「室内楽セミナー」の修了演奏会を聴いてきた。
14:30~19:00という長丁場なので、さすがに全部は聴けなかったのだが、17時くらいに行ったところ、少しプログラムが押していたおかげで、7曲くらいを聴くことができた。
会場は割合埋まっていて、上の方の席をとっさにとれなかったので、一階の平場にすわったのだが、これが大変な誤算で、ドヴォルザークのピアノ五重奏なのにピアノがまったくといっていいほど見えない。
だが、ごく間近で長原氏のバイオリンを見ることができた(チェロは辻本氏)。
「見ることが」といったのは、氏の音は私の頭上はるか会場の遠くへむけて響いていたからだ。
メンバーは一般とか学生とかさまざまな方で構成されていて、1楽章ずつピアノとセカンドバイオリンとヴィオラが入れ替わっていた。
みなさん大変お上手なのだが、舞台近くで聴くと、それぞれの弦楽器の音の飛距離が違うのが如実にわかって、それはそれで勉強になったのだが、少し聴づらくもあった。
期間中の講習を拝見すればもっと変化がわかっておもしろかったのかもしれないが、アンサンブルのプロとともに練習を積まれた成果か、アイコンタクトや息遣い等、よくあっておられた。
次はシューマンの「ピアノ五重奏」で、ピアノは松本氏、あとバイオリンとチェロにプロの方が入っておられた。
なので、受講生はセカンドバイオリンとヴィオラを1楽章ずつ交替で弾いていた。1楽章はいきなり合奏ではじまるのだけれど、これもピアノが隠れて見えなかったのは残念だった。
・・が、鼻息は聞こえました。いつか是非やりたいと思っているので、冒頭の息の合わせ方をちゃんと見たかったです・・しくしく。
ヴィオラというのは、ピアノ弾きなぞはあまりその存在を深く考える機会が少ないのだけれど(私だけか・・・すみません)、今日はほんとに大変な楽器なのだと思った。
音程が難しいことはよくいわれるのだが、音程に不安がないレベルであっても、バイオリンとチェロの間をつなぐというか、生かすも殺すもヴィオラ次第という感じで、下手をすると、高音と低音が離れてしまったり、ハーモニーに生彩を欠いてしまったりする。
つくづく難しい役割を担った楽器だと思った。
合唱・合奏の方々はこういう中音域の難しさというものを日々自覚しておられるのだろうが、ピアノソロでは割合おろそかになる。ピアノ曲でも和音の多い曲というのは(いや和音が多くなくても)、常にそういう難しさを抱えているのだということを改めて考えるよい機会になった。
松本氏のピアノは、「溌剌とした清澄な変ホ長調」という雰囲気で、気持ちのよい演奏だった。五重奏の要として、フレーズの終わりなどは、他の楽器の音をすべてすくいあげ一つにまとめておられ、先日の連弾に続き、アンサンブルのセンスの良さに感嘆した。
休憩のあとはさすがに、平場はもうやめようと思って2階の高いところへ移った。
やはり全然違いました。眺めも音も。
プロコフィエフ:「五重奏ト短調」
これ初めて聴く曲だっただが、実にすばらしかった。
大学生4人と院卒1名というメンバーだったのだが、バイオリンの女性(芸大3年)の卓越したテクニックと、5人一丸となって刻まれるリズムが、一種熱狂の雰囲気を醸し出していた。これは、この年代にしかできない演奏かもしれない。
いいものを聴いたと思った。
ブラームス:「セレナーデ 第1番」より第1&6楽章
これはうちにCDがあって、断片的にシンフォニーを思わせるところもある魅力的な曲なので、生で聴けてうれしかった。
これは長原氏がバイオリン、あとヴィオラとチェロにプロが入って、
フルート、クラリネット2本、ファゴット、ホルン、コントラバスに受講生が入る。
まるでオケのトップに召集をかけたような楽器編成だ(笑)。
どうやって8人であわせるのかと思ったら、弦と管が向き合わせになるようにゆるやかな「ハ」の字になっていた。
これだけの人数いると、長原氏のリーダーシップも目に楽しく、合奏の楽しさを堪能した。
チャイコフスキー:「フィレンチェの思い出」より第4楽章
これは子供も含めた受講生全員の合奏。
