれ、日頃裏の仕事率の高い今回の演奏者ふたりは、その大変さを知っているだけに、感謝感謝です。

お客様もステージから見渡した感じでは、「ほとんど埋まってる」という雰囲気で、もしかしたら200人くらいいらしてくださってたのではないか・・と思ってます。

演奏については、多々反省もありますが、少しでも楽しんでいただけたとしたら、こんなうれしいことはありません。

最後に、プログラムに挟んだ、私の分の「ごあいさつ」を転載しておきます。

 

<みなさま、本日はご多忙のところご来場いただきまして、まことにありがとうございます。

脇中弓子さんと私が知り合ってから10年あまりになります。これまで発表会や小さなコンサートではたびたび共演しておりますが、このような「デュオリサイタル」といった大きなステージは初。今夜のプログラムには畏れ多い名曲難曲が並んでおり、正直言って私どもにはチャレンジです。選曲にあたりましては、まずショパンのチェロソナタが決まり、それに合わせてあとを配したのですが、脇中さんはともかく、私は、日頃「珍曲ハンター」と言われるような人間なので、このようなメジャー曲のプログラムはほぼ7年ぶりです。

ふたりとも、今でこそ、指導や依頼演奏にも多少関わっておりますが、根本的にアマチュアでありまして、かたや「自分でアマオケ作ってしまおう」、かたや「聴きたいアーティストの演奏会は自分で企画してしまおう」という道楽者であります。一方で、ふたりとも7~8年前から、現在の師につき始め、生涯学習といえばきこえがいいですが、若い子たちのレッスン枠を奪ってないか??という困ったおばさんでもあります。

ただ、お互いの楽器が違うことで、いろいろつきあいも広がり、私が年に1回催している、友人知人だれでもOKのピアノ愛好家の会では、だんだんと弦楽器の参加者も増えてまいりまして、打ち上げでは、弦の方のほうが多いくらいです。ピアノをやるものにとっては、なかなか難しい異楽器交流もじわじわと叶ってきております。

微妙な立ち位置ゆえに、自分たちがどう進んでいいのか悩みも少なくなかった私たちですが、こういう立ち位置だからこそできる企画や演奏をこれからも探し続けていきたいと思っております。

今回の演奏会にあたっては先生方、地元の友人知人、そしてSNSを通じて親しくさせていただいている岡山のピアノ愛好家の方にもリハーサル会を催していただいたりして、大変お世話になりました。チラシの写真提供・レイアウト、調律に至るまで友人に恵まれ、とても幸せなことだと思っております。 

今後とも、末永くおつきあいいただければ、と願っております。 >