さすがに指揮者が立たれました。
私にはあまり馴染みのない曲だったが、「うまい」だけでなく「厚み」のあるアンサンブルで、「フィレンチェ」とはいいながらも、作曲者チィコフスキーのロシア的部分も感じられたように思う。
こんなにたくさんの受講者がここ数日で、すばらしい音楽的体験をされたかと思うと、どういうわけか自分までもうれしい。
最後は演奏アドバイザーによる演奏
メンデルスゾーン:「ピアノトリオ第1楽章」
ピアノは松本氏だったので、音色・歌心等々大変期待していたのだが、
いや、もう期待以上のすばらしい演奏だった。
実は私、この曲を遊びで合わせてみたことがあるのだが、細かい音符が結構多いのと、バイオリンコンチェルトに通じるような、透明でのびやかな曲想に難儀し、・・私にはムリと思ったものである。
バイオリンの千葉さんのみずみずしい音色、ここぞというところできてくれるチェロの辻本氏、そして松本氏は細かいパッセージはほんとに美しく、歌うところは伸びのある音で息長く、大きなフレーズはうねりとともに押し寄せるように、実に実に聴き応えがあった。
・・ますます私にはムリな曲と思えたものだが、一方でますますこの曲が好きになった。
大トリは、ドホナーニ:「弦楽三重奏 セレナーデ」より
バイオリンが長原氏、ヴィオラ生野氏、チェロ向井氏。
私の席は、ちょうど音の届き具合もよく、信じられないくらい3つの楽器がまとまって聴こえてきた。いくらプロでもなかなかこうはいくまい・・と私勝手に思ってしまいました。
チェロはなかなか聴きに行く機会がないのだけど、向井氏はその体格を裏切らないふくよかで温かい音で、この方のソロコンサートも聴いてみたいものだと思った。
以上、聴きまくって900円
昨年までも聴いてみたかったのだが、やっとなんとか行くことができた。
ちなみにこのセミナー、今年で4回目。
もちろん来年も開催予定。受講の募集は秋頃にあるようだ。
来年かどうかは別として、いつか受講してみたいとも思っている。
興味のある方は、受講なり聴くなりぜひ来年!
14:30~19:00という長丁場なので、さすがに全部は聴けなかったのだが、17時くらいに行ったところ、少しプログラムが押していたおかげで、7曲くらいを聴くことができた。
会場は割合埋まっていて、上の方の席をとっさにとれなかったので、一階の平場にすわったのだが、これが大変な誤算で、ドヴォルザークのピアノ五重奏なのにピアノがまったくといっていいほど見えない。
だが、ごく間近で長原氏のバイオリンを見ることができた(チェロは辻本氏)。
「見ることが」といったのは、氏の音は私の頭上はるか会場の遠くへむけて響いていたからだ。
メンバーは一般とか学生とかさまざまな方で構成されていて、1楽章ずつピアノとセカンドバイオリンとヴィオラが入れ替わっていた。
みなさん大変お上手なのだが、舞台近くで聴くと、それぞれの弦楽器の音の飛距離が違うのが如実にわかって、それはそれで勉強になったのだが、少し聴づらくもあった。
期間中の講習を拝見すればもっと変化がわかっておもしろかったのかもしれないが、アンサンブルのプロとともに練習を積まれた成果か、アイコンタクトや息遣い等、よくあっておられた。
次はシューマンの「ピアノ五重奏」で、ピアノは松本氏、あとバイオリンとチェロにプロの方が入っておられた。
なので、受講生はセカンドバイオリンとヴィオラを1楽章ずつ交替で弾いていた。1楽章はいきなり合奏ではじまるのだけれど、これもピアノが隠れて見えなかったのは残念だった。
・・が、鼻息は聞こえました。いつか是非やりたいと思っているので、冒頭の息の合わせ方をちゃんと見たかったです・・しくしく。
ヴィオラというのは、ピアノ弾きなぞはあまりその存在を深く考える機会が少ないのだけれど(私だけか・・・すみません)、今日はほんとに大変な楽器なのだと思った。
音程が難しいことはよくいわれるのだが、音程に不安がないレベルであっても、バイオリンとチェロの間をつなぐというか、生かすも殺すもヴィオラ次第という感じで、下手をすると、高音と低音が離れてしまったり、ハーモニーに生彩を欠いてしまったりする。
つくづく難しい役割を担った楽器だと思った。
合唱・合奏の方々はこういう中音域の難しさというものを日々自覚しておられるのだろうが、ピアノソロでは割合おろそかになる。ピアノ曲でも和音の多い曲というのは(いや和音が多くなくても)、常にそういう難しさを抱えているのだということを改めて考えるよい機会になった。
松本氏のピアノは、「溌剌とした清澄な変ホ長調」という雰囲気で、気持ちのよい演奏だった。五重奏の要として、フレーズの終わりなどは、他の楽器の音をすべてすくいあげ一つにまとめておられ、先日の連弾に続き、アンサンブルのセンスの良さに感嘆した。
休憩のあとはさすがに、平場はもうやめようと思って2階の高いところへ移った。
やはり全然違いました。眺めも音も。
プロコフィエフ:「五重奏ト短調」
これ初めて聴く曲だっただが、実にすばらしかった。
大学生4人と院卒1名というメンバーだったのだが、バイオリンの女性(芸大3年)の卓越したテクニックと、5人一丸となって刻まれるリズムが、一種熱狂の雰囲気を醸し出していた。これは、この年代にしかできない演奏かもしれない。
いいものを聴いたと思った。
ブラームス:「セレナーデ 第1番」より第1&6楽章
これはうちにCDがあって、断片的にシンフォニーを思わせるところもある魅力的な曲なので、生で聴けてうれしかった。
これは長原氏がバイオリン、あとヴィオラとチェロにプロが入って、
フルート、クラリネット2本、ファゴット、ホルン、コントラバスに受講生が入る。
まるでオケのトップに召集をかけたような楽器編成だ(笑)。
どうやって8人であわせるのかと思ったら、弦と管が向き合わせになるようにゆるやかな「ハ」の字になっていた。
これだけの人数いると、長原氏のリーダーシップも目に楽しく、合奏の楽しさを堪能した。
チャイコフスキー:「フィレンチェの思い出」より第4楽章
これは子供も含めた受講生全員の合奏。
さすがに指揮者が立たれました。
私にはあまり馴染みのない曲だったが、「うまい」だけでなく「厚み」のあるアンサンブルで、「フィレンチェ」とはいいながらも、作曲者チィコフスキーのロシア的部分も感じられたように思う。
こんなにたくさんの受講者がここ数日で、すばらしい音楽的体験をされたかと思うと、どういうわけか自分までもうれしい。
最後は演奏アドバイザーによる演奏
メンデルスゾーン:「ピアノトリオ第1楽章」
ピアノは松本氏だったので、音色・歌心等々大変期待していたのだが、
いや、もう期待以上のすばらしい演奏だった。
実は私、この曲を遊びで合わせてみたことがあるのだが、細かい音符が結構多いのと、バイオリンコンチェルトに通じるような、透明でのびやかな曲想に難儀し、・・私にはムリと思ったものである。
バイオリンの千葉さんのみずみずしい音色、ここぞというところできてくれるチェロの辻本氏、そして松本氏は細かいパッセージはほんとに美しく、歌うところは伸びのある音で息長く、大きなフレーズはうねりとともに押し寄せるように、実に実に聴き応えがあった。
・・ますます私にはムリな曲と思えたものだが、一方でますますこの曲が好きになった。
大トリは、ドホナーニ:「弦楽三重奏 セレナーデ」より
バイオリンが長原氏、ヴィオラ生野氏、チェロ向井氏。
私の席は、ちょうど音の届き具合もよく、信じられないくらい3つの楽器がまとまって聴こえてきた。いくらプロでもなかなかこうはいくまい・・と私勝手に思ってしまいました。
チェロはなかなか聴きに行く機会がないのだけど、向井氏はその体格を裏切らないふくよかで温かい音で、この方のソロコンサートも聴いてみたいものだと思った。
以上、聴きまくって900円

昨年までも聴いてみたかったのだが、やっとなんとか行くことができた。
ちなみにこのセミナー、今年で4回目。
もちろん来年も開催予定。受講の募集は秋頃にあるようだ。
来年かどうかは別として、いつか受講してみたいとも思っている。
興味のある方は、受講なり聴くなりぜひ来年